『デスノート』で話題を呼んだ俳優の藤原竜也と松山ケンイチがW主演を務める映画『ノイズ』。筒井哲也氏によるサスペンスコミックの実写化作で、絶海の孤島“猪狩島”の青年・泉圭太(藤原)と幼馴染の猟師・田辺純(松山)が、新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)とともに誤って小御坂睦雄(渡辺大知)という男を殺してしまい、3人はこの殺人を隠すことを決意する。

今回は松山と神木にインタビュー。2012年の大河ドラマ『平清盛』以来の共演で幼なじみ役となった2人は、今作で距離を縮めたという。今回は、共演中の2人の様子や、2人から見た藤原のすごさなどについても話を聞いた。

  • 左から松山ケンイチ、神木隆之介 撮影:友野雄

    左から松山ケンイチ、神木隆之介 撮影:友野雄

■撮影中にアニメにハマって号泣

——お二人の共演は2012年の大河ドラマ『平清盛』(松山:平清盛役、神木:源義経役)以来ですが…。

松山:『平清盛』の撮影では、実はあまり会えていないんです。

神木:僕は逃げる側だったので、お会いできたのはポスター撮影の時くらいだったかもしれません。

松山:でもその時に1回、ごはんに行ったよね。覚えてる? まだ未成年だったよね?

神木:覚えてます! ぎりぎり20歳になっていました。

松山:(笑)。その時は人もたくさんいたし、あんまり話す時間もなかったけど、今回は神木くんから色々な話を聞けたのが良かったです。アニメが好きということでおすすめを聞いて。教えてもらった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を、この『ノイズ』の撮影が終わって戻ったホテルで必ず見て……。本当に素晴らしい作品だった!(笑)

神木:すごい「泣いた」って言ってましたもんね。

松山:もう泣いて泣いて。撮影中に他の作品を見ていると、そういう感動を無意識に引きずるところもあって、(演じている役と)どこかリンクしているような気持ちにもなる。もちろん、まったくわからないレベルの話ですよ!(笑) 「この役をどうやってやろう」と考えてアンテナを張るから、やっている作品の時期によって、普段見るアニメやドラマ、映画とかの方向性も少しずつ変わる気がします。

神木:ちょっとわかります。共感というか、少なからず通ずるものを探します。

松山:それで 無意識に取り入れているところがきっとあるんだよね。

——神木さんにとっては、松山さんはどういう存在なんですか?

神木:僕はとにかく、たっちゃんさん(藤原)と松山さんが共演されていた映画『デスノート』が大好きだったんです。中学生の時に映画館で「わあ、すごい」と思って見ていた2人が目の前にいらっしゃるのが、現場に入って第一の感動でした。とにかく僕はもう皆さんにくっついていけるかどうか、必死で。こんなに緊張感を持った役は初めてでしたし、こんなに大きなことを背負った役もなかなかないので、とにかく緊張しながら、でもその緊張を途切れさせないように必死でやってました。

——そういう感覚になるのは、藤原さん松山さんというお二人が、大きすぎる存在ということですか?

神木:もちろん、そうですよ! 演技も「うわ、すごい」と思いながら見ていましたし、合間に会話している時も「(『デスノート』の)Lと月と話してる」と思ってしまったりもするんです。連絡先も「松山ケンイチさん(L)」と登録してます。

松山:『デスノート』の「L」じゃなくて、『ノイズ』の「純」にしてよ(笑)

神木:「純」だと紛らわしいので(笑)。ずっと大好きでしたし、お二人のすごさは『デスノート』上映当時から身に染みてわかっていたので、嬉しかったです。

——松山さんの手作りトマトジュースのラベルを神木さんが作った、というエピソードもあるそうですが、この作品がきっかけでまた仲が深まったんですか?

