長きにわたる景気の低迷で、なかなか先行きを見通せない現代。とくに昨年からの新型コロナウイルス禍が加わり、将来に対して大きな不安を感じている人は多いだろう。

特に40代は社会の中核としてまさに働き盛りの年代だが、同時に子育てや住宅の取得など出費がかさむ時期でもある。リタイア後の備えも考えなければならず、老後の資金計画に頭を悩ませている人もいるかもしれない。

そこで今回は、40代のマイナビニュース男女会員504人を対象にアンケート調査を実施。これまでに貯めてきた老後資金の金額や、老後資金の確保に関して不安に感じていることなどを聞いた。

  • 40代、老後資金の確保に関して不安に感じていることは?

Q.あなたの世帯年収は次のうちどれですか?

「100万円未満」(8.3%)
「100万円以上〜200万円未満」(7.9%)
「200万円以上〜300万円未満」(9.9%)
「300万円以上〜400万円未満」(11.9%)
「400万円以上〜500万円未満」(12.5%)
「500万円以上〜600万円未満」(11.5%)
「600万円以上〜700万円未満」(7.5%)
「700万円以上〜800万円未満」(8.9%)
「800万円以上〜900万円未満」(5.8%)
「900万円以上〜1000万円未満」(4.6%)
「1000万円以上」(11.1%)

Q.老後のための費用はいくら貯まっていますか?

「10万円未満」(18.5%)
「10万円以上〜30万円未満」(4.8%)
「30万円以上〜50万円未満」(4.6%)
「50万円以上〜100万円未満」(6.0%)
「100万円以上〜500万円未満」(13.3%)
「500万円以上〜1,000万円未満」(6.5%)
「1,000万円以上〜1,500万円未満」(4.0%)
「1,500万円以上〜2,000万円未満」(3.2%)
「2,000万円」(7.7%)
「老後資金はまだ貯めていない」(11.3%)
「わからない・答えたくない」(20.2%)

Q.老後資金はどのように貯めていますか、もしくは貯めていない方はどのように貯めようと思われていますか?(複数選択可)

1位「貯金」(61.7%)
2位「定期預金」(30.2%)
3位「株式投資」(23.0%)
4位「保険」(20.4%)
5位「投資信託」(18.7%)
6位「NISA/つみたてNISA」(18.5%)
7位「その他」(15.3%)
8位「iDeCo」(10.7%)
9位「不動産投資」(5.4%)
10位「ロボアドバイザー」(3.4%)

Q.老後資金の確保に関して不安に感じていることを具体的に教えてください(自由回答)

■「年金だけで足りるかどうか不安」

・「どのくらいの年金がもらえるかわからない。本当に、生活ができるのか?」(49歳女性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「年金だけでは不自由するかもしれないので、今のうちにできるだけその蓄えをしておきたい」(42歳男性/食品/営業関連)
・「年金受給基準が良くない方向に変わらないか、その年金で余裕を持って暮らせるのか」(42歳男性/食品/営業関連)
・「年金の支給年齢もどんどん高齢化していっているし、貰える金額も低くなってきているので非常に不安」(42歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「将来年金がもらえるか時々不安になる。自分が支払った分だけは絶対受け取りたい。それで老後を過ごす」(48歳女性/繊維・アパレル/技能工・運輸・設備関連)
・「現在投資等行っているが、どちらにしても年金だけで生活できる気がしない」(47歳男性/その他/クリエイティブ関連)
・「年金が全く期待できないこと。そのため、今のうちに老後の資金をためておく必要があるが、病気や自宅の修繕も考えなければならず心配」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「年金は毎年払い続けているが、払った分をもらえる気がしない。年金だけで生活できるとは思えない。投資信託や保険会社の年金積み立てをしているが、収入が減ってしまい今現在の生活の余裕が無くなってきている」(44歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■「貯蓄がなかなか進まない」

・「日々の生活のため、老後資金を貯める余裕がない」(49歳男性/専門コンサルタント/専門職関連)
・「収入が少ないので、まとまって貯めたり増やしたりできないこと」(46歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「今の生活が精いっぱいで、全く資金をためられる気がしない」(41歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「給料が中々上がらないので、今の生活を維持しつつ老後の資金が中々集まらない」(42歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「なかなか資金に回す余裕がなく、日々の生活でいっぱいいっぱいで、これから先、資金を確保できるか不安しかない」(45歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「年金だけでは厳しいと思うので老後の資金を貯めたいが、今の状態だと貯められないと思う」(46歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「中々貯蓄が増えていかないので、老後までに間に合うか心配」(41歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「1人2,000万円は必要と言われているが、とてもじゃないけど無理。老後もその日暮らしだと思うと、お先真っ暗」(48歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「2,000万円必要とされているが、退職金でたまるか?」(44歳男性/化粧品・医薬品/その他技術職)

