●タイトルは調味料縛り

──続いて、今回リリースされる3rdミニアルバムについて教えてください。まずはタイトルの『Soul to』について。

1枚目が『29+1 -MISo-』、2枚目が『JOY source』と、これまでも調味料をタイトルに取り入れてきました。であれば、味噌、醤油(ソイソース)ときたら次は塩だろうと思いまして。塩を英語にするとソルト、そして分解すると「Soul」「to」になるなと思い、これでいこうと、プロデューサーに提案しました。一度「他の案も考えてみる」と言われたのですが、数日後に「『Soul to』以上が出てきません」という返事がきまして(笑)。結局はこのタイトルに決まりました。

──センス抜群です。

いやいや、そんなことないですよ。冷静になって考えてみてください。「塩」って言っているだけですからね。

──そこがセンスだと思います(笑)。

ありがとうございます(笑)。

──では、そんなアルバムに収録されている各楽曲について教えてください。まずは「キミハレーション」。

先ほども少しお話しましたが、この曲はドラマストアの長谷川海さんに曲を提供していただきました。僕は元々ドラマストアさんが好きで、ラジオのコーナーでドラマストアさんの曲をかけたことがあったんです。それをドラマストアの担当の方が聞いてくださり、ラジオに「曲をかけていただき、ありがとうございました」ってお礼のメールをくださって。そういう繋がりもあったので、ぜひドラマストアさんに曲を書いてもらいたかったです。所属会社が違うので難しいかなと思いましたが、長谷川さんは快諾してくれました。

──そういう経緯があったんですね。

実際にお会いして連絡先を交換したあとすぐに、デモを何曲か送ってくれたんです。そのなかに「キミハレーション」の元となる曲があり、すぐに「この方向性で!」とお願いしたら、1、2週間後くらいに歌詞付きで曲が送られてきました。その段階で文句なし。スピード感含めて、さすがだなと思いました。

──曲を聞いたときの印象を教えてください。

長谷川さんが作る曲は、爽やかでどこか切ないものが多いと思っています。加えて、長谷川さん自身の綺麗なハイトーンによって、歌からより切なさが伝わってくるんですよ。一方の僕は力強いロックなどを歌うことが多かった。それなら、このふたつが上手く融合したら、爽やかでポップだけど、力強さも感じられる曲になるんじゃないかなと思って。そういうアプローチの仕方をしてみたら、いい方向に転びました。今まで僕が歌ってきた曲のなかにはないテイストながら、寺島惇太らしさも残った曲になったと感じています。

──歌詞についてはいかがですか?

「ようやく会える」という気持ちを込めた曲は、一見すると恋愛がコンセプトのように思えるのですが、僕はもっと広いテーマと解釈しました。例えば、家族や地元の友達。僕は、毎年のように帰省して、家族や親戚、地元の友達と会っていましたが、コロナ禍になってからは帰省しておらず、初めて親と会えない一年も過ごしました。また、僕の音楽を聞いてくださっている方とも現地で会えなくなりました。ただ、そんな家族や僕の音楽を聞いてくださる方々にも、ようやく会える兆しが見えてきたような気が制作中にしたんです。そういう思いを込めた曲にしたいと、長谷川さんとも相談しながら作っていきました。この曲の「君」は、親や友達、お客さんなど、色々な方々にかかっている言葉です。

●人間性を表した楽曲たち

──2曲目は「Realize」。

とても攻撃的なロックです。ギター6本ほどの音が使われていて、アレンジしてくださったサウンドプロデューサーの赤堀眞之さんもライブで再現不可能とおっしゃっていました。実はそういう楽曲にして欲しいと僕がお願いしたんですよ。演奏が超絶難しくて攻撃力の高いオケで歌ってみたいと伝えたところ、この曲に仕上がりました。

──歌詞についてはどのようなリクエストを出しましたか?

最初にいただいた詞は、堕天使系と言いますか、アニメのOPで使われそうな単語がいっぱい入っている歌詞だったんです。ただ、僕としてはこの曲には、自分の好きなギャンブルの要素を入れたくって。そこで、ギャンブルアニメのOPに使うというコンセプトで曲を作るとしたらどうなりますか、とお願いしてみたんです。そしたら、ゴリゴリのギャンブラーな歌詞を作家さんが書いてくださいました。世間的にも僕はギャンブラーというイメージがあるので、その人間性を表現した曲になったと思います。

──実は私もギャンブラーなんです。

じゃあ、絶対聞いてください!

──聞きます! 本当はこのままパチンコトークへと移行したいのですが……延々としちゃいそうなので、別の機会にしたいと思います。

そうですね、最低でも3時間は必要だと思うので(笑)。

──(笑)。続く3曲目は「Youth」。

僕が関わっている『ツキプロ』というコンテンツでもお世話になっているじょんさんこと滝沢章さんに書いていただいた曲です。じょんさんとはアーティストデビュー前からお酒を飲みに行くなど、公私ともに仲良くさせていただいているんですよ。実は前から「僕がデビューしたら曲を作ってください」とお願いしていたのですが、なかなかスケジュールが合わなくて。今回、ようやく願いが叶いました。

──こちらはどのような楽曲ですか?

じょんさんにお願いしたのが夏だったということもあって、最初にいただいたデモがTHE夏の曲だったんです。すごくいい曲だったのですが、このミニアルバムの発売時期とはズレるということで、もう一曲作っていただくことになりました。改めて作ってもらった曲は、再度お願いした2時間後くらいにきたんです。そのスピード感には脱帽でした。ちなみに、最初に作ってもらった曲は、僕のバースデーライブで歌わせていただきました。結果的に2曲もじょんさんに作ってもらえて、ありがたかったです。

──詞についての印象も教えてください。

付き合いが長いということもあってか、僕をイメージして書いてくれたことが分かるような詞になっていました。例えば、「上京して何年だっけ」というのは僕が長野県出身だと知ってくれているから書けることです。また、2Aメロに出てくる「低空飛行の青年期の生き写し」というのは、20代の頃にアルバイトとパチンコで過ごしていた僕の超低空飛行の日々を知っているからこそ生まれたフレーズだと思います。誰かが僕のことを考えて歌詞を書いてくれるなんて、何だかすごく贅沢ですよね。素直に嬉しかったです。