松山:撮影の休憩中に話している時「ちょっとラベル描いてくれない?」と言ったら、神木君がわざわざ空き時間にお店に行って、画材道具をそろえて描いてくれたんです。「1カ月待ってください!」とかじゃなくて、すぐに描いてくれて。

神木:「1カ月」だなんて、プロじゃないですから(笑)。でも、そう言っていただけて良かったです。

松山:そういうところがいいんだよ。本当に多才だから、話していてもすごく面白い。

■藤原竜也のすごさを目の当たりに

——今回は藤原さんと3人で幼なじみの役でしたが、お二人から見て「すごいな」と思ったのはどんなところでしたか?

神木:全体的に緊張感あるシーンばっかりでしたけど、本番前まで普通に笑ってるところがすごい。

松山:(渡辺)大知くんをずっといじってましたね。竜也さんのいじり方って、オチがないからちょっと怖いんですよ(笑)

神木:たしかに、わかります(笑)

松山:本気で言ってるのかボケてるのか、つっこんでいいのかどうか(笑)

神木:ほったらかしですからね(笑)

松山:大知君もビックリしたと思う(笑)。覚えているのは、大知くんが死んだシーンの撮影で、NGがあってもう1回やり直そうとしたら、死んでいるはずの大知君が起き上がっちゃって。みんな「いや、なんでだよ!(笑)」みたいな感じで笑ってたんだけど、ふと竜也さんを見たら芝居のまんま本気の顔だったの。「やばい! この人、まだやってる!」と思って。その集中力というか、こんな俳優さん、今まで見たことがないかもしれない。

神木:僕らが「今、和んじゃいけなかったのかな!?」と思うくらいの迫力で。

松山:そうそう。あと、余(貴美子)さんと柄本(明)さんの大絶叫シーンも、スタッフも役者も笑ってるのに竜也さん見るとやっぱりマジな顔してるんだよ。

神木:すごいですね! 集中力がカンストしてる。

松山:ちょっと、信じられない。

——松山さん、神木さんのお二人が言うくらいだから、よっぽどということですよね。

松山:でも、それくらい竜也さんの演技が暴力的というか、本当に殴られているみたいな感覚で対峙していました。

——ちなみにこの作品は「ネタバレ厳禁」で、神木さんは以前「ネタバレもけっこう大丈夫」ということをおっしゃってましたが、松山さんはいかがですか?

松山:イヤですね。『シックス・センス』とか、上映当時にエンドロールで「ネタバレしないでください」という注意書きが出ていたのを覚えているんですが、それくらい大事なものだったから。だから「ネタバレ=厳禁」のイメージは強いです。全部台無しになっちゃうんじゃないか、と。

神木:僕は意外と大丈夫なんです。「そこまでにいくプロセスはなんだろう?」と興味を持つから。

松山:2回目の感覚ってことかな。

神木:この『ノイズ』もネタバレ厳禁ですけど、何回も観てもらえたらきっとまた新しい見方ができると思います。

■松山ケンイチ
1985年3月5日生まれ、青森県出身。2001年に「New Style Audition」でグランプリを獲得しデビュー。2006年には『デスノート』『デスノート the Last name』のL役で話題となり、2012年にはNHK大河ドラマ 『平清盛』で主演を務める。近年の主な出演作に映画『怒り』『聖の青春』(16年)、『宮本から君へ』(19年)、『ホテルローヤル』(20年)、『ブレイブ-群青戦記-』『BLUE/ブルー』(21年)、ドラマ『日本沈没-希望のひと-』(21年)など。公開待機作に映画『大河への道』(5月20日公開)、『川っぺりムコリッタ』(2022年公開)がある。

■神木隆之介
1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。1999年、ドラマ『グッドニュース』に出演。映画『妖怪大戦争』(05年)で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作に、『桐島、部活やめるってよ』(12年)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』、『バクマン。』(15年)、『3月のライオン 前編・後編』(17年)、『フォルトゥナの瞳』『屍人荘の殺人』(19年)、『ラストレター』(20年)、『るろうに剣心最終章TheFinal』(21年)など。公開待機作に映画ホリック xxxHOLiC』(4月29日公開)、『GHOSTBOOK おばけずかん』(7月22日公開)がある。