就職や転職の際の面接でよく聞かれる座右の銘。事前に用意しておかないと「何も答えられなかった」「ちぐはぐな答えになってしまった」というケースが考えられます。

本記事では、面接での座右の銘の答え方やポイントを解説します。また、面接官が座右の銘を聞く意図や、就活生が面接で答えるときの流れや例文もあわせてご紹介するので、面接前に参考にしてみてください。

  • 座右の銘とは? 面接で聞く意図

    座右の銘の探し方や選び方、面接で答えるときの流れを解説する記事です

座右の銘とは? 面接で聞く意図

ここからは、座右の銘とは何かということや面接官が座右の銘を聞く意図を解説します。

座右の銘とは

座右の銘とは、「いつも自分のそば(近く)に記しておきたい言葉や戒めとなる文句」です。日頃から意識している言葉や心に留めている言葉、自分を励ますために心に刻んでいる言葉などを指します。

具体的には、四字熟語やことわざ、偉人の名言・格言などが座右の銘として用いられることが多いです。

座右の銘を面接で聞く意図

面接の場面では、座右の銘を聞かれるケースが多々あります。面接官が座右の銘を聞く意図を確認しておきましょう。

■人柄や個性を知るため

その人の座右の銘を知ることで、人柄や個性を想像できます。例えば、「一期一会(いちごいちえ)」という言葉を座右の銘にしている人は、「人との出会いを大切にする」や「人とコミュニケーションを取るのが好き」などの人柄が見えてきます。

座右の銘を聞くことは、面接の間の短い時間で人柄や個性を知る手段となるのです。

■その人の人生の軸や価値観を知るため

座右の銘を選んだ理由を聞くことで、人生の軸や価値観を知ることができます。面接の場で同じ座右の銘を選んだのが複数人いたとしても、選んだ理由は各々異なります。座右の銘とともに選んだ理由を聞くことで、その人の価値観を深堀りできるのです。

■入社後の働き方を想像するため

座右の銘は、その人が入社後にどのように働くのかを想像する材料になります。座右の銘はその人が心に留めている言葉なので、仕事で迷ったときや失敗したときなどに、その人が起こす行動が見えてきます。

  • 座右の銘とは? 面接で聞く意図

    座右の銘は面接官に自分を印象付ける材料になることを覚えておきましょう

面接で使える座右の銘一覧

ここからは、座右の銘として面接で使える四字熟語・ことわざ・偉人の名言・格言の一例をご紹介します。あくまで一例なので、これらを参考にしつつも、しっくりくる言葉をご自身で探してみるのがおすすめです。

四字熟語

■点滴穿石(てんてきせんせき)
意味:わずかな力でも積み重ねることで、大きな仕事を成し遂げられるということ

■初志貫徹(しょしかんてつ)
意味:初めに決めた志を最後まで貫き通すこと

■採長補短(さいちょうほたん)
意味:他人の長所を取り入れ、自分の短所を補うこと

■百折不撓(ひゃくせつふとう)
意味:何度失敗をしても志を曲げないこと

ことわざ

■実るほど頭を垂れる稲穂かな(みのるほどこうべをたれるいなほかな)
意味:人格者ほど謙虚な姿勢であるということ

■思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)
意味:何かしようと決断したら、その日から行動するのがいいということ

■明日ありと思う心の仇桜(あすありとおもうこころのあだざくら)
意味:桜の花がすぐ散るように、人間も明日は何が起こるかわからないということ

■弘法筆を選ばず(こうぼうふでをえらばず)
意味:名人や達人は、どのような道具を使っても失敗しないということ

偉人の名言・格言

■明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ(ガンジー)

■失敗? これはうまくいかないということを確認した成功だよ(エジソン)

■アイデアの秘訣は執念である(湯川秀樹)

■たとえ僕の人生が負け戦であっても、僕は最後まで戦いたいんだ(ゴッホ)

  • 面接で座右の銘を答えるときの例文

    (1)結論、(2)座右の銘となった理由、(3)入社後の活かし方の3つの流れを意識して説明してください

面接で使う座右の銘を選ぶときのポイント

ここでは、面接で使う座右の銘を選ぶ際のポイントをご紹介します。

自分の信念や経験に合った言葉を選ぶ

「響きがいい」「かっこいい」「好印象を与えられそう」といった、漠然とした理由で座右の銘を決めるのは避けましょう。「自分はどのような信念で生きてきたのか」「これだけは譲れないという軸は何だったのか」ということを自己分析し、今までの自分の人生を表すのにふさわしい言葉を選んでください。その信念に従ってどのような行動をしたのかという具体的なエピソードも、セットで準備しておきましょう。

仕事をする上で活かせる言葉を選ぶ

今までの自分を表しているかということだけでなく、今後自分が仕事をする上でその信念を活かせるかどうかということも、座右の銘を選ぶ際に大事なポイントです。例えば「今が楽しければそれでいい」という信念で今まで生きてきたとして、仕事でもその信念を貫き通すというのはあまり適切とは言えませんよね。仕事をする上でも大事な志になり得るか判断し、座右の銘を決めましょう。