■「老後資金としていくら必要かわからない」

・「いくら必要なのかがサッパリ分からない」(44歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「どれだけの資金を確保するのが良いか、考えがまとまらない」(44歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「いくら準備したら安心なのか、まったく見当がつかない」(46歳女性/専門店/事務・企画・経営関連)
・「退職後の収入がいくらあれば生活が成り立つのか知りたい」(49歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「具体的な金額がわからないこと、その時の自分の状況が、あまり想像できないこと」(44歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「老後資金はどれだけ必要なのか、年金がどの程度もらえるのかが不安」(44歳男性/官公庁/事務・企画・経営関連)
・「年金問題が深刻だと言われているので、それをあてにできるのかわからない。だから、いくらくらい貯金があればいいのか見えないというのがまずいと思える」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■「住宅ローンや教育資金などの負担」

・「住宅ローンとのバランスがうまくできるか」(43歳男性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「住宅ローンがかなりきつい設定にしたので、老後の資金はかなりまずい状態になり困っているところです」(48歳女性/食品/営業関連)
・「家のローンがどうなっているか。子どもの教育費が貯まっているか」(48歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「住宅ローン返済や教育費でいっぱいで、貯金できない」(40歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「教育費が圧迫していて貯金ができない。ていうか教育ローンを組んでしまうかもしれない」(44歳男性/クレジット・信販/営業関連)
・「生命保険等の月々支払いの高騰。今後もあるのであれば、満期を待たずに解約しなければいけないことも視野に入れなければならなくなる」(49歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)

■「将来の雇用や収入が不安」

・「定年後の再雇用で収入が落ちた後の貯蓄がどれくらいできるか」(43歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「将来、いつまで働けるかが心配。資産運用も入りがないと不安になる」(47歳男性/精密機器/その他技術職)
・「年金は期待できないので、自分で最低限の資産形成をしておきたい」(49歳男性/半導体・電子・電気機器/メカトロ関連技術職)
・「年金支給の引き上げに伴って老後でも雇用をさせようとしているけれど、自分が老後になったらAIなど代わりが出て、雇用があるのか不安」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)

■「老後資金をどうやって確保していいかわからない」

・「どう老後資金を効率よく貯めれば良いのかよくわからない」(46歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「年金だけでは生活出来ないことは想像つくが、どう老後資金を効率よく貯めれば良いのかわからない」(46歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「何をすればいいのかからわからない。例えば、検索のくわしいワードすらも思い浮かばない」(49歳男性/ホテル・旅館/販売・サービス関連)

■「自身の寿命や将来の健康状態への不安」

・「病気になった時に、どのくらいお金がかかるのか不安です」(47歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「普通に生活していれば大丈夫かもしれないが、病気になったら困るなと思っている」(47歳女性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「いつ死ぬのかわからないから、それまでお金が足りるか不安」(44歳女性/その他/クリエイティブ関連)
・「すべてが不安。働けるまで働きたいが健康でいられるかがまずは不安」(40歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「年金の支給額が相対的に減る。支給年齢が上がる。これにより貯蓄が無いと生活できない。傷病による思いがけない出費に対応できない」(42歳男性/コンピューター機器/メカトロ関連技術職)

■「将来の経済状況や税制などへの不安」

・「インフレで貯蓄の価値が半分になること」(43歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「特にないが、税金とられたくない」(46歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「おそらくずっと賃貸生活なので、やはり家賃の問題や高齢時の賃貸契約等が気になりますね」(49歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「投資信託など金融商品を利確した際の税金がどのくらい引かれるのか不安です」(41歳女性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「アメリカ株を中心にポートフォリオをくんでいるので、コストプッシュ型のインフレが心配です」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他・専業主婦等)

■「資産運用がうまくいくかどうか不安」

・「NISAでマイナスになってしまった」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「低リスクの運用で少しでも増やしておきたいと思う」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「運用益があまり期待できない。予想外に長寿だったらやや心配」(49歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)

