――テレビでは一輝とバイスの軽妙なセリフのやりとりが話題となっていますが、映画では飛羽真がバイスとのかけあいを行うという、珍しい場面が見られるそうですね。実体のない悪魔という設定のバイスとのお芝居で、難しかったのはどんなところでしょう。

バイスは『仮面ライダーセイバー』でもお世話になった永徳(仮面ライダーブレイズ・スーツアクター)さんが演じてくださっているので、まったく芝居がしづらいなんてことはありませんでした。永徳さんはお芝居がお上手ですし、声も仕草もまさにテレビで観ているバイスのイメージそのままで、スムーズに撮影が進みました。ただ、アフレコでは僕が先に収録するスケジュールだったので、木村昴さんのセリフを聴いていないのが残念でした。木村さんがアドリブでどんなセリフを飛ばしまくるのか聴きたかった。現場では、永徳さんもアドリブ的な動きをどんどん入れて、すごかったですよ。アドリブ演技って、どちらかというとやる方が怖いんです。アドリブを仕掛けられたほうは、ナチュラルな反応で返せるからいいんですよね。それにしてもバイスは動きもセリフも自由すぎます。『仮面ライダーセイバー』でもバイスみたいに自由なキャラがいたとしたら、飛羽真のリアクションとかツッコミとかも、かなり雰囲気が変わってきたんじゃないかと思いながら演技をしていました。

――飛羽真の場合、好き放題な行動を取るバイスを強く叱りつけるのではなく、優しくツッコミを入れつつ正しいことを教えようとする感じでしたね。

『仮面ライダーセイバー』の作品中でも飛羽真はツッコミ担当だったので、バイスを相手にしてもそこはうまくできているんじゃないかと思います。キャラ的にはとてもやりやすい相手でしたね。

――聖剣「火炎剣烈火」を手にして、変身ポーズを取るシーンをひさびさに撮影したときの思いを聞かせてください。

久しぶりに変身できたというよりも、「もうこれで変身は最後か」という寂しさのほうが強かったです。ファイナルステージで公演を重ねたときは「変身!」と叫ぶのはあと残り何回だと数えながら、一回ずつ大事に大事に言ってきました。映画では倫太郎(仮面ライダーブレイズ/演:山口貴也)との同時変身が最後だったんですけど、意外とサラっと終わっちゃたなという印象でした。あまりにもあっさり最後の変身が終わり、帰りの車の中で「もう“変身”って言えないんだな……」としみじみ思ったとき、猛烈に寂しくなりました。「ここからは、また新しいスタートだ!」と気持ちを切り替えていこうとも思いましたが、まだまだ『仮面ライダーセイバー』は自分の心の中にずっしりと残っているようです。

――映画では現代(2021年)から50年前の1971年と、50年後の2071年という3つの時代を行き来するライダーたちの活躍が描かれています。これに絡めた質問ですが、内藤さんは50年後、どんな人生を送っていると思われますか?

うーん、どうなんだろう……。ちゃんと結婚して家庭を持って、子どもたちが元気に育ってくれていればいいなと思います。そして年に一度くらいは、子どもや孫たちが一同に集まって、家族みんなが穏やかな気持ちで過ごすことができれば(笑)。

――仮面ライダー1号/本郷猛として50年前に大活躍した藤岡弘、さんのご長男・真威人さんが今回の映画で本郷猛を演じられたように、50年後、内藤さんの息子が仮面ライダーを演じるといった「未来」が来るかもしれません。

もしそんなことになったら、親として鼻が高いでしょうね。でも僕は、子どもを芸能界に入れないかもしれませんよ(笑)。

――未来のことは誰にもわからないですが、内藤さんとしては、仮面ライダーシリーズがずっと続いてほしいと思われますか。

もちろん。仮面ライダーは僕が将来父親になっても、おじいちゃんになってもずっと続いていってほしいです。そのためには、今の自分たちがいろんなメディアに出て、仮面ライダーの魅力をアピールしていくことが重要なんじゃないかと思います。

――これからも内藤さんは俳優としてさまざまなドラマや映画に出演されると思います。今いちばん演じてみたいのは、どんな役柄でしょう。

うーん、演じてみたい役柄はいっぱいありますね。『仮面ライダーセイバー』で1年間、まっすぐに生きるヒーローを演じてきましたから、今後は真逆のキャラクターに挑戦してみたいと思っています。たとえば、メンタル面の危うい、屈折した青年像であるとか……。観ている方たちに共感していただけるような、リアリティのある人間を演じることができればいいですね。

――これからのご活躍にも期待しています! 最後に『仮面ライダー50周年記念映画 仮面ライダー  ビヨンド・ジェネレーションズ』の見どころを教えてください。

飛羽真がバイスに「約束」を守ることの大切さを伝えるくだりにご注目してほしいです。『仮面ライダーリバイス』から仮面ライダーを観始め、『仮面ライダーセイバー』はよく知らないという方もいるかと思いますが、ここは「仮面ライダーセイバー/神山飛羽真とはこういう人間なんだ」というのが一目でわかるシーンですので、ぜひ観ていただいて、『仮面ライダーセイバー』のことも気にかけていただければうれしいです。また『仮面ライダーセイバー』をずっと観てくださって、今もなおファンでいてくださる方にも感謝しています。これからも『仮面ライダーセイバー』のことを忘れずに、いつまでも愛し続けてください!