iDeCoは老後のための資産形成制度ですが、節税ができるメリットもあります。しかし、iDeCoで積み立てているだけでは節税できません。年末調整、あるいは確定申告を行う必要があります。そこで、この記事では、年末調整と確定申告、どちらの手続きを取れば良いのか、それぞれの対象者と手続き内容についてお伝えします。
なお、iDeCoの掛け金を給与天引きしている人は、会社が手続きをしてくれているので、年末調整も確定申告も不要です。
年末調整の対象者とその手続き
年末調整の対象者は、給与収入が2,000万円以下の会社員と公務員です。パートでも給与収入100万円以上なら年末調整しましょう。103万円以下なら所得税がかかりませんから、年末調整は不要と誤解されている方もいますが、行わないとiDeCoの控除が住民税に適用されません。住民税への影響を考え、行うようにしましょう。
さて、年末調整の時期になると、勤務先から書類が配布されますが、iDeCoに関する書類は「給与所得者の保険料控除申告書」という書類です。この書類の右下に「小規模企業共済等掛金控除」という枠があり、iDeCoの掛金は、全額この控除の対象になります。
記入する欄は、その枠の上から3段目「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」で、iDeCoの年間掛金を記入してください。
年間の掛金は、国民年金基金連合会から郵送される「小規模企業共済等掛金控除証明書」に記載されている合計金額の数字です。記入したら年末調整の書類に控除証明書を添付して会社に提出してください。
なお、控除証明書が手元にない。という人は、下記のスケジュールで証明書が発行されるので、今一度確認しておきましょう。
1~9月までに積み立てをした人 2021年10月22日
10月に初回積み立てをした人 2021年11月24日
11月に初回積み立てをした人 2021年12月22日
12月に初回積み立てをした人 2022年1月24日
紛失した場合や、10月以降に初回積み立てをした人で早く証明書が欲しい場合は、加入しているiDeCoの金融機関に問い合わせてみると良いでしょう。
もし、年末調整の書類提出の締め切り日までに間に合いそうになかったり、証明書の到着が来年1月になってしまいそうだったりするなら、会社の担当者に相談してみてください。 翌年1月31日までなら年末調整の再調整が可能ですが、社内上の締め切りは別途設定されていると思いますので、まずは確認してみてください。
確定申告の対象者とその手続き
確定申告が必要な人は、自営業者、年末調整でiDeCoの掛金申告が間に合わなかった会社員や公務員、給与収入が2,000万円超の人などです。確定申告は毎年2月~3月にかけて行われますが、iDeCoの申告のみなら、還付申告にあたり、確定申告の時期より前でも手続きを行うことができます。
確定申告書の書類は、確定申告書AとBの2種類があり、Aは会社員や公務員が使用でき、Bは誰でも使用できます。どちらで確定申告をする場合でも、確定申告書と「小規模企業共済等掛金控除証明書」が必要です。控除証明書に記載された合計額を確定申告書第一表の左下「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入しましょう。
続いて、第二表の「小規模企業共済等掛金控除」にも記入します。しかし、金額を書くだけではないので、何を書けばいいのか手が止まりますよね。まず「保険料等の種類」欄には「個人型確定拠出年金加入者掛け金」と記入し、「支払保険料等の計」欄には、控除証明書に記載された合計額を、「うち年末調整以外」欄には、「支払保険料等の計」で記入した金額のうち、年末調整していない金額を記入します。
出典:国税庁 確定申告特集「確定申告書B様式」筆者加工
なお、確定申告書をe-Taxで提出する場合は、e-Tax入力画面の「所得控除」の画面で、「小規模企業共済等掛金控除」をクリックし「確定拠出年金法の企業型年金・個人型年金加入者掛金(iDeCo)」の欄に掛金の合計金額を入力します。
確定申告書を作成したら、控除証明書を添付して税務署に提出します。e-Taxで確定申告する場合は、控除証明書を提出する必要はありませんが、法定申告期限から5年間、税務署等から書類の提出を求められることがあるので、保管しておく必要があります。
iDeCoの掛金は、忘れずに申告を
年末調整にしろ、確定申告にしろ、iDeCoで税金の還付を受けるためには、いずれかの手続きが必要です。国民年金基金連合会からの控除証明書は大切に取っておき、手続きを行いましょう。もし、手続きを忘れたら、5年以内であれば還付申告をすることができますが、手続きが面倒になることもありますから、該当の年中に行っておきましょう。