■「全てが不安/考える余裕がない」

・「今の生活でたいへんなので、考える余裕がないこと」(45歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「すべてが不安ですが、今を生きるのを最優先したいのであまり考えないようにしています」(42歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「生活をするのでやっとの時代。子どもを育てるので精いっぱいなので、老後を考える余裕もない」(44歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「老後の資金は常に不安です。積立ニーサ以外はひたすら倹約をして、普通預金の口座にコツコツとと貯めています。投資は才能が無いので怖くて出来ません。1日1日をひたすら働いて小銭を貯めるしか手段がありません」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)

■「特に不安はない」

・「今のところ問題は無さそう」(41歳男性/輸送用機器/IT関連技術職)
・「特に不安なし。日本円の価値下落も考慮して、米国ドル建てなど複数の通貨で運用しています」(43歳女性/化粧品・医薬品/その他技術職)
・「まだピンとこないが、現役のうちからコツコツためておくことはとても大事だと思っている」(41歳男性/教育/クリエイティブ関連)
・「特にない。あきらめている」(48歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■「その他」

・「収入が下がったので貯められるかも心配だが、独身なので資金より孤独死が心配」(45歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「後継者が誰になるかで生き方が変わってくるので、息子たちの意向が固まる時期まであまり老後が分からない」(45歳男性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「夫が貯めていて私はノータッチなので、貯めていることと、おぼろげにここの銀行とか證券を使っているということは知っていてもそれ以上のことは知らないので、夫が先に亡くなったらパニックになりそう」(47歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「40代からでも間に合うか」(41歳男性/食品/技能工・運輸・設備関連)

■総評

調査の結果、40代のマイナビニュース会員が貯めている老後のための費用は、「わからない・答えたくない」(20.2%)が最多となった。具体的な金額を答えてくれた人の中では、「10万円未満」(18.5%)が最も多い。以下、「100万円以上〜500万円未満」(13.3%)、「老後資金はまだ貯めていない」(11.3%)、「500万円以上〜1,000万円未満」(6.5%)、「50万円以上〜100万円未満」(6.0%)と続いている。

老後資金はどのように貯めているか、貯めていない場合はどのように貯めようと思っているかを複数回答可で聞いた。その結果、1位は6割以上を集めた「貯金」(61.7%)となった。以下、2位「定期預金」(30.2%)、3位「株式投資」(23.0%)、4位「保険」(20.4%)、5位「投資信託」(18.7%)の順番となっている。

老後資金の確保に関して不安に感じていることを具体的に聞いた。主な回答として、「年金だけで足りるかどうか不安」「貯蓄がなかなか進まない」「いくら必要かわからない」「住宅ローンや教育資金などの負担」「将来の雇用や収入が不安」「老後資金をどうやって確保していいかわからない」「自身の寿命や将来の健康状態への不安」などが寄せられた。

ただ、老後資金の確保に関しての不安は様々な角度から語られてはいるものの、その大部分は「年金だけで足りるかどうか」に集約することができそうだ。つまり、上記の「貯蓄がなかなか進まない」以下の不安の多くは、老後資金が年金で十分に賄えるのであれば自ずと解消されると思われる。

その「年金だけで足りるかどうか」については、「どのくらいの年金がもらえるかわからない」「年金だけでは不自由する」「支給年齢が高齢化している」「もらえる金額が低くなってきている」「年金だけで生活できる気がしない」「年金が全く期待できない」「払った分をもらえる気がしない」など、異口同音に不安な気持ちが綴られている。少子高齢化で年金を支える若年層が減少している現実は、将来の年金受給に大きな懸念を抱かざるを得ないということだろう。

今回のアンケートでは、40代のマイナビニュース会員の老後資金は、「10万円未満」(18.5%)や「老後資金はまだ貯めていない」(11.3%)など、まだまだ十分でない人が3割以上いるという結果となった。また、老後資金の貯め方に関しては、「貯金」(61.7%)や「定期預金」(30.2%)など、堅実な方法を選んでいる人が多いことも明らかとなった。

老後資金の確保に関して不安に感じていることは「年金」がポイントとなっており、年金が十二分に支給されればおおよそ解消される。しかし支給額や支給年齢の見直しなど、年金制度自体への信頼が揺らいでいるのが現実だろう。老後に対する40代の苦悩は、改善の道筋がなかなか見えないのが実情と言えそうだ。

調査時期: 2021年11月16日
調査対象: 40代のマイナビニュース男女会員
調査数: 504人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません