「登竜門(とうりゅうもん)」とは、「出世や成功のための関門」という意味の言葉です。ビジネスシーンだけでなく日常的な会話でも耳にする機会の多い言葉ですが、誤用が定着している言葉でもあります。

本記事では本来の意味や由来、正しい使い方や例文を解説していきます。登竜門の類語や対義語、英語表現なども紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

  • 登竜門とは

    登竜門の意味や由来、使い方などを紹介していきます

登竜門の意味とは

登竜門は「出世や成功のための関門」という意味の言葉です。本来は「出世や成功につながる関門を通ること」を意味する言葉でしたが、現在では「関門そのもの」を指す言葉として広く使われています。

登竜門の由来

登竜門の由来は、中国の歴史書「後漢書」の「李膺伝(りようでん)」です。中国の黄河には「竜門」と呼ばれる激しい急流があり、「竜門を登ることができた鯉は竜になれる」という言い伝えがありました。この言い伝えを基に、李膺(りよう)と呼ばれる官僚に認められた若者が出世することを登竜門と呼んでいたとされています。

唐王朝の時代には、官僚登用のために行う厳しい試験「科挙」に合格することを登竜門と呼ぶようになり、出世の糸口を意味するようになりました。

  • 登竜門とは

    登竜門は「出世や成功のための関門」という意味の言葉で、読み方は「とうりゅうもん」です

登竜門の使い方

登竜門は、鯉が「竜門」と呼ばれる急流を登ることから来ている言葉なので、「関門を通ること」を表すのが正しい使い方です。そのため、「登竜門をくぐる」「登竜門を通る」などの使い方は「通る」「くぐる」という意味が重複する二重表現にあたり、本来は誤用になります。

現在では「関門そのもの」を指す言葉として広く使われているため誤用とは言えませんが、人によっては「登竜門をくぐる」などを二重表現と捉える可能性があることを覚えておきましょう。

【例文】
・このオーディションは若手俳優の登竜門と呼ばれている
・Aさんは漫画家の登竜門「○○賞」を受賞した若手のホープだ

  • 登竜門の使い方

    登竜門を「関門そのもの」を指す言葉として使うのは本来誤用ですが、現在では広く一般的に使われています

登竜門の類語

ここからは、登竜門の類語をご紹介します。

入試・試験

「出世への糸口」という意味合いで登竜門を使う場合、「入試」と「試験」が類語になります。

「入試を突破して一流企業への入社を目指す」

「弁護士として活躍したいなら、試験に合格しなければならない」

試練

「試練」は「実力や決心の程度を厳しく試すこと」という意味の言葉です。

「この試練を乗り越えなければ成功はあり得ない」

  • 登竜門の類語

    登竜門の類義語には「入試」や「試験」「試練」などがあります

登竜門の対義語

登竜門の対義語は「点額」です。読み方は「てんがく」で、「試験に落ちること」を意味します。登竜門は鯉が急流を登りきって竜になるという言い伝えが由来ですが、点額は「急流を登れなかった鯉は、額をぶつけて傷(点)がつく」というのが由来となっています。

日常会話やビジネスシーンで点額を使う機会はほとんどありませんが、知識の幅を広げるために意味や由来を覚えておくといいでしょう。

  • 登竜門の対義語

    登竜門の対義語は「点額(てんがく)」です

登竜門の英語表現

登竜門の英語表現は「成功への入り口」という意味の「gateway to success」です。

・The Akutagawa prize is known as the gateway to success for new writers.
(芥川賞は新人作家の登竜門だ)

英語での説明が必要なときには、ぜひ活用してみてください。

  • 登竜門の英語表現

    登竜門の英語表現は「gateway to success」です

登竜門の例文

ここからは、登竜門を使った例文を紹介します。

「芥川賞は新人作家の登竜門として知られている」

「このオーディションでの入賞が、ブレイク俳優への登竜門と言われている」

「この試験は上級職への登竜門」

登竜門の意味や使い方をしっかり理解しよう

今回は登竜門の意味や使い方、例文、英語表現などを詳しく紹介しました。

登竜門とは「出世や成功のための関門」という意味の言葉です。もともとは「関門を突破すること」を表す言葉でしたが、現在では「関門そのもの」を指す言葉して広く使われています。日常会話でも使える言葉なので、ぜひ使ってみてください。

また、語彙力アップのために、登竜門の類語や英語表現も覚えておくといいでしょう。登竜門の対義語・点額の意味や由来も確認しておけば、知識がさらに深まります。