子どもたちが人気ゲーム「Minecraft」を通じて、プログラミング教育やデジタルなものづくりに触れることのできる機会創出を目指す「Minecraftカップ2021全国大会」。その最終審査会と表彰式が、1月30日にオンラインで開催された。
文部科学省、総務省、デジタル庁が後援するなか、今年で3回目の開催となった本大会。チーム部門と個人部門の優秀賞には、Coderdojo Ishigakiチーム(11人/沖縄県)とはやぶささん(大阪府)がそれぞれ選ばれ、栄えある大賞は熊谷武晴さん(山口県)が受賞した。
SDGsをテーマにワールドを制作
「Minecraftカップ」はプログラミング体験および、デジタルなものづくりを通した問題発見・解決を目指すツールとして、世界的に人気のある「Minecraft」を活用。全ての子どもたちがプログラミング教育や、デジタルなものづくりに触れることのできる機会創出を行っている。
今回で3回目となる本大会には延べ4,000名以上の子どもたちがエントリー。SDGsの3つのゴール「3:すべての人に健康と福祉を」「7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「15:陸の豊かさも守ろう」のうち、1つ以上のSDGsを取り入れることが募集作品のテーマとなった。
よりSDGsに深く取り組んだテーマのもと、子どもたちは全ての人々が充実した暮らしを送ることができるワールドを思い思いに制作。
Minecraft実況シリーズ「カズクラ」が累計7億回以上再生されている動画クリエイター・カズ氏、プロのマインクラフターとして地上波番組にも多数出演するタツナミシュウイチ氏らが審査員を務めた。
オンライン表彰式は昨年度に続き、コロッセオなどをイメージしてタツナミ氏が制作したオンライン会場で執り行われた。
表彰会場として新たなエリアも制作され、よりバージョンアップしたオンライン会場について、タツナミ氏は「来年もまた拡張していこうと思います。お任せください。プロですから(笑)」と述べ、来年度大会への意欲を見せた。
各賞の受賞者・受賞チームは以下の通り。
- 大賞: 「EREC-地球蘇生都市-」熊谷武晴
- 優秀賞(チーム部門): 「つなげるココロ〜人も動物も植物も笑顔のまち〜」CoderDojo Ishigaki
- 優秀賞(個人部門): 「ふクリンシティ」はやぶさ
- アイデア賞: 「みんながしあわせに暮らせる家と街 〜空中道路でいきものたちを傷つけずに暮らす〜」SDGsクラフトKids
- クリエイティブ賞: 「NewCodeTropolis」Cording Lab Japan
- 建築賞: 「EREC-地球蘇生都市-」熊谷武晴
- コーディング賞: 「トイレをつかったTNT発電」佐伯優樹
- チャレンジ賞: 「資源を大切に使う町 〜ゴミを有効活用しよう!〜」雄太朗
- 積水ハウス賞: 「SDGsで未来を変えろ」浦和マイクラ部(CoderDojo 浦和)
- 日本ユニシスBIPROGY賞: 「自然と共に育む未来 〜動物達と仲良く暮らすまち〜」7人のクラフター
- 三菱地所賞: 「ふクリンシティ」はやぶさ
- 農林中央金庫賞: 「歴史が溶け合うSDGsの街〜過去・現在・未来の交差点〜」吉川岳人
- インプレスこどもとIT賞: 「私たちが考えた理想の街」チーム逸般人
- Microsoft賞: 「がじゅまるらんど」てだこマインクラフター
「大人にこそエールを送りたい」
総合的に判断し、最も優れたワールドに授与される最高の賞である大賞を受賞した熊谷武晴さんの「EREC-地球蘇生実験都市-」は、建築賞とのW受賞となった。
Minecraftカップ実行委員長の鈴木寛氏は、「技術・建築力の素晴らしさは元より、地球蘇生ということで、壊れてしまった地球をもう1回蘇生するというコンセプトに全く負けていない作品。本当に我々をびっくりさせてくれるようなアイデアでした。しかも、しっかりとした調査力で練りに練って、深めに深めて素晴らしい構想につなげている。すべての点で素晴らしかったです」と、大賞を受賞した決め手となったポイントを紹介。
「熊谷さんはじめ、今回の20人・20チームのファイナリストの皆さんのような方々が地球を蘇生してくれるんだなと思わせてくれました。その代表として熊谷さんを大賞に満場一致で選ばせていただきました」と語った。
熊谷さんは「建築賞に加え、大賞という総合的に優れている賞を獲ってこの上なく非常に嬉しいです」と、喜びのコメントを寄せていた。
表彰式中、コメントを求められたタツナミ氏は「1回目、2回目とマインクラフトカップが回を重ねるごとにワールドのクオリティがどんどん高くなっていますね。その中に入っているシステムや回路といったものも、すごい技術が使われるようになっていて。子どもたち皆さんのスキルがメキメキ伸びていることが、目に見えてわかります」と総評。
「同時に大人たちがそれについていく大変さも見える(笑)」とも感想を述べ、会場の笑いを誘っていた。
「でも、それは決して恥ずかしいことではなく、ぜひ一緒に好奇心を持って楽しんでもらいたいなと思います。そうすることで子どもたちのために手を差し伸べる機会も、もっと増えてくるはずなので。普通こういう大会って『みんな頑張れ〜』という感じですが、むしろMinecraftカップの場合は『頑張れ! 周りにいる大人たち』という(笑)。子どもたちが素敵な舞台を踏めるよう、手を携えていただいている周りの大人の皆さんにこそエールを送りたいです」(タツナミ氏)
ファイナリストには後日、表彰状と合わせて副賞としてマイクラのグッズ等の記念品が送られるという。