認印は、会社で書類を提出する時や役所などの諸手続きに必要になることがあります。これから認印をつくる場合、どんなものを認印に使えばいいのかわからない人も多いでしょう。また、認印で使うはんこは、銀行印や実印とは分ける方がいいですが、理由も知っておきたいですよね。

この記事では、認印がどのようなはんこを指すのか、朱肉タイプとシヤチハタタイプとの違い、つくる際のポイントなどを紹介します。

印鑑についてあまり知識がない人は、ぜひご一読ください。

  • 認印とは

    認印とはどんなはんこのことなのか・他のはんことの違いなどを紹介する記事です

認印とは

認印(みとめいん)とは、印鑑登録をしていない、実印でないはんこのことです。はんことは印を押すための道具のことで、はんこ文化が根付いている日本では、仕事や日常生活でよく使われます。

この章では、認印の特徴や使用シーンなどを見ていきましょう。

認印に用いられるはんこの種類とは? 100均でも買える?

認印として使われるはんこは、市販品を購入して使うことが多いです。はんこの専門店や100均で購入できる三文判がよく使われています。

ゴム印やスタンプ印などのいわゆるシヤチハタタイプのはんこも、認印としてよく使われるタイプのはんこです。ただしシーンによってはゴム印がNGな場合もあります。

認印と実印や銀行印との違い

実印とは、役所で印鑑登録した印鑑またははんこのことです。個人の場合は居住地の市区町村窓口、法人の場合は法務局で実印登録を行います。偽造リスクを防ぐために、認印とは違って判読しにくい字体が使われることが多いです。

銀行印とは、銀行や信用金庫などの金融機関に、印影を届け出ているはんこを指します。使われるのは口座開設時の他、窓口で預けたお金を出し入れする際や、自動引き落としの手続きなどです。こちらも悪用されるリスクを防ぐために、簡単には判読しにくい字体が推奨されています。

認印がよく使われるシーンとは

認印は日常生活では、宅配便や郵便物の受け取りや回覧板などでよく使われます。ビジネスシーンでも使われる会社はまだまだ多く、稟議書や請求書、領収書や受領書など、会社によってはたくさんの書類で必要です。

法人用の認印はある?

会社としての印鑑を求められる時でも、実印や銀行印と同じ印鑑を押すのはできるだけ避けたいです。認印というと個人のはんこをイメージする人が多いかも知れませんが、会社の認印もあります。

印影が悪用されるリスクをできるだけ避けるために、日常業務で使われるはんことして、使っている会社は多いです。

  • 認印とは

    認印には実印や銀行印とは異なるはんこが用いられます

認印はどのタイプを選ぶ? 朱肉タイプとシヤチハタタイプとの違い

仕事などではんこを使う機会があるなら、認印としてどのような種類のはんこを選ぶのかが重要です。とくに会社によってはシヤチハタタイプがNGな場合もありますので、購入前に確認しておきましょう。

ここでは、朱肉タイプのはんことシヤチハタタイプのはんことの違いを紹介します。

正式な書類には朱肉タイプが望ましい

シヤチハタタイプのはんこは、正式名称ではありません。印やスタンプ台などのメーカーである「シヤチハタ」が代名詞となって、インクが浸透しているはんこが「シヤチハタ」と呼ばれるようになりました。

ただし会社の方針や書類の種類によっては、「認印でも構わないが、シヤチハタは不可」と決められていることもあります。

公的な書類や重要書類では、認印でも朱肉タイプのはんこを用いるのが望ましいです。

普段使いには朱肉不要なシヤチハタタイプが便利

シヤチハタタイプのはんこは朱肉や印鑑マットがなくても簡単に押せて便利です。日常業務で認印を押印する場合、シヤチハタタイプなら不要な手間を抑えられます。

ただし会社で使う場合には、シヤチハタタイプを使って問題ないかをあらかじめ確認しておきましょう。

それぞれのメリットとデメリット

朱肉タイプとシヤチハタタイプの認印には、それぞれメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
朱肉タイプ ・押せる書類の幅が広い
・劣化しにくい
・朱肉や印鑑マットを準備する手間がかかる
・慣れていないと失敗しやすい
シヤチハタタイプ ・朱肉や印鑑マットを準備する必要がない
・連続して押せる
・手軽に押せる
・公的な書類に使えないことがある
・長期間経過するとインクが薄くなる
・内蔵のインクが切れると補充するまで使えない
・ゴムなど印面が劣化することがある

