50代以上の人であれば、親からの遺産相続に関わった経験を持つ人も多いかもしれない。それを機に相続対策を含め、自身の相続に関してあれこれと考え始めた、という人もいることだろう。
ただ、実際に相続対策を行う上では、さまざまな困難も予想される。そこで今回は、50代以上のマイナビニュース男女会員508人を対象にアンケート調査を実施。「自身の相続対策で最も大変だったこと」などを聞いた。
Q.あなたは、(ご自身の)相続対策に取り組んだことはありますか?
「はい」(40.4%)
「いいえ」(59.4%)
Q.相続対策で最も大変だったことは何ですか?(自由回答)
■「相続税や相続手続きを理解すること」
・「相続に対する知識がないことが大変だった」(68歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「相続に関する法律の勉強が大変だった」(62歳/男性/専門コンサルタント/専門職関連)
・「そもそも何をしたらいいのか、考えるのが大変だった/資産の確認」(56歳/男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「何から手を付けて良いのか分からず、ネット検索した」(59歳/男性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「一から調べたり経験者にやることを聞いたりと、それが多くて大変だった」(53歳/男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)
・「なにをしたらいいのかわからないため、インターネットや冊子などを使って調べなければならなかった」(54歳/女性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「弁護士事務所を探して聞きたいことを箇条書きにして、前もって準備するのが大変だった」(63歳/女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「どれくらいの相続税がかかり、どうすれば減らすことができるか」(65歳/女性/教育/公共サービス関連)
・「財産の現金化方法など、最良の方法を調べてノートに添付するのがわずらわしい。今も道半ば」(62歳/男性/放送・新聞/クリエイティブ関連)
・「手続きがまだ、理解できていない」(58歳/男性/教育/事務・企画・経営関連)
■「資産の全体像の把握」
・「資産の確認、評価の依頼などがとても大変であった」(73歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「自分の資産を具体的に割り出す作業と、その手間が大変だった」(52歳男性/サービス/IT関連技術職)
・「実際、どのようにすればベストなのか? 資産がどれくらいあるのか……把握」(50歳/男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「どこに何があるのか、まとめ上げるのに苦労しました。また、どれくらいの価値があるものなのか調べることにとても苦労しました」(60歳/男性/教育/専門サービス関連)
■「資産の公平な分配や調整」
・「子供達に公平に相続すること」(66歳/男性/総合電機/事務・企画・経営関連)
・「親族と話をまとめるのが大変だった」(67歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「不平不満や、わだかまりが残らないよう気をつけた」(65歳/男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「将来、遺産の額によって諍いやもめごとが起きないよう、遺族が受け取る金額の多寡を慎重に検討した」(63歳/男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「健在な両親の財産を含め、ファミリーの全体像の把握が大変でした」(58歳/男性/その他金融/営業関連)
■「各種手続きの煩雑さ」
・「手続きの複雑さ」(58歳/男性/教育/IT関連技術職)
・「いろいろな知らない書類があって、集めるのが大変だった」(69歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「戸籍謄本等の書類を集めたりするのが、時間を取られ面倒なことでした」(59歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「父親&母親名義の土地&家屋を名義変更後売却→分割協議書作成し各分割相続を行った。それぞれの手続きが大変だった」(68歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「どこにどうして引き取ってもらうか、どこで処分してもらうか手配するのが大変でした」(52歳/男性/輸送用機器/その他技術職)
■「親族間で揉めたこと」
・「相続問題で約40年ぶりに連絡をとった従兄弟ともめたことが最も大変でした」(50歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「相続人間の相続争いが一番大変だった。いわゆる骨肉の争いそのもので修羅場が何度もあったが税理士に間に入ってもらって法的に円満解決した」(62歳/男性/フードビジネス/IT関連技術職)
・「兄弟の確執ですね。お金のこととなると、みんな血まなこですよ。びっくりですね」(58歳/女性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「身内の分割協議書の件で様々な思惑が多方面であった為、我が身のことを慎重に検討中」(66歳/男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
■「関係者の協力を得にくい」
・「親戚以外の相談者(第三者)を探すこと」(71歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「まだ本格的にはこれからですが、両親については遠距離なので、あまり進みにくいのが現状ですね」(50歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「認知症気味の父に遺言状の作成をお願いしたところ、猜疑心が強くなった父から拒否された。これから先のことを考えると頭が痛いです」(53歳/男性/専門コンサルタント/専門職関連)
■「不要な遺産の処分」
・「誰も欲しがらないような土地の処分がいちばん大変だったです」(52歳/男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「親父名義の土地があって。相続したらややこしそうなので放棄するつもりです」(54歳/男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
■「それほど大変ではなかった」
・「税理士に頼んで手続きをしたので、それほど大変ではなかった」(63歳/男性/建設・土木/営業関連)
・「自分の親父の相続も全部自分が関わったので、簡単にできた」(70歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「さほど資産を持っているわけではないので、そんなに心配なことはありません」(58歳/男性/海運・鉄道・空輸・陸運/IT関連技術職)
■「すべてが大変だった」
・「相続しました。母一人で逝ってしまったので、すべて大変でした。司法書士から土地売買・確定申告まで。また、お墓や親族の関係まで」(51歳女性/その他/その他・専業主婦等)
■「その他」
・「いま動けるうちに自分自身が生前中にどこまで行えば、兄弟や親族などに迷惑や負担をかけないだろうか。突然病に倒れ寝たきりになった時などを考えると、介護費用なども考慮したため、大変だったように思います」(52歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「生前贈与で受け取る財産を減らしたが、思わぬ親の病気や介護がのための思わぬ出費が発生して結局、親のために贈与した財産をほとんど使っている状況で、財産が無くなってしまった」(54歳/男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「税理士さんに相談しながら検討しています」(59歳男性/その他/その他・専業主婦等)
■総評
調査の結果、50代以上のマイナビニュース男女会員のうち、自分の相続対策に取り組んだことがある人は4割超の、40.4%となった。
相続対策で最も大変だったことは何か、という問いに対しては、まずは「相続税や相続手続きを理解すること」という回答が目立っている。
相続は一生のうちに何度も体験することではなく、初めての経験という人が大半だ。相続対策をするにあたっては、そもそも相続とはなんなのかや、相続税の仕組みについて理解することから始めるべきと考える人は多い。そして、その勉強が大変だったという人もまた、多くいるようだ。
「資産の全体像の把握」に苦労した人もいる。自身の資産の状態がわからなくては、相続対策どころではないというのは当然のこと。ただ、いざ資産の把握に取り組むとなると、そこには大きな苦労が伴う。
実際の相続に際しての、「各種手続きの煩雑さ」を挙げた人もいる。一般に相続手続きは多岐にわたり、その窓口もさまざまだ。担当する各専門士業もマチマチとあっては、たしかに辟易とすることだろう。
また、「資産の公平な分配や調整」に苦心した人や、実際に「親族間で揉めた」経験を持つ人もいる。相続は"争族"という別名もあるように、相続人間での揉めごとに発展しやすい。それを事前に回避するための苦労や、紛争になったときの対処には大きな労力を使う。
今回の調査では、50代以上の人が相続税対策に取り組んだ際のさまざまな困難が、具体的なコメントと共に寄せられた。これから自身の相続対策を考える人にとっては、大いに参考になる内容となっているのではないだろうか。
調査時期: 2022年3月3日
調査対象: 50代以上のマイナビニュース男女会員
調査数: 508人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません