舞台『葵上』『弱法師』 -「近代能楽集」より-の公開ゲネプロが8日に東京・東京グローブ座にて行われ、神宮寺勇太、中山美穂、宮田慶子が取材に応じた。

  • 左から宮田慶子、神宮寺勇太、中山美穂

    左から宮田慶子、神宮寺勇太、中山美穂

同舞台では全8編の短編戯曲からなる三島由紀夫の代表作「近代能楽集」の2編を連続上演。「源氏物語」を原典にした『葵上』は、深夜の病院の一室を舞台に、美貌の青年・若林光(神宮寺)が入院する妻・葵の元を訪ねると、かつて光と恋仲であった六条康子(中山)の生霊が現れる。『弱法師』は家庭裁判所の一室を舞台に、育ての親、生みの親という2組の夫婦が盲目の青年・俊徳(神宮寺)の親権を争うことから物語が始まる。

1作目ではかつての恋人役、2作目では終末観に腰を据えた青年と家庭裁判所の調停委員という異なる間柄を演じた2人。神宮寺は中山について「お稽古中もたくさん助けられました。お芝居の経験がそんなに多くないので、引っ張っていただきながらお芝居をしていただいて、本当に助かりました。初めて座長としてやらせていただいているんですけど、本当に支えてもらいながら、今ここに立っています。それくらい頼もしい」と感謝する。

その言葉を聞いた中山は「これから始まるのに、もうなんか……そんなことおっしゃっていただいて」と涙を拭う。「(神宮寺は)お稽古も頑張っていて、驚くほど素直な方で、直感力も働いていて、逆にその姿を見て刺激になりましたし、先輩とはいえ私も舞台経験が豊富ではなくて、『ごめんね』と思いながら……」と心境を吐露した。

中山は神宮寺について「何に対しても『はい』とすぐ言うんですよ。で、その瞬間から切り替える。『なんで?』とか『違う』とか、そういう隙も見せない。そこが本当に初々しかったです。だって、かわいいですもん」と笑顔に。稽古中は「実はそんなにお話していない」とも明かし、「考えすぎて『うっ』となる瞬間がないほどの1カ月だったので、和むような会話とか、『食べ物は何が好きなの?』とか、そんな会話すらなかった。役の中で、どう来るかな、こう来たか、というような感じで見ています」と表す。

神宮寺も「本当にあまり余裕がなくて。台本と向き合っていたので、(本番が)始まってからにしようと思ってました」と同意。「僕、好きな食べ物はカレーです」とここで明かすと、中山は「知ってました」とリサーチ済みだった。

東京公演は東京グローブ座にて11月8日~28日、大阪公演は梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて12月1日~5日。

  • 退場時、扉が2つあって混乱する3人