――林遣都さんとは、2008年の映画『DIVE!!』で合宿をするほど濃密な撮影期間を過ごした作品での共演経験がありますよね。当時の印象と今の印象を教えてください。

『DIVE!!』では、3カ月ほど埼玉県の川口にある練習場に通って、同じ釜の飯を食べながら大部屋で一緒に寝て、そこで自分たちの話をたくさんした日々が印象に残っています。これまでも会ってはいましたが、一緒にお芝居をするのは14年ぶり。第一声はお互いに「変わらないね」で、遣都はいい意味で全然変わっていません。ひたむきでまっすぐでピュアで、決して表に出すわけではありませんが、内にすごく熱いものを秘めていて、心の奥に静かな優しさを持っている人。

当時を振り返って「あの頃はスタッフさんに焼肉の食べ放題によく連れて行ってもらっていたよね」とか、「当時一緒に合宿していた金戸選手が飛込競技の選手として活躍しているよね」とかいろんな話をしたので、今作でワインを飲むシーンを一緒に演じて「お互い大人になったな」と感慨深かったですね。

――林さんは「当時から変わらない」という印象なんですね。

芯の部分は変わらないです。ただ、お互い役者としてキャリアを重ねてきたので、作品作りや役へのアプローチは変わったと思います。あるシーンについて「僕はこう思うんですけど、どう思います?」って遣都に聞かれて「俺もそう思う」と答えたら、「じゃあ監督に言ってきます」って言いに行ってくれたりとか。頼りがいのある背中に「すごいな!」と思いました。

――そういった姿には刺激を受けますか。

昔はライバルとして負けたくないという気持ちがありましたが、あの頃一緒に頑張っていた仲間が大活躍している姿が、今はうれしいんですよね。同じ作品で一緒に同じ方向に向かっているという空間はとても居心地がいい。こういうときに「役者を長く続けていて良かった」と思います。

――最後に、改めて今作の見どころと稜の注目ポイントを教えてください。

展開が早くて見逃せないドラマです。「考察」っていうんですか? 伏線があって正に考察しがいのある作品でありながら、過去の過ちや青春時代を思い出す描写など、誰しもが感情移入できる物語でもあります。稜の印象はすごく真っ直ぐで一番クリーンだからこそ、怪しく見えるかもしれないですね。山梨の田舎出身という役ですが、僕も和歌山の、電車が1時間に1本しかないような場所で育ったので、等身大で演じさせて頂いています。遣都演じる雨宮と対照的な、稜の牧歌的な魅力にもぜひ注目してください。

■溝端淳平
1989年6月14日生まれ、和歌山県出身。第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。2007年、ドラマ『生徒諸君!』で俳優デビューし、2008年、『ハチワンダイバー』でドラマ初主演、さらに映画『DIVE!!』で初めて映画出演し、林遣都・池松壮亮とともに3人で主演を務めた。2010年、映画『赤い糸』で第33回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作に、ドラマ『天国と地獄〜サイコな2人〜』、『古見さんは、コミュ症です。』、舞台『終わりよければすべてよし』、『ムサシ』など。現在、ドラマ『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』にも出演中。