「ちょうど今、私は走り続けている人生の中で一区切りつけようと思っていまして、ここからまた新たな女優人生とライフスタイルが始まる転換期のような気がしています」。晴れやかな表情でこう語るのは、2018年に『ホリデイラブ』(テレビ朝日)でブレイクし、ドラマを中心に引っ張りだこの女優・松本まりかだ。

  • 松本まりか 撮影:加藤千雅

今年、『向こうの果て』(WOWOW)で連続ドラマ初主演、さらに、現在放送中の『それでも愛を誓いますか?』(ABCテレビ)で地上波連続ドラマ初主演。また、アニメ『プリキュア』シリーズの劇場版最新作『映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』(公開中)の声優に抜てきされ、ここ2年の出来事は自身にとって大きな意味があるという。これから、さらに先へと進もうとしている松本。転換期を迎えた今の思いをたっぷりと聞いた。

松本は「子供たちの夢や憧れが詰まった作品に呼んでいただけたことが、とにかくうれしかったです」という。「今までは大人向けのドラマが多かったですし、子供が見たら怖い役もやってきましたので、純粋にプリキュアが大好きという子供たちのキラキラの眼差しの中に入れるというのはとにかくうれしいこと。私が子供たちに何かを与えるというよりは、私自身が子供たちとつながりを持てることに喜びを感じました」。

また、子供に対する思いも「子供のピュアな心を汚したくないし、彼らの夢を応援したい。私は今に至るまで時間がかかりました。だからこそやりたいことは信じてやり続けてほしいという思いがあり、私みたいに時間をかけず早く夢をつかんでほしいと思っています」と明かし、本作に参加したことで「さらに子供に関わりたいという思いが強くなりました」と語る。

  • (C)2021 映画トロピカル~ジュ!プリキュア製作委員会

松本が演じたのは、雪の王国・シャンティアのプリンセス・シャロン。「気品や気高さがあって、強く生きようとしている反面、中身は繊細で少女の心を持っている。二面性のある役だったので、表と裏がいい形で出せればいいなと思いました」と、二面性を意識して演じたという。

シャロンとの共通点を尋ねると、「子供の頃に寂しい思いや傷ついたことがあり、それを誰にも言えなかったというのは共感するところがありました」と答え、「私は幼い頃あまり友達と遊ぶこともなく、家に一人でいることが多かったのですが、演劇と出会い、それが仕事になり、この世界にすごく救われました」と演劇の世界に感謝する。

演劇との出会いは「小学校の学芸会」。「学校の行事の中で一番楽しかった。その当時、それ以上に楽しいことは人生の中でないくらい楽しくて高揚しました。それが中学になって仕事になり、そこから今まで長かったですけど、一番好きなことが仕事になっていて、出会うべくして出会ったのかな」と天職のようだ。