視聴者と同じように作品を楽しんでいるという井浦。そこには共演者の芝居の演技と、それを料理する製作陣のクオリティの高さが大きく影響しているという。

「毎回、出来上がった映像を見ると、脚本をいただいて読んだときの想像をはるかに超えているんです。だからすごくフレッシュな気持ちで楽しんで作品を見ることができるんです。だからこそ、その場で湧き出た感情をSNSに載せてしまうこともあって……。洸平くんとのSNSを通したやりとりなど、物語の本編とは関係ないこともありますが、それを含めて視聴者の方が楽しんでくださっているのは、こちらも励みになります」。

オンエア前のインタビューで、共演の吉高や松下への思いを語っていた井浦だが、シーンを重ねさらに感じたことがあった。「洸平くんは、僕が脚本を読んで想像していた大輝と、洸平くんが演じる大輝がまったく違うんです。だいたい脚本を読んで『こういう感じでくるんだろうな』と思って、ある程度イメージを張り巡らせるのですが、どれも当てはまらない芝居をするんです。もともと、現場での反射を楽しみたいと思っているので、洸平くんの呼吸というか、個性的なリズムはとても面白い。でも本人は気づいていないんですよね。そこも魅力的ですし、とても素敵な俳優さんだと思います」。

一方吉高とは、彼女が10代のときに共演して以来、何度か作品を共にした。「お互い未熟者同士だった2人が、10数年経ってしっかりと対峙してみて、でもまだまだ未熟だよね……なんて思いながら芝居をするのは気恥ずかしさもあるのですが、そんな2人の背景を梨央と加瀬というキャラに投影させながら芝居できるというのは、本当にありがたいんです」と特別な存在であることを明かすと「久々に一緒に芝居をして、吉高由里子として背負ってきた重さみたいなものを感じると、彼女に対して尊敬に近い気持ちが広がっていることに気づいたんです」と最大級の賛辞を送っていた。

■井浦新
1974年9月15日生まれ、東京都出身。大学在学中にモデルとして活動を開始。パリコレにも出演を果たす。俳優としては、『ワンダフルライフ』(1999)で映画初主演を務め、以降、映画やドラマなど話題作に多数出演。近年の主な出演作は、映画『こはく』、『嵐電』(2019)、『朝が来る』(2020)、『かそけきサンカヨウ』、『恋する寄生虫』(2021)、ドラマ『アンナチュラル』(2018/TBS)、『なつぞら』(2019/NHK)、『にじいろカルテ』(2021/テレビ朝日)など。ファッションブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターも務めている。

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