それぞれの特徴を理解した上で、適したタイプを使いましょう。

  • 認印はどのタイプを選ぶ? 朱肉タイプとシヤチハタタイプとの違い

    朱肉タイプとシヤチハタタイプとの違いを紹介しました

個人用の認印を購入する際のポイント

ここからは、個人の認印を購入する際に気を付けるべきポイントを見ていきましょう。

認印に適したサイズとは? 直径はどの程度か

認印には正式な大きさの規定はありません。一般的には男性用だと直径10.5~13.5mm、女性用だと9~12mm程度です。形状は円または楕円がよく使われます。

個人用の認印に適した書体・字体

認印には誰が押したのかわかるように、わかりやすい書体が選ばれます。よく用いられるのは「隷書体(れいしょたい)」や「古印体(こいんたい)」などです。

「吉相体(きっそうたい)」や「篆書体(てんしょたい)」などは、実印や銀行印には用いられますが、認印にはあまり使われません。

個人用認印の刻印内容

認印に刻印するのは、名字のみが一般的です。ただし職場に同じ名字の人がいる場合など他の人と区別したい時には、下の名前を添えたり、フルネームを刻印したりすることもよくあります。

よく使われる素材

シヤチハタタイプの認印は、持つ場所はプラスチックではんこの面はゴムでできているものが多いです。

朱肉タイプだと、たくさんの種類があります。100均などの三文判はプラスチック製が多いですが、それ以外だと木製やチタン、水牛の角や水晶など、さまざまな素材から選択可能です。

  • 個人用の認印を購入する際のポイント

    個人用の認印をつくる際には刻印内容や字体など選ぶべき点がいくつかあります

法人用の認印をつくる際のポイント

法人用の認印には会社名を刻印する必要がありますので、個人用と違って市販品を選ぶわけにはいきません。そこで、法人用の認印をつくる際のポイントを見ていきましょう。

法人用の認印に適したサイズ

法人用の認印には、大きさの規定はとくにありません。直径15〜20mm程度の丸形でつくられることが多いです。

法人用の認印によく用いられる書体・字体

法人用の認印は悪用されにくくするために、簡単には読めない字体が選ばれることが多いです。よく使われるのは篆書体ですが、吉相体が選ばれることもあります。古印体などの読みやすい字体は偽造リスクを防ぐために、あまり選ばれません。

法人用の認印への刻印内容

法人用の認印は丸形で、内側の円と外枠とで刻印内容が異なります。外枠に刻印されるのは、会社名や屋号です。

内側の円に刻印されるのは役職名です。法人の場合は「代表取締役印」や「取締役印」、個人事業主は「代表者印」がよく使われます。その他「会長之印」「理事長印」「支店長印」など、刻印内容はさまざまです。役職ごとに刻印内容を変えて会社の認印がつくられることもあります。

シヤチハタが使われることもある?

会社用の認印として、シヤチハタタイプが使われることもあります。インクが内蔵されていて押しやすいので、公的な書類以外に認印を押す機会が多いなら、状況に合わせてシヤチハタタイプの認印も活用しましょう。

  • 法人用の認印をつくる際のポイント

    法人用の認印をつくる際に気を付けたい点を紹介しました

書類作成には認印は必須! 実印や銀行印と分けて準備しておこう

認印とは実印としては使っていない印鑑のことで、会社での決裁や役所への書類提出、宅配便の受け取りなどさまざまなシーンで使われます。悪用されるのを防ぐためにも、銀行印や実印とは別のはんこを使うのが望ましいので、分けておきましょう。

普段はシヤチハタタイプの認印を使っても問題ありませんが、書類の種類や会社によってはシヤチハタタイプが不可な場合もありますので、気を付けてください。

認印は社会生活で必要不可欠なものです。使い方に合うものをぜひ用意して活用しましょう。

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