レポートやビジネス文書などを作成する際に使われる要約という言葉。実際に何らかの文章を要約したことがある人も多いと思いますが、その意味ややり方を正しく理解できていますか? 今回は、要約の意味や類語などをくわしく解説。また、要約のやり方についてもあわせて紹介します。
要約の意味とは?
要約は、文章の要点を取りまとめることや、その取りまとめたもの自体をさす言葉です。
要約をするにあたっては、文章における言いたいことを簡潔に短くまとめる力が求められます。ビジネス文書や論文を書く際など、さまざまなシーンで重宝するスキルです。
要約の類語
言葉の意味をより深く理解し、使い方のポイントを把握するためには、類語を知ることが非常に効果的です。要約にも類語がいくつかありますので、それぞれの意味や要約との違いを確認しておきましょう。
要点
「要点」は、「物事の中心となる重要な点」という意味です。
文章においてはひとつの意味段落の中でとりわけ重要な部分を「要点」と呼び、「話の要点をつかむ」などの形でよく使用されます。
要約が文章全体を簡潔にまとめたものであるのに対し、「要点」は文章の重要な部分のみとなるので、それぞれの特徴をよく理解しておくようにしましょう。
要旨
「要旨」は「主要な内容やあらまし」という意味で、文章の作者が最も言いたいことをピックアップしたものとなります。
文章における大事な部分をあらわしているという点では、要旨と要約は似ています。しかし、要約がもとの文章の構成どおりに展開すべきであるのに対し、「要旨」では大意があっていれば文章の構成は問いません。
作者の伝えたいことがまとめられていれば順番を入れ替えることが可能となるため、ルールを理解して要約と使いわけるようにしましょう。
総括
「総括」は、物事をひとつにひっくるめ、全体を取りまとめることをさす言葉です。
「まとめる」というニュアンスの言葉であるため要約と似ているように感じますが、要約が文章に対して使われるのに対し、「総括」は活動の締めくくりなどに対して使用されるという違いがあります。
例えば、「本年度の総括」や「業績の総括」などの形で使われることが多いので、用法や使用シーンを覚えておくといいでしょう。
要約のやり方
さまざまなシーンで活用できる要約のスキルですが、実際に文章を要約するとなるとやり方がよくわからないという人もいるでしょう。
ここからは、要約のやり方をいくつかの手順にわけてくわしく解説します。
(1)文章全体を読む
まず、要約をするにあたり文章の大まかな内容を頭に入れる必要があるので、文章全体を読むことから始めます。その中で何度も出てくるキーワードがある場合は要点につながる可能性が高いため、チェックしておくといいでしょう。
また、できるだけ文章を書いた人の気持ちになって読むことにも気をつけながら、全体を読み進めていきます。
(2)段落ごとにわける
全体を読み終えたら、それぞれの文章を「意味段落」ごとにわけていきます。
段落には大きくわけて2種類あり、改行して1字下げて始まる文のまとまりのことを「形式段落」、形式段落を同じ意味を持つまとまり同士でわけたものを「意味段落」といいます。
要約する時は「意味段落」ごとに文章を整理し、全体的な構成を理解するように努めるといいでしょう。
(3)要点をピックアップする
文章全体の構成が把握できたら、筆者が「伝えたいこと(要点)」だと感じられる部分をピックアップしていきます。要点は具体例が記載されている前後や接続詞に続く文章、最後の形式段落の中などにあることが多いです。
筆者が文章の中で一番言いたいことが要点であるため、マーカーで印をつけるなどしてしっかりとチェックしておきましょう。
(4)簡潔な文にまとめる
最後に、筆者の考えが書かれている部分やピックアップした要点などをわかりやすい文章にまとめます。この際、原文を短くするだけではなく簡潔にするため、言い換え表現などを使って文章を要約していきます。
なお、要約においては、文章の構成を入れ替えることはせず、元の構成どおりに要点をまとめるようにしましょう。
要約するうえで注意すべきポイント
要約は、一度手順を理解してしまえば決して難しくはありません。しかし、慣れないうちはただ原文を短くしただけの要約文になりがちなため、十分注意する必要があるでしょう。
対処法としては、要約をする際はできる限り自分の言葉でまとめるようにし、言い換え表現をうまく活用するという方法があります。類語辞典で必要な言葉を調べたり、普段から新聞や小説などを他の人に簡潔に伝える練習をしたりなど、わかりやすい要約文を作ることを心がけましょう。
要約の英語表現
海外の取引先などとやり取りをする機会が多い人の中には、要約の英語表現が知りたいという人もいるでしょう。
要約は、概要や要約という意味の名詞「summary」を使ってあらわすことができます。英文メールや企画書などでもよく登場する単語です。
「summary」を使った例文
「summary」を使ったビジネスシーンでよく使う英文を紹介します。用法や使用シーンなどを確認しておきましょう。
・Could you make a summary of these documents and send it the other team members?
書類の要約を作成し、他のチームメンバーに送ってもらえますか?
・In summary, customers can get our products through this system anytime, anywhere
要約すると、顧客はこのシステムを使っていつでもどこでも私たちの製品を手にいれられるということです
・Please give a summary of the last meeting because I was absent due to a business trip
出張で欠席してしまったので、前回のミーティングの要約を教えてください
要約の意味・やり方などを正しく理解しよう
要約は、文章の要点を取りまとめることやその取りまとめたもの自体をさす言葉で、英語であらわすと「summary」です。ビジネス文書や論文を書く際などさまざまなシーンで重宝するスキルで、筆者が言いたいことを簡潔に短くあらわす必要があります。
要約のやり方は一度覚えてしまうと難しくはありません。自分の言葉で、もともとの文章の構成どおりにまとめるようにしましょう。