長引くコロナ禍によって、OB訪問や説明会・セミナーへの参加など、通常の活動が思うようにできないと感じている就活生は多いかもしれない。一部では面接や説明会がオンラインに置き換わるなど、就活も様々な変化を強いられているようだ。

ただ、中にはインターンシップのように、どうしてもリモートでは代替できないものもある。企業や業界での「仕事体験」を通じて志望先への理解を深めていくインターンシップ。それでは実際のところ、就活生にとってインターンシップはどの程度有効なものと認識されているのだろうか。

そこで今回は、社会人の先輩であるマイナビニュース男女会員509人を対象にアンケート調査を実施。「インターンシップに参加して、良かったと思ったか」などを聞いた。現在、就活中の人にとっては、とても興味深いものとなったのではないだろうか。

  • インターンシップに参加して、良かったと思った?

Q.学生の時、インターンシップに参加したことはありますか?

「はい」(39.3%)
「いいえ」(60.7%)

Q.インターンシップに参加して良かったと思われましたか?

「はい」(93.0%)
「いいえ」(7.0%)

Q.インターンシップに参加して良かったと思った理由について具体的に教えてください

■「会社の雰囲気や仕事などに対する理解が深まった」

・「現場の実際、現実の厳しさを知れて良かった」(45歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「仕事に対して、イメージをしっかりと感じることができた」(35歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「実際、就職した時に近い環境で色々な事を学ばせてくれるのは、とても良い経験になりました」(42歳男性/ホテル・旅館/その他・専業主婦等)
・「外側から見ただけでは分からない、業界の真実がそこにあった」(46歳男性/サービス/専門サービス関連)
・「説明会だけだとわからない、職場の雰囲気等を実際に感じられた」(39歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「社員と同じ環境で仕事ができたことは貴重な体験だった」(45歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「なんといっても実際の職場の雰囲気とか、実際に働いてみるとどういう感じになるのかを体験できたこと」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「一番は、実際の仕事を体験できたこと。また、会社というものを実際に肌で体験できたのは良かった」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「もしかしたら生涯経験出来ないかもしれない仕事や体験を出来たことがとても良かったです」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「どんな業種か、どんな職場かある程度分かりましたし、自分のスキルのなさも分かりました」(38歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「子どもの頃から好きだった、憧れていて就職するのが夢だった企業の良い面、悪い面を就職前に知ることができて良かった」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「薬を作る工程、分析工程、錠剤を瓶詰めする工程など、原料から製品化までの流れを体験できた」(39歳女性/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「業種や業務内容について詳しく知ることができたので、参加してよかったと思いました」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「参加することで、初めて経験できることだったり、知れること、感じ取れることなど。その先の方向性を考えるきっかけになったと思う」(39歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「その業界には行かなかったけれど、お仕事体験ができてよかったと思っています」(38歳女性/その他/事務・企画・経営関連)

■「就職に役立った/就職へのモチベーションが高まった」

・「就職活動に対して意識が高くなった」(歳35男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「雰囲気がわかるので、モチベーションに繋がる」(28歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「インターンで体験した業界で就職できた」(41歳男性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「就職の際の応募候補の絞り込み」(48歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「良くも悪くも想像していたのとは違う一面を見ることができ、入ってから『こんなはずじゃなかった』とならないのはいいと思う」(42歳男性/食品/営業関連)
・「どこの企業にもあると思うが、企業側の明と暗の場面がはっきり見えた。非常に、その後の判断の参考になった」(44歳男性/農業協同組合/技能工・運輸・設備関連)
・「就職に凄く役に立つと思ったので、参加してそれが本当にそうなったので良かったと思いました」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「実際の雰囲気や、相手との接し方などものすごく勉強になり、就職後にも活かされていると思う」(32歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)
・「基本的に就職に意識が高い人たちが参加しているので、自分もそれにつられて意欲がわいてきたことです」(36歳男性/教育/公共サービス関連)
・「会社の雰囲気がわかり、入社後どの部署へ配属になりたいか希望どおりになった」(44歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「応募欄に記載されている仕事内容とのギャップを知ることができた。実際に仕事をする姿を想像できた」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「会社の中での実際のワークフローが見えたことで、自分に向いているかどうか肌で感じられた」(45歳女性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「あえて興味のなかった業種を選んだので、自分には向いてないとわかった」(45歳男性/通信関連/その他・専業主婦等)
・「業界や企業について、理解が深まった気がします。就職活動のモチベーションが上がりました」(47歳女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「就職したい業種の、中の実際の雰囲気が分かった事はとても良かったと思う。こんな風に仕事をするんだ、こんな会社で働きたいと、今後の就職活動へのモチベーションも上がった」(49歳男性/電力・ガス・エネルギー/メカトロ関連技術職)
・「就職活動の面接の際にネタとして使えた」(37歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)

