サッポロビールは25日、ヱビスブランド2021年の振り返りと2022年の戦略について発表会を開催した。ライフスタイル雑誌「Pen」とのコラボ企画、デジタル上でファンとブランドがつながる会員制「YEBISU BEER TOWN」(ヱビスビアタウン)の創設など、ユニークな取り組みも紹介された。

  • ヱビスブランド2022年の戦略とは? 写真左:サッポロビール マーケティング本部 武内亮人氏、右:同社 マーケティング本部 沖井尊子氏

ヱビスらしさを際立たせる

発表会の冒頭、サッポロビール マーケティング本部の武内亮人氏は事業戦略について説明を行った。まずは中長期のビール市場の動向について。2020年の酒税法改正(1回目)では、減税対象のビール類の販売が拡大した。これを踏まえ、「2023年の酒税法改正(2回目)では家庭向けのビール缶を中心に、さらにビール市場が伸長するのではないか」と予測する。

  • サッポロビール マーケティング本部 ビール&RTD事業部 部長の武内亮人氏

コロナ禍で、家庭内での飲酒機会も増えた。最近では「単調になりがちな家飲みをもっと充実させたい」ということで、高価格帯ビールの需要も大幅に高まっているという。ヱビスブランドではそうしたトレンドを捉え、2021年より「Color Your Time!」をブランドコンセプトに、様々なマーケティングを展開。ヱビスブランド缶の出荷実績を(前年比)102%増まで伸ばした。

  • ヱビスブランド2021年の振り返り。ヱビスブランド缶の出荷実績は(前年比)102%増だった

  • ビールの楽しみ方を広げる「YEBISU Style Line」「YEBISU Discovery Line」を提案し、オンラインでもブランド体験を提供してきた

2022年は「ヱビスらしさを際立たせ、ビールの魅力を高めていく。お客様にヱビスブランドのファンになっていただく取り組みを、さらに前進させたい」と武内氏。商品ラインナップの幅を増やし、また独自の顧客接点を活かすなどして、これまでのビールブランドのマーケティングを変えていくと話した(詳細は後述)。

  • 2022年のマーケティング戦略

なお2022年の販売計画については、前年比114.8%増の大幅な成長を見込んでいる。武内氏は「サッポロビールは、多様で個性的かつ、物語性のあるビールが強み。国内のビール市場を活性化させるとともに、ヱビスビールをはじめとするブランド展開で日本のビールの魅力を牽引していきたい」とアピールした。

ファンの集う仮想空間「YEBISU BEER TOWN」

続いて同社マーケティング本部でヱビスブランド ブランドマネージャーを担当する沖井尊子氏が2022年の取り組みについて説明した。まずは3月15日より「ヱビス プレミアムホワイト」をリニューアル発売する。同商品は昨年(2021年)に発売した、小麦麦芽を一部使用したホワイトビール。春夏のひとときを楽しむというコンセプトで、計画比135%増のヒット商品となった。この中味をリニューアルし、柑橘のような爽やかな香りのミストラルホップを追加。3月~8月末までの期間限定で販売する。

  • 「ヱビス プレミアムホワイト」がリニューアルして3月15日より発売。缶のほか、中瓶でも展開する

またライフスタイル雑誌にも取り組む。CCCメディアハウスと協力し、雑誌「Pen+」を年に2回発刊していくという。2月25日の創刊号は「Pen+ 暮らしを彩る、ヱビスのある時間。」とし、ヱビスの多様な楽しみ方を紹介する。沖井氏は「我々メーカー側の視点だけでなく、Pen編集部の視点からもヱビスの魅力を引き出していただいた。書店に置いてもらうことで、知的好奇心の旺盛なお客様にも届く。記憶にも手元にも残るブランドにしていける」と説明する。

  • 「Pen+ 暮らしを彩る、ヱビスのある時間。」が2月25日に創刊

このほか、会員制参加型コミュニティサイト「YEBISU BEER TOWN」をスタートさせる。これはデジタル上のファンコミュニティで、ヱビスブランドとファンをつなぐだけでなく、ファン同士の交流も促していく。

  • ヱビスブランドをキーワードに、リアルとデジタルで人々がつながるハブ空間「YEBISU BEER TOWN」。秋以降には学びのカレッジ、料理教室などもオープンする

「街のなかには、ヱビスを楽しむためのスポットがたくさん存在します。ブランドが情報を提供する場になるほか、お客様とブランド、お客様同士の会話も大事にしたい。そこで得られた声をもとにリアルな商品、施策の開発にも取り組んでいけたら」と沖井氏。2月25日よりプレオープンし、本年(2022年)10月より本格始動する。

  • 会員にはYEBISU BEER TOWNの住民票が発行される

「ビールブランドとして、たくさんのお客様とのご縁をつむいでいく場所にできれば」と沖井氏。会員のメリットとしては「会員限定コンテンツを見て、コメントできる」「会員限定のファンミーティングに参加できる」「この場所だけのキャンペーン、先行モニター体験にも参加できる」「オリジナルグッズも購入できる」などを挙げた。将来的には、掲示板、SNS機能、ポイント機能も実装。「ゆくゆくは商品開発にご参加いただくなどして、ともにビールの未来を作っていく仲間になってもらいたい」と展望を語った。

  • 掲示板、SNS機能なども実装予定(画面はイメージ)

このほか、恵比寿の街ならではの取り組みも加速させる。例えば恵比寿エリアで開催される、参加する飲食店数が約70店舗を超える「恵比寿の料理人が考えるヱビスビールに合う逸品グランプリ」(3月15日~4月24日開催)にも特別協賛する。2023年秋には、創業の地で35年ぶりにエビスビールの醸造を復活させる予定。沖井氏は「街をともに盛り上げ、活性化していきたい。街ごと、ブランド体験の場に成長させていけたら」と話していた。

  • ヱビスビールの主力製品