公益財団法人 日本漢字能力検定協会は12月13日、今年一年の世相を表す漢字一字が「金」に決まったことを発表した。2016年以来5年ぶり4度目。11月1日〜12月6日、2021年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集し応募22万3,773票の中から1万422票(4.66%)を集めて1位となったもの。

  • 2021年「今年の漢字®」第1位「金」 主催・写真提供:(公財)日本漢字能力検定協会

長く暗いコロナ禍において開催された東京オリンピック・パラリンピックで日本人選手が多数の「金」メダルを獲得。大谷翔平選手の大リーグMVPを満票で受賞、松山英樹選手の日本人初のマスターズ制覇、藤井聡太棋士の最年少四冠達成など、各界で打ち立てられた「金」字塔がひときわ輝くニュースとなった年に。

飲食店への休業支援「金」・給付「金」、子育て世帯を対象とした臨時特別給付「金」の議論、新紙幣印刷開始や新500円硬貨流通など、お「金」にまつわる話も数多く話題に上がった。

応募の多かった上位10位までの漢字は以下の通り。

1位「金」(キン・コン/かね・かな・こがね)(4.66%)
2位「輪」(リン/わ) (4.60%)
3位「楽」(ガク・ラク・ゴウ・ギョウ/たのしい・たのしむ・かなでる・このむ)(2.76%)
4位「変」(ヘン/かわる・かえる)(2.50%)
5位「新」(シン/あたらしい・あらた・にい・さら)(2.12%)
6位「翔」(ショウ/かける・とぶ)(1.60%)
7位「希」(キ・ケ/まれ・こいねがう)(1.31%)
8位「耐」(タイ/たえる)(1.31%)
9位「家」(カ・ケ/いえ・や・うち)(1.26%)
10位「病」(ビョウ・ヘイ/やむ・やまい)(1.26%)

また、過去の「今年の漢字」と選定理由は以下の通り。

1995年「震」 阪神・淡路大震災や、オウム真理教事件、金融機関の崩壊などに「震えた」年。
1996年 「食」 O157食中毒事件や狂牛病の発生、税金と福祉を「食いもの」にした汚職事件の多発。
1997年 「倒」 金融機関など経営破たんの続出。サッカー日本代表が並み居る強豪を倒してFIFAワールドカップ初出場決定。
1998年 「毒」 和歌山のカレー毒物混入事件や猛毒ダイオキシン、環境ホルモンなどが社会問題に。
1999年 「末」 世紀末。東海村の臨界事故や警察の不祥事など信じられない事件が続発して、「世も末」と実感。
2000年 「金」 シドニーオリンピックでの日本人選手の金メダル獲得や、南北朝鮮統一の実現に向けた"金・金"首脳会談など。
2001年 「戦」 米国同時多発テロ事件で世界情勢が一変し、対テロ戦争、炭疽(たんそ)菌との戦い、世界的な不況との戦いなど。
2002年 「帰」 日本経済がバブル前の水準に「帰り」、昔の歌がリバイバルされ大ヒット。北朝鮮に拉致された5人が24年ぶりに帰国。
2003年 「虎」 阪神タイガース18年ぶりのリーグ優勝、「虎の尾を踏む」ようなイラク派遣問題など。
2004年 「災」 台風や地震などの記録的な天災や、イラクでの人質殺害や子どもの殺人事件など、人災が多発。
2005年 「愛」 紀宮様のご成婚、「愛・地球博」の開催、各界で「アイちゃん」の愛称の女性が大活躍。
2006年 「命」 悠仁様のご誕生に日本中が祝福ムードに包まれた一方、いじめによる子どもの自殺など、痛ましい事件が多発。
2007年 「偽」 身近な食品から政界、スポーツ選手にまで次々と「偽」が発覚して、何を信じたら良いのか、わからなくなった。
2008年 「変」 日米の政界に起こった変化や世界的な金融情勢の変動、食の安全性に対する意識の変化など様々な変化を感じた年。
2009年 「新」 政権が交代し新内閣が発足、アメリカでも新大統領が就任、裁判員制度やエコポイント制度などの新しい制度も始まった。
2010年 「暑」 猛暑日の連続で熱中症にかかる人が続出、地球温暖化の警鐘を感じた年。
2011年 「絆」 東日本大震災など大規模災害の体験から、身近な人との絆の大切さを再確認した年。
2012年 「金」 金環日食など天文現象の当たり年、ロンドンオリンピックで日本史上最多メダル獲得など数多くの金字塔が打ち立てられた年。
2013年 「輪」 2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催、富士山の世界文化遺産登録など、日本中が輪になって歓喜に沸いた年。
2014年 「税」 消費税率が17年ぶりに引き上げられ、「税」について考えさせられた年。
2015年 「安」 戦後70年の節目の年に安全保障関連法案の採決を巡り、国論が二分した年。
2016年 「金」 リオオリンピックの日本人選手の「金メダルラッシュ」と4年後の東京オリンピックへの期待が高まった年。
2017年 「北」 「北」朝鮮ミサイルの「北」海道沖落下や九州「北」部豪雨などの災害から、平和と安全の尊さを実感した年。
2018年 「災」 北海道・大阪・島根での地震、西日本豪雨など、日本各地で起きた大規模自然「災」害により、多くの人が被「災」した年。
2019年 「令」 新元号「令」和に新たな時代の希望を感じた一年 。法「令」改正、法「令」順守、警報発「令」としても使われた年。
2020年 「密」新型コロナウイルス感染症が日本を含め世界的に流行。日々の活動が制約され、「密」という漢字一字を意識し続けた年。