漫才コンビの宮川大助・花子が3日、著書『あわてず、あせらず、あきらめず』(主婦の友社)の出版を受けて取材に応じ、本に込めた思いや現在の生活、そして今後の展望などについて語った。

  • 宮川花子(左)と大助

花子が多発性骨髄腫と診断され、夫の大助のサポートのもと病と闘った記録したこの本。花子は「19年の12月に自分の病気のことで会見させていただきまして、そのときは多発性骨髄腫というのは治るもんやと思ってたんです。でも、だんだん病気のことを知るにあたって、この病気は治らないというのを知りました。でも、100年、200年、300年も生きられるわけはありませんので、自分はこれからも薬と日進月歩闘っていきたいと思います。その期待を込めて、この本に託しました。それで、“あわてず、あせらず、あきらめず”これからの人生を生きていきたいというのをお伝えしたかったんです」と話し、「決して遺作品ではありません。これからの自分の希望を載せた本ですので」と強調した。

そして…

花子「うちの介護男子です。あなたからもどうそ」
大助「あのー…」
花子「はい、ありがとうございました」

と、定番のやり取りがあった上で、大助は「朝の1時か2時くらいに目が覚めて、僕この本をもう1回読み直してみたんですね。50ページくらいは入院するまでの過程の話なんですけど、何回も本を伏せましたね。大変な病気と嫁が闘っているんだなと。それからページが進むと、(花子の師匠であるチャンバラトリオ・)山根伸介師匠の奥さんからの言葉とか…」と、涙があふれて言葉が詰まる。

花子に「今回は泣いたらあかんって言ってたのに」とツッコまれながら、大助は仕切り直して「難病と闘っている方はたくさんおられますよね。その人たちのちょっとした支えとか、ヒントになればという思いも込めて、嫁は一生懸命つづったと思います」と述べた。

花子は、現在の生活について、「めちゃめちゃしんどいです。朝起きてから何回『痛い痛い』言わなあかんかないうくらいなんですけど、ちょっと家族に迷惑かけるけどできることになったのは、お風呂に入れることと、トイレに行けること。それとベッドに寝たりとか、そういうことは何とかリハビリでできるようになりました。あとは階段で2階に上がれるようになりました」と、進歩していることを報告。

また、韓流ドラマを見ながら手芸にいそしむのが毎日の楽しみだそうで、『M-1グランプリ』も「見ながら勝手に審査してます。錦鯉さんの次に出たオズワルドさんは、ちょっと陰気に出過ぎたなとか、そうやって審査するの大好き。モニターで良かったら審査します」と、審査員に名乗りをあげた。

その上で、「最初は退院してきて、ちょっとリハビリして歩きだして『いけるかな?』って思ったんですけど、また後退して、抗がん剤治療が始まってっていう繰り返しやからね。だから、遠くの夢はもう見れなくなりましたね。ちょっと先のことを考えるようになりました。来週は何してるかなとか、1カ月後はどうかなとか。だから、NGK(=なんばグランド花月)で漫才という夢は、もう遠くに置いてます。今回、本を出版しまして、いろんな医師会とか講演会とかのお話も頂いておりますので、それがもし行けたら、自分のウォーミングアップにしていきたいなと思っております」と語る。

一方の大助は「今現在、NGKの定席に入っていただけませんかと言われても、そこで10分、15分立って2人で会話するというのは不可能だと思います。車イスの生活なので、座ってのトークショーみたいなものはやれるんじゃないかな。そういうスタイルが中心になっていくんじゃないかと」と構想。「新幹線に乗って、富士山見ながら東京に行けるようにしたいですね」と、先の目標を掲げた。

そして、花子は「夫婦で良かったなと思います。病気で1人で家で寝てたら大変やけど、常に大助くんが介護やってくれたりしてくれるから、常に2人でおしゃべりもさせてもらってるし、あー良かったなって思いました。だから、絶対なくてはならないものは、夫婦であり、漫才師であり、そこは一番大事やなと思います」としみじみ語りつつ、「これが福山雅治やったら良かったけどな」と付け加えた。

会見の途中にはサプライズで、2人と交流のある野性爆弾・くっきー!からビデオメッセージが登場。「全人類のバイブルになるような本」「『グラップラー刃牙の郭海皇になるまで生き続けてください。私よりも長く永遠に生き続けてください」とコメントを寄せ、花子は「ありがとうくっきー! うれしい」、大助は「いつも声かけて応援してくれて、本当に励みになってます」と感謝した。

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