ヨックモックといえば、「シガール」で知られる日本の有名洋菓子ブランド。そのヨックモックが昨年