2021年も残すところ、あとわずかとなりました。何かと慌ただしくなる時期ですが、冬のボーナスが支給され、ウキウキした気持ちの人もいることでしょう。今年も新型コロナウイルスの影響が大きい1年でしたが、2021年冬のボーナスはどのようになったのでしょうか。業種ごとの平均や、冬ボーナスの推移などをご紹介します。

  • 2021年大企業の冬ボーナスの平均はいくら?

    2021年大企業の冬ボーナスの平均はいくら?

■2021年大企業の冬ボーナスの平均は?

日本経済団体連合会(経団連)は12月22日、「2021年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」(※1)を発表しました。これによると、全業種の妥結額の平均は、前年比5.16%減の82万955円。2年連続のマイナスとなりました。また、金額は、2013年の80万6,007円以来の低い水準です。

なお、製造業の平均は85万3,475円と前年比1.32%減(2020年は86万4,862円)、非製造業の平均は71万2,019円と前年比18.01%減(2020年は86万8,431円)でした。特に、非製造業は、比較可能な1997年以降で最大の下落率となり、過去最低額となっています。

次に、業種ごとの妥結額の平均を見てみましょう。妥結額の高い業種から順に並べてみました(業種、妥結額、前年比の増減率、2020年の妥結額の順)(※2)。

業種ごとの妥結額の平均一覧

  • 業種ごとの妥結額の平均一覧

最も妥結額の平均が高かったのは、建設の119万5,955円。それでも、前年比17.18%減と大きく下落しました。それ以上に落ち込みが大きかった業種は、コロナ禍における運行状況への影響が続いている私鉄の22.26%減。また、造船も7.16%減となりました。一方、2020年冬は32.81%減と大きく下落した商業は、売り上げが復調傾向にあることから、今回は23.15%増となっています。その他、印刷は8.57%、繊維は6.30%の増加です。

ちなみに、大企業の冬ボーナスの平均は、2013年~2021年では以下のように推移しています(※3)

2013年 80万6,007円
2014年 84万8,405円
2015年 88万593円
2016年 88万736円
2017年 88万793円
2018年 93万4,858円
2019年 95万1,411円
2020年 86万5,621円
2021年 82万955円

2013年~2019年までは毎年金額が伸びていましたが、2020年でガクッと数字を落としています。また、先述の通り、今年も前年比でマイナス、金額は2013年以来の低い水準となりました。ただし、過去の金額と比べて極端に低いわけではありません。とはいえ、来年には下げ止まり、回復基調に転じてほしいものです。

(※1)調査対象は、原則として東証一部上場、従業員500人以上、主要21業種大手254社。このうち、21業種193社の回答(平均額不明の29社を除く)を集計
(※2)建設、商業、私鉄は従業員平均の数値を含む。ホテルについては、集計社数が2社に満たず数字が伏せられているため、一覧から除外している
(※3)いずれも経団連発表の「年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」による

■中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額

ここからは、中小企業も含めた冬ボーナスの平均支給額をご紹介します。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月10日に発表した「2021年冬のボーナス見通し」によると、民間企業(事業所規模5人以上)の冬ボーナスの1人当たり支給額は、38万254円、前年比0.1%減と予想されています。

コロナ禍の影響は一巡し減少に歯止めがかかったものと見られますが、製造業、非製造業では明暗が分かれる結果となっています。製造業の1人当たり支給額は、48万8,083円と前年比0.5%増。一方、非製造業の1人当たり支給額は、35万8,515円と前年比0.2%減です。増減はいずれも小幅ですが、業績の改善が先を行く製造業では回復の兆しが見られ、非製造業では底ばいが続くと思われます。

昨年は支給が見送られたものの、今年は業績が回復しボーナスが復活したという企業も。しかし、今年もボーナスなし、となった企業も少なくないようです。帝国データバンクの「2021年冬季賞与の動向調査」(※4)によると、「賞与はない」企業は12.0%、「小規模企業」では23.5%でボーナスが出ないという結果に。中でも、従業員が5人以下の企業は、賞与のない企業が3社に1社にのぼっています。

そもそも、必ずもらえるとは限らないのがボーナス。たとえ支給されても、業績や経済の動向によっては、期待通りとはいかないこともあります。もらえれば当然嬉しいですが、ボーナスありきのマネープランを立てるのは控えましょう。

(※4)調査対象は全国2万3,679社で、有効回答企業数は1万1,504社(回答率48.6%)

■前年比マイナスとなった冬ボーナス

今年の冬ボーナスは、前年比マイナスであるものの、製造業は回復傾向、非製造業は未だ低調であると見られます。来年のボーナスがどうなるかは、コロナの感染状況にも左右されることでしょう。経済や企業の業績が上向き、ボーナスもプラスに転じることを祈りたいですね。