お酌のマナーを知っていますか? お酌には注ぐ順番やまわり方など、暗黙の了解となっているマナーがいくつかあります。職場や取引先との飲み会に参加する機会がある社会人であれば、知っておいて損はありません。
この記事では、飲み会でのお酌のマナーについて解説します。お酌の仕方や受け方も紹介しますので、仕事で飲み会に参加する機会がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お酌マナーの基本
お酌とは、お酒を注ぐことを指します。年少者から年長者へ、もてなす側からもてなされる人へなど、立場が下の者から上の者へ注ぐのが一般的です。
少し前には女性から男性へお酌をする風習がありましたが、強要するとセクシャルハラスメントとなる可能性がありますので注意しましょう。
お酌は上席からまわる
お酌をする時には、主賓や上席など立場が上の人から順番にまわるのがルールです。ただし、全員が一度にお酌に行くと混み合ってしまう場合もありますので、周囲の状況や雰囲気をみながら、お酌にまわりましょう。
お酌にまわる際は手ぶらで
宴会などで、ビール瓶やお銚子を持ってお酌にまわる人もいますが、基本的にはマナー違反とされています。お酌にまわる時には手ぶらで移動して、その席にあるお酒を注ぐようにしましょう。
お酌禁止にしている会社もある
お酌を強要することは、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントにあたる可能性もあります。飲み会の場で問題が起きるのを避けるために、会社としてお酌を禁止していることもありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
結婚式でのお酌のマナー
結婚式の披露宴では、お酌をしながら挨拶まわりをする風景はよくみられるものです。ただし、披露宴の場で個別の挨拶が必要かどうかは、式や地域の習慣などによっても異なります。
新郎新婦から挨拶まわりをする場合は、両家で確認して話し合っておきましょう。両親からみて挨拶が必要と考える招待客がいる場合は、あらかじめ新郎新婦に伝えておくとスムーズです。
また、お酒が得意でない招待客に対しても、無理にお酒を注ぐことがないよう気を配りましょう。
海外ではお酌不要
主に欧米では、基本的に「仕事が終わればプライベートな時間」とされているため、会社での飲み会自体はそう多くありません。上司や同僚とお酒を飲む機会があっても、お酌をする必要はなく、日本式の気遣いは不要です。
韓国でのお酌のマナー
最近では韓国ドラブームの影響もあり、韓国のお酌のマナーに興味を持つ人も増えています。
韓国では、目上の人からお酒を注ぎ、目上の人からお酒を受ける際は、グラスに手を添えて両手で注いでもらうのが基本です。
また、目上の人の前で飲む時は、お酒を勧められてから飲むのがマナーとされ、飲む時にも横を向いて口元を隠し、飲む姿を見せないようにするといった飲み方のルールがあります。
お酌のマナー:ビールの注ぎ方
お酌をする際のマナーは、お酒の種類によって異なります。ここでは、ビールをお酌する際のマナーをみていきましょう。
グラスに残りが少なくなったら声をかける
相手の飲んでいるグラスのビールが少なくなったら、「お注ぎしましょうか」と声をかけましょう。相手がグラスを差し出したら、ビールを注いでください。
瓶ビールはラベルを上向きにしてお酌をする
瓶ビールでお酌をする時には、瓶のラベルが相手にみえない向きで注ぐことや、片手でビールを注ぐことはマナー違反です。注ぐ際はビール瓶に貼ってあるラベルを上向きにしましょう。
この時、手でラベルを隠してしまうことがないよう、利き手で瓶の底付近を持ったら、反対の手を瓶の下側に軽く添えます。
注ぎ始めはゆるやかに入れて、徐々に勢いよく注いでビールの泡が出てきたら、再びゆっくり注いでください。泡の量は全体の3割程度を目安とするのが理想です。
相手のグラスが空になったら注ぐ
ビールは、相手がグラス内のビールを飲み干してから注ぐのが望ましいです。しかし、相手がそのままグラスを差し出したら、上から注ぎ足しても問題ありません。
缶ビールで注ぐ際のポイント
缶ビールでお酌をする機会はそう多くないかもしれませんが、入れ方のコツが瓶ビールとは異なりますので覚えておきましょう。
まずは缶ビールをグラスの3分の1まで勢いよく注いだら、泡が落ち着くのを待ちます。その後、グラスに沿ってゆっくりビールを注ぎ足しましょう。泡の比率は瓶ビールと同様、3割程度が目安です。
お酌のマナー:日本酒の注ぎ方
日本酒をお酌する際のマナーも覚えておきましょう。
右手で徳利の真ん中ほどを持つ
日本酒を注ぐ時には、右手で徳利(とっくり)の真ん中ほど、直径が一番大きい部分の周辺を持ち、左手は徳利に添えます。
お酌をするタイミングは、相手のお猪口が空になった時です。基本的には、それまで飲んでいたものを注げば問題ありません。「次も日本酒でよろしいでしょうか」など、ひとこと付け加えると、より丁寧でしょう。
お猪口の八分目程度を目安に注ぐ
徳利を持ったら、お猪口の8分目程度を目安に日本酒を注いでいきましょう。たっぷり注ぐとお猪口を口に運ぶまでにこぼれやすくなるため、気持ち少なめに次ぐのが基本です。
お猪口を置いた状態で注がない
ワインの場合はグラスをテーブルに置いた状態で注ぎますが、日本酒を注ぐ時は、お猪口がテーブルに置かれている状態で注ぐのはマナー違反です。
日本酒は、相手がお猪口を持ってからゆっくり注ぎます。熱燗を注ぐ場合は、熱いのでこぼさないよう注意しましょう。
お酌を受ける時のマナー
会社の上司や取引先との飲み会に参加するときは、お酌をするだけでなく、自分がお酌を受ける場合もあるでしょう。ここでは、お酌を受ける際に気をつけるべきマナーを紹介します。
お酒を飲み干してから注いでもらう
自分がお酌を受ける時は、お酌をする際と同様、グラスやお猪口を空にしてから注いでもらいます。グラスやお猪口にお酒が残っている場合には、飲み干してから注いでもらうようにしましょう。
グラスを両手で持つ
ビールを注いでもらう時には、グラスの底に両手を添えると丁寧な印象になります。また、グラスを傾け過ぎないのもポイントです。
日本酒を注いでもらう場合には、お猪口を両手で持ちましょう。正しい持ち方は、右手の中指と薬指の間でお猪口の底を挟みます。親指と人差し指で上部を持ち、左手を添えるときれいにみえます。
ただし、ワインを注いでもらう場合には、グラスを持つのはマナー違反です。グラスをテーブルに置いた状態で注いでもらいましょう。
お酌を受けたらまず一口飲む
お酌を受けた後に、口にせずそのままテーブルに置いてしまうのは失礼にあたります。特に取引先との宴席で、気を遣わなければならない相手からお酌を受けた時は、たとえ飲みたい気分ではなくても少し口をつけてからテーブルに置くようにしましょう。
乾杯ではグラスを持つ位置に注意
飲み会を始める時には、最初に乾杯してから飲み始めることがほとんどです。乾杯の時に気をつけておきたいのがグラスの位置です。
目上の人が持っているグラスの位置よりも、自分のグラスが少し下になるようにグラスを持って乾杯しましょう。
お酌のマナーを知って飲み会の場で役立てましょう
仕事の飲み会は仕事の一部と考えられて、上司や先輩などにお酌をしてまわる必要がある場合もあります。失礼にならないよう、お酌のマナーやルールを覚えておきましょう。
お酌してまわる時は、基本的には上席からまわるのがルールです。しかし、みんなが一度にお酌しようとすると混み合いますので、周囲の状況をみながらお酌のタイミングを判断しましょう。
また、お酌を受ける側にもマナーがあります。飲みの場では、どちらの側にまわることもありますので、お酌をする場合と受ける場合のマナー両方を心得ておきましょう。