1995年より放送された特撮ヒーロー作品『重甲ビーファイター』の変身アイテム「ビーコマンダー」をリニューアルした新商品「ビーコマンダー COMPLETE EDITION」が、プレミアムバンダイで予約受付スタートしている。

  • フォルテミュージックエンタテインメント『重甲ビーファイターミュージックコレクション』ジャケット(著者私物)

本商品は、『重甲ビーファイター』放送当時に発売された「ビーコマンダー」から、商品仕様や収録音声、遊び方を大幅にリニューアルし、大人のファンも満足できる“コンプリート版”として企画された。

『重甲ビーファイター』は、1995年2月5日から翌1996年2月25日まで全53話を放映した、東映製作の連続テレビドラマである。放映フォーマットは毎週日曜朝8:00~8:30、テレビ朝日系全国ネット。1982年放送の『宇宙刑事ギャバン』から始まる「メタルヒーローシリーズ」の第14作と位置づけられている。

  • DVD『重甲ビーファイター』VOL.1ブックレット表紙(著者私物)

ビーファイターとは、人類の科学技術と大自然の神秘的なパワーが融合した「インセクトアーマー」を身に着けて戦う「昆虫戦士」の名称。異次元からやって来た凶悪な侵略軍団「ジャマール」の襲撃に対抗するべく、地球の自然や生物たちを愛する3人の若者が戦士として選ばれた。ブルービートはカブトムシ(雄)、ジースタッグはクワガタ、レッドルはカブトムシ(雌)と、それぞれ「昆虫(甲虫)」をモチーフとした力強いヒーロー像が打ち出されている。

本作では、進歩した文明の代償として失われつつある自然を取り戻そうという「地球環境保護=エコロジー」が重要なテーマに選ばれた。全世界規模で環境破壊を食い止めるという考えは80年代からだんだんと強まり、本作が放送された90年代中ごろでは日常生活でもエコロジーという言葉が馴染み深いものになっていた。ジャマールは地球の自然を汚し、生物の命を踏みにじる敵であり、これに対抗するビーファイターは人類だけでなく、地球に生きる動物、昆虫、植物などあらゆる生命を守る使命を担う“強さと優しさ”を兼ねそなえたヒーローとして描かれる。

作品世界の骨子を築く重要な第1、2話の演出は、『野菊の墓』『Wの悲劇』などのヒット作で知られる日本映画界の名匠・澤井信一郎監督が務めた。澤井監督は『宇宙刑事シャイダー』(1984年)を手がけた際、初めての特撮ヒーロー作品にも関わらず、不思議ソングで人間を惑わす不思議界フーマの濃密なキャラクター性や、フーマの侵略に対抗するシャイダー/沢村大(演:円谷浩)と相棒アニー(演:森永奈緒美)のフレッシュな魅力を巧みに表現し、評判を取っている。澤井監督は本作において、ジャマールが人間の精神を操る「ジャマールメロディ」なる音楽を用いたり、非人間的な「黒仮面・黒マント」の集団を出したり、首領ガオームが異次元での戦闘空間「ガオームゾーン」を発生させたりと、意識的に『宇宙刑事シャイダー』を思わせる演出を行っていた。

昆虫学者・甲斐拓也(演:土屋大輔)はブルービートに、樹木医・片霧大作(演:金井茂)はジースタッグに、動物学者兼トレーナー・羽山麗(演:葉月レイナ)はレッドルに、ビーコマンダーを用いて「重甲」する。ビーファイターの装備はこのビーコマンダーの他にも、3ケタの数字をインプットすることによって多彩な能力を発揮する専用銃「インプットマグナム」や、ジャマールの強敵を粉砕できる必殺武器「スティンガーウエポン」、そして3機の巨大昆虫メカ「ビートマシン(ビートルーダー、スタッガータンク、レッドジャイロ)」などが登場。中盤からは、アースアカデミア南米支部に旅立った麗に代わってレッドルになる鷹取舞(演:巴千草)が届けに来た新装備「パルセイバー」や、ヘラクレスオオカブトムシを模したビーファイター最大の戦力「メガヘラクレス」、ブルービートの強化形態=スーパーブルービートが手にする最強銃「ビートイングラム」も登場し、子どもたちの興味をひき続けた。

地球を狙うジャマールには3つの軍団があり、圧倒的な戦力でこれまでに数々の次元を侵略してきたという設定。残忍な女戦士ジェラが率いる傭兵軍団は、サーベライザやバーラ、ゴルゴダルなど腕自慢の戦士たちが揃っている。自己改造を繰り返して屈強な怪物となったギガロが団長を務める合成獣軍団は、ヘビーズネーク、ガリネーズ、ナマケルゲなど、巨大な身体を持った怪物の集団である。そしてコンピューターウイルスが自己増殖して実体を持ったというシュヴァルツの戦闘メカ軍団は、ハンマコング、イカリボンバ、ガガミラーなど、強力な武器を備えたメカ戦士で構成されている。ジャマール怪人の中にはただ命令を聞いて暴れるだけではなく、自分の意志で行動する者も多数存在し、彼らの心の動きによって意外性のあるドラマが生まれる場合もあった。

  • DVD『重甲ビーファイター』VOL.2ブックレット表紙(著者私物)

第19話「誕生闇の新戦士」からは、ガオームの命を受けた魔道士ジャグールによって悪の昆虫戦士「ブラックビート」が登場した。謎の青年シャドーが「ブラックコマンダー」を用いて黒いインセクトアーマーを「邪甲」した姿であるブラックビートは、ブルービート/拓也をライバル視し、執拗に襲ってくる闇の戦士。そのミステリアスなふるまいと悲劇的な運命で、後半のストーリーを大いに盛り上げた。

今回商品化される「ビーコマンダー COMPLETE EDITION」では、劇中で用いられるビーコマンダーのイメージを重視。リアルさを追求した外観や、付属する「ミニヒーロー(フィギュア)」の精密再現に加えて、拓也たちがビーファイターに「重甲」する際の音声ギミックにも力が入れられた。

ブルービート、ジースタッグ、レッドルそれぞれのカートリッジを取り換えることで、キャスト音声や発光ギミックが変化。また、付属するビーファイターのミニヒーロー(フィギュア)は、彩色版に加えてクリア成形版も付属。本体にクリア成形版をセットすることによって、劇中同様にミニヒーロー(フィギュア)が発光する「重甲」シークエンスを忠実に再現できる。

その他、BGMボタンを長押しすると「ビートマシン発進モード」に切り替わり、ビートマシン出撃時に流れる「出撃!ビートマシン」の楽曲を聞きながら向井博士(演:笹野高史)のセリフを楽しめる。また、一定時間何も操作をしないと、甲斐拓也(演:土屋大輔)や片霧大作(演:金井茂)から通信が入る「通信モード」も搭載されている。さらに連続で「重甲」を行うと、ビーコマンダーの自己修復を追体験できる「修復モード」に切り替わり、なりきり感がよりアップするという。