――お世話になった監督の方々との思い出に残る出来事を教えてください。

この1年、たくさんの監督からいろいろなことを教えていただきました。中澤祥次郎監督はパイロット(第1、2話)を手がけられ、作品のことを誰よりも考えている方でした。そういう思いの強さを撮影の中で何度も感じました。普段の中澤監督はとても柔らかな印象なのですが、撮影に入るときの「ヨーイ、スタート!」の声だけ渋くてびっくりするんですよ。終わったら「はい、おっけ~、ちぇっく~!」って、元の感じに戻るんです(笑)。

山口監督はゾックスの人物像を築き上げてくださいました。SDワルドの回も山口さんで、ゾックスの登場とクライマックスを締めてくださった感じです。僕がゾックスを演じるにあたってこだわっていた部分に寄り添ってくれて、感謝しています。

田崎竜太監督からは「俳優は蛇口だからね」という言葉をいただき、それが『ゼンカイジャー』キャストの流行語になりました。感情を水道の蛇口に例えて、出し方を調節するのが俳優の仕事だって意味で、僕たちはいつも撮影が始まる前に「よし今日も蛇口ひねっていくか!」と言い合っていました。でも、ひなみんだけ田崎監督の言葉の意味を理解してなくて「ちゃんと蛇口をひねっては止める、を繰り返しています!」と言ったら「そういうことじゃないよ」って返されてたなあ(笑)。

――東京ドームシティ・シアターGロッソのゼンカイジャーショー第3弾特別公演では、増子さん、駒木根さん、世古口さん、森さんが出演されていました。撮影とはひと味違う舞台でのゼンカイジャーについてのご感想をお願いします。

僕や凌くんは舞台を経験しているので「日替わり慣れ」してるんです。最後の挨拶をするときは全公演で違うことを言う、なんてところに喜びを感じていますね。一方きいちゃんは今回が初舞台なんですけど、まったく初めてに見えない。アドリブもどんどん飛び出しますし、みんなのびのびとステージを楽しんでいます。

――各公演で、印象的だったアドリブのやりとりがあったら教えてください。

突然すごいことを言い出すのが凌くんで、Gロッソの第3弾公演でいちばん印象に残っているのは、挨拶のとき凌くんがステイシーになりきって「最近、僕には気にくわない奴がいる。金髪野郎! ヨホホイって言ってりゃなんとかなると思ってやがる! わけわかんねえ」って言ってきたんですね。僕としては、その言葉を受けなきゃと思って「おい暗黒野郎! ヨホホイって大声で言ってみな!」「ヨホホ~イ!」「どうだ気持ちがいいだろう」ってやりとりを続けたんですよ。そうしたら、きいちゃんがさらに乗せてきて「2人とも、ここで仲直りして! 普通じゃつまんないから、可愛く“ゴメンね”って言って」って言い出したんです。きいちゃんがすごいのは、僕たちのかけあいをまとめると共に「ケンカしてもちゃんと仲直りしようね」ってメッセージを子どもたちに伝えるところまで持っていく、頭の回転の速さです。あれには驚きましたね。これからGロッソ第4弾もありますので、今からみんなとの共演を楽しみにしています。

――公演を観ている子どもたちの姿を確認されたことはありますか?

コロナ禍が収まっていない今は、場内で大きな声を出すことができません。それでも子どもたちはすごく興奮して、声を出したくてウズウズしてるのがわかるんですよ。開演直前に、僕は舞台袖のところから客席を見ているんですけど、客席の子どもたちが開始を今か今かとワクワクしていて、とてもかわいいんです。ステージが始まって、ゾックスがトジテンドにやられそうになるのを見た子どもたちが、悔しそうな表情で見守ってくれます。そんなとき、僕も「あと一歩、あと一歩、頑張っていこう!」と思えるんです。子どもたちから確実に、強いパワーをもらっていますね。声援がなくても、ちゃんと思いが伝わってきます。今後、もっと子どもたちと触れ合うことのできる機会が増えればいいなと、心から願っています。

――最後に、2022年3月に発売されるというセカンド写真集についてのお話を聞かせてください。

まだ完成はしていなくて、先日北海道で撮影をしました。まだタイトルも決まっていないのですが、ファースト写真集が「A」だったので、次は「B」面というイメージでいきたいと考えています。「A」のときは19歳で、ちょっとあどけない、さわやかで笑顔たっぷり好青年という感じでしたが、あれから2年の月日がすぎて、いろいろな経験をしてきましたから、こんどは「ここまで成長しましたよ、いろんな表情が出せるようになりましたよ」という部分を見てほしいです。「A」がポジティブな自分だったのに対し、次は逆のコンセプトで行きたい。表面ではなく、内面の自分を見せたいんです。一人で考え事をしたり、たそがれていたり、何かを見て笑っていたり、いろんな表情を詰め込んでいければと思います。『ゼンカイジャー』も最後まで頑張りますので、みなさん応援をよろしくお願いします!