  • 座右の銘の探し方・選び方

    個性や経験、仕事と関連する言葉を四字熟語・ことわざ・名言集から探してください

面接で座右の銘について話すときの流れ・注意点

ここでは、面接で座右の銘について話すときの流れ・注意点をご紹介します。面接に臨む前に一度目を通しておきましょう。

面接で座右の銘について話すときの流れ

面接で座右の銘について話すときは、次の下記の流れを意識してください。

(1)結論(座右の銘を答える)

まずは、結論(座右の銘を答える)を先に述べます。結論をはじめに話すことで、面接官に自分の思いや意見を明確にすることができます。

(2)座右の銘となった理由

座右の銘を述べた後は、選んだ理由を説明します。その言葉を大切にしている理由や座右の銘となった背景の出来事を話してください。背景を詳しく話すことで、人柄や個性、人生の軸や価値観が面接官に伝わります。

聞きなれない座右の銘の場合は、意味もあわせて説明しましょう。偉人の名言や格言であれば、偉人の名前も伝えると丁寧です。

(3)入社後の活かし方

最後は、座右の銘を入社後にどのように活かすかを述べます。企業は今後会社で活躍する人物を求めているため、座右の銘に絡めて仕事への意気込みをしっかりと伝えることが重要です。

面接で座右の銘について話すときの注意点

面接で座右の銘について話すときの注意点は次の2つです。

■読み間違えない

座右の銘の読み間違いには注意してください。四字熟語やことわざは特殊な読み方をするものも少なくありません。

座右の銘を答える際に読み方が間違っていると、「自分が選んだ座右の銘の正しい読み方も知らないなんて、適当に答えているのでは?」と面接官に悪い印象を与える可能性が高いです。

■意味をきちんと理解しておく

座右の銘として選んだ言葉の意味をきちんと理解しておくことも重要です。四字熟語やことわざは誤用されている言葉も多いです。

例えば、「情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)」ということわざの本来の意味と誤用されている意味をみてみましょう。

【本来の意味】
人に親切することは、相手のためになるだけではなく、やがて自分にいい報い(むくい)となって戻ってくる

【誤用の意味】
人に情けをかけて助けることは、結局はその人のためにならない

平成22年度(2010年度)の「国語に関する世論調査」では、本来の意味と誤用の意味で覚えていた人の割合が以下のようになりました。

  • 本来の意味: 45.8%
  • 誤用の意味: 45.7%

上記をみると、約半数の人が誤用の意味で覚えていることがわかりますね。このように広く浸透している意味でも調べてみると誤用だったというケースも多いので、座右の銘として選んだ言葉の意味をきちんと把握して面接の場で使ってください。

  • 面接で座右の銘について話すときの流れ・注意点

    座右の銘は読み間違えと意味の誤用に気をつけてください

面接で座右の銘を答えるときの例文

ここでは、面接で座右の銘を答えるときの例文をご紹介します。座右の銘として、「一期一会(いちごいちえ)」を選んだ場合の例文を見てみましょう。

【意味】一生に一度しかない出会い。一生に一度限りのこと。

【例文】
私の座右の銘は「一期一会」です。
私が学生だった〇〇年頃は感染症が蔓延し世界的に影響を及ぼしました。対面授業からオンライン授業へ移行し、□□や△△などのイベントもすべて中止となり、他人と接する機会が減少したのを覚えています。

大学3年の頃、大学祭の実行委員となり、感染症対策を徹底しながらオンライン大学祭を成功させました。実行委員会の中には初めて会う人もいましたが、オンライン大学祭を成功させるという目標に向かって意見を出し合い切磋琢磨してきました。実行委員会の仲間とは対面で話す機会が少なく、オンラインでのやり取りが多かったのですが、対面で関わってきた友人と遜色ないほど今では仲がいいです。

この経験を通して私は、社会がどんな状況であっても人と出会える機会は身近なところにあり、出会った人とは親しい関係になれる可能性があるということを実感しました。これからの社会生活においても、たくさんの出会いが身近なところにあると思います。「一期一会」の言葉を胸に、ひとつひとつの出会いに感謝しながら、毎日を大切に社会人生活を送っていこうと決めております。

面接で座右の銘を聞かれたときは個性や経験をもとに選ぶ

面接官が座右の銘を聞く意図は、人柄や個性、価値観、その後の行動を知るためです。「日頃から意識している言葉」や「心に留めている言葉」が座右の銘となるため、自分の個性や経験をもとに選ぶといいでしょう。

座右の銘がどうしても思いつかないという方は、とりあえず四字熟語・ことわざ・名言集などに目を通してみましょう。自分のことを表しており座右の銘としてしっくりくる言葉が、意外とあるかもしれませんよ。

面接で座右の銘について話すときの流れや注意点のほか、例文を参考にして、面接時にはばっちり答えられるよう準備しておきましょう。