日本の学校では、4月1日生まれまでが「早生まれ」とされ、4月2日生まれと学年がわかれてしまいます。これはなぜなのでしょうか。この記事では、「早生まれ」についてわかりやすく解説します。

  • 早生まれはいつからいつまでに生まれた人?

    「早生まれ」にはどのような意味があるのでしょうか

「早生まれ」とは

「早生まれ」という言葉はさまざまなシーンで使われますが、特に多いのは子どもの学年について話す場面でしょう。同じ年に生まれた子どもでも、誕生日によっては学年が変わることがあります。そこで用いられるのが「早生まれ」という表現です。

具体的に「早生まれ」とはいつからいつまで生まれた人のことを指すのでしょうか。ここでは、「早生まれ」という言葉の意味についてくわしく紹介します。

「早生まれ」とはいつ生まれた人のこと?

「早生まれ」とは、「1月1日~4月1日までの間に生まれた人」を指します。同じ2021年4月生まれであっても、4月1日のみが「早生まれ」に該当します。

日本の制度においては、4月2日~翌年4月1日までに生まれた人が同じ学年として進学します。こうした学校教育法における学齢の決め方については、後ほどくわしく紹介します。

「早生まれ」と「遅生まれ」との違い

「早生まれ」に対して「遅生まれ」があります。「早生まれ」の意味を理解していれば、「遅生まれ」については簡単に理解できるでしょう。

  • 早生まれ: 1月1日~4月1日までの間に生まれた人
  • 遅生まれ: 4月2日~12月31日までに生まれた人

上記のように「遅生まれ」は「4月2日~12月31日までに生まれた人」のことを指します。同じ年の「早生まれ」の人より1年遅く就学することから「遅い」と表現されるわけです。

特に4月生まれの人は1日だけとはいえ、同じ月の中で「早生まれ」と「遅生まれ」に分けられるため、「遅生まれ」を意識する機会が多いかもしれません。

数え年の考え方がベース

1月1日~4月1日生まれの人が「早生まれ」と呼ばれるようになった理由のひとつに「数え年」という考え方があります。数え年とは、生まれた年を1歳として、新年を迎える度に年齢を重ねていくという考え方です。

この数え年からすると、4月2日~12月31日生まれの人が4月1日に小学校に入学する年齢は「8歳」です。それに対して、翌1月1日~4月1日までに生まれた人は「7歳」で小学校に入学します。

つまり、数え年では1歳早く入学することから「早生まれ」と呼ばれるようになったともいわれています。時代によっては「早生まれ」以外にも7歳で小学校に入学することから「7つあがり」や「はやあがり」と表現されることもあったそうです。

  • 早生まれはいつからいつまでに生まれた人?

    「早生まれ」と「遅生まれ」の違いを知っておきましょう

4月1日生まれと2日生まれで学年が変わるのはなぜ?

日本では一般的に4月1日から新年度がスタートします。それなのに「早生まれ」と「遅生まれ」の区切りが3月31日ではなく、4月1日であることに疑問を感じる人もいるでしょう。

ここでは、4月1日と2日とで学年が違う理由について解説します。

学校教育法の「学齢の決め方」

4月1日と2日で学年が変わる理由は、学校教育法にあります。学校教育法では以下のような規定があります。

「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから」就学させる義務を負う

それでは、この「満6歳」にはいつなるのでしょうか。満年齢は、生まれた日を起点に「誕生日の前日まで」が当てはまります。3月31日生まれは3月30日に、4月1日生まれは3月31日に、4月2日生まれは4月1日に満6歳になります。

つまり、学校が始まる4月1日時点では、4月1日生まれの子はすでに満6歳ですが、4月2日生まれの子は当日満6歳になったばかり。「満6歳に達した日の翌日以降の学年から就業させる」という条件に引っかかるため、就業が翌年まで持ち越されるのです。

  • 4月1日と2日で学年が違う理由

    「早生まれ」は学年の違いに大きく影響します

「早生まれ」のメリット・デメリット

「早生まれ」の人は同じ年に生まれたにもかかわらず「遅生まれ」の人よりも早く小学校に入学し、進級することになります。「早生まれ」でも「遅生まれ」でも受けられる教育は同じなので大きな違いはないと思うかもしれません。しかし、いくつかのメリットとデメリットがあります。

「早生まれ」のメリット

「早生まれ」の子どもは、幼稚園などにも早く入園できるというメリットがあります。同じ年の4月生まれであっても、1日と2日では入園には1年の差があるのです。そのため、親としては、早い段階から子どもを幼稚園などに預けることができる点で大きなメリットでしょう。

子どもが小さいいうちは、親は運動能力などが「遅生まれ」の子どもに比べ劣っていると感じる機会が多いかもしれません。しかし、ある程度の年齢になると、「早生まれ」の人の中には同学年のほかの人よりも1歳若いことに優越感を抱く人もいるでしょう。年齢を重ねれば、子どものころほど1年の差を大きく感じる機会はなくなります。それでも、少しでも若くいられるという点ではメリットといえます。

また、長い目で考えると生涯賃金においてもメリットがあります。

定年退職日が誕生日となっている会社の場合、「早生まれ」の人は「遅生まれ」の人よりも最大で1年近く長く働けることになります。さらに、勤務年数によって退職金を計算する会社であれば、同じ定年退職でも「早生まれ」の人は、「遅生まれ」の人より退職金が多くなるケースもあるでしょう。

「早生まれ」のデメリット

ある程度の年齢になれば、半年から1年ほどの生まれの差を大きく感じることはそれほどありません。しかし、保育園や幼稚園、小学校低学年といった年代では、その差が大きく感じられるものです。身体の大きさや体力、学力などに差が出ることもあり、なにかと不利になってしまいがちです。

また、0歳児を対象とした認可保育園では、4月入園が可能なのは生後57日目からとなっているのが一般的です。入園から逆算して2月上旬ごろまでに出産予定がある場合は出産前でも申し込みができますが、それ以降については申し込みができなくなります。

年齢によってメリットとデメリットの大きさは変わる

「早生まれ」は主に学生生活に影響します。幼いころは、半年から1年ほどの年齢差を大きく感じるかもしれませんが、年齢を重ねていくにつれてその影響は小さくなります。

もちろん、定年のタイミングなど大人になってからメリットやデメリットを感じることはありますが、「早生まれ」の影響は年齢によって差があるといえるでしょう。

  • 早生まれのメリットとデメリット

    「早生まれ」にはメリットとデメリットの両方があります

海外にも「早生まれ」はある?

日本では「早生まれ」に学校教育法が大きく影響していますが、海外ではどうなのでしょう。ここでは、海外における「早生まれ」について紹介します。

アメリカの場合

アメリカにおける学校の新年度は、日本と違って9月にスタートするのが一般的です。しかし、誕生日による学年の分け方は、州によって異なります。

具体的には、ワシントン州では9月1日~翌年8月31日生まれの人が同学年になると定められている一方で、ミシガン州では新年度開始が同じ9月ですが、前年12月1日~11月30日生まれの人が同学年です。

アメリカでも同様に学年の区切りの直前に生まれた人は「早生まれ」にあたり、英語では「youngest」と表現されます。ただし、アメリカでは「早生まれ」の子どもの小学校への入学を、親の判断で遅らせることができる場合もあります。

イギリスの場合

イギリスの学校も、アメリカと同様に9月開始です。イギリスでも地域によって制度は異なりますが、一般的に誕生日における学年の区切りは9月1日になっています。

ただし、5歳の時点ですべてのアルファベットを理解し、文章を用いての会話や基本的な読み書きができるといった条件が求められます。そのため、「早生まれ」の子どもは1年遅らせて就学させることも可能です。

しかし、イギリスの学校では飛び級や留年なども多く、年齢と学年をあまり意識することは少ないため、日本ほど「早生まれ」の影響はないと考えられます。

オーストラリアの場合

オーストラリアの学校では新年度は1月末、または2月初めに始まります。この点は全国共通ですが、誕生日による学年の区切りは州によって異なります。

当然、「早生まれ」となるケースもありますが、何月生まれの子どもであっても成長に合わせて親が入学時期を判断できるため、オーストラリアでも日本ほど「早生まれ」を強く意識することはないようです。

中国の場合

中国の学校の新年度は9月始まりです。誕生月による区切りも9月で、その直前に生まれた子どもは「早生まれ」となります。しかし、中国の場合は「早生まれ」でも入学を遅らせることはできないとされています。

韓国の場合

韓国の学校では新年度は3月に始まり、終わるのは2月です。よって、学年の区切りは1月です。そもそも現在の韓国には「早生まれ」が生じないように配慮されており、日本とでは年齢の数え方も異なっています。

例えば、日本では生まれたばかりの乳児は0歳、誕生日を迎えて1歳となりますが、韓国の場合は生まれた瞬間で1歳となり、1月1日を迎えたら全員が1歳年をとります。つまり数え年が一般的なのです。

ちなみに韓国では欧米と同様に、子どもの成長に合わせて入学時期の調整が可能です。

  • 海外に早生まれはある?

    国によって学校の制度は異なります

「早生まれ」について正しく理解しよう

日本での「早生まれ」とは、1月1日~4月1日までの間に生まれた人のことを指します。日本の学校教育法において、「早生まれ」の人は同じ年の4月2日以降に生まれた人より、1年早く小学校に入学することになります。

「早生まれ」と「遅生まれ」の違いは、子どもが幼稚園や小学校など小さいうちは何かと顕著に表れるものですが、年を重ねるにつれて気にならなくなる人が多いでしょう。