■「これまでにない視点を得られた/社会の仕組みなどが理解できた」

・「アルバイトとは違う社会人経験が体験できたこと」(38歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「学生はやはり考えが甘いと思うので、社会に触れる良い機会でした」(47歳男性/精密機器/その他技術職)
・「社会人ないしはその会社のリアリティが少し見えた、感じられた」(41歳男性/通信関連/営業関連)
・「社会の流れが分かった。入らなければ分からない基本的なことも多かった」(49歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「学校で学ぶ知識のほか、社会的な目線でシステム開発を学ぶことができた」(43歳男性/教育/専門サービス関連)
・「学生のうちに社会人の方々の視点や仕事内容、苦労などについて知ることができたからです。学生がいかに狭い世界にいるかを実感しました」(46歳女性/ゲーム関連/クリエイティブ関連)
・「今は違う仕事をしていますが、経験したことが後々役に立つと思います」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他・専業主婦等)
・「どんな仕事が自分に合っているかわかるし、学校では学べない事が多く、高校生から導入すべき」(48歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門職関連)
・「色んな企業があって、自分の中でも刺激的だった事が良かったですね。それがあったから、今の私が形成されたと言っても良いくらい」(46歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「社会には、出来る人と出来ない人がいるとはっきりわかった」(43歳男性/その他/販売・サービス関連)

■「その他」

・「別の大学の学生と仲良くなれた」(45歳男性/通信関連/営業関連)
・「今でも食事に行き、アドバイスや話を聞いてくれる人生の先輩に出会えたこと」(36歳男性/不動産/専門職関連)
・「経験値が上がって、将来に生かせるものを得られたのが良かったと思います」(48歳女性/食品/営業関連)
・「海外での研修は会社の中身だけでなく、現地の文化を知ることができた。よい面も悪い面も見ることができ、日本にいては体験できないことがたくさん体験できて、よかったです」(33歳男性/教育/専門職関連)

■総評

調査の結果、マイナビニュース会員のうち、学生の時にインターンシップに参加したことがある人は39.3%と、約4割の人が経験ありと回答した。そのうち、インターンシップに参加して良かったと思った人は93.0%。実に9割以上の人が、インターンシップを肯定的に捉えている。

インターンシップに参加して良かったと思った理由について具体的に聞いた。主な回答としては、「会社の雰囲気や仕事などに対する理解が深まった」「就職に役立った」「就職へのモチベーションが高まった」「これまでにない視点を得られた」「社会の仕組みなどが理解できた」などが寄せられてる。

「会社の雰囲気や仕事などに対する理解が深まった」はやはり、多くの人が指摘している。バイトなどの部分的な経験だけでは、企業内の様子や業務の実態を深く知ることは難しい。学生にとって志望する業界や企業について具体的に知れるのは、インターンシップの大きな意義の一つと言えるだろう。

上記のような経験を重ねつつ、その上で「就職に役立った」や「就職へのモチベーションが高まった」とする声も多い。インターンシップに参加することで、自身が就職することのリアリティが感じられるという効果もあるようだ。また事実上、インターンシップが企業による選考の場として機能していることで、志望企業に対する自己アピールの場になるという側面も無視できない。

「これまでにない視点を得られた」や「社会の仕組みなどが理解できた」は、単にいち企業における経験を超え、広く社会全体に対する新たな視点や理解を得た、ということだろうか。「アルバイトとは違う社会人経験」「学校では学べない事」「学生は考えが甘い」「学生は狭い世界にいる」などのコメントが印象に残る。

インターンシップは就活生にとって、志望する業界や企業、職種を実際に体験できる大切な機会となる。今回のアンケートでも、インターンシップ経験者の大多数が「インターンシップに参加して良かった」と感じていることがわかった。会社の雰囲気や仕事などに対する理解が深まった、あるいは就職に役立ったなどの声も多く寄せられており、いまやインターンシップは、就活に欠くことのできない重要な制度となっていることがうかがえる結果となった。

調査時期: 2021年9月13日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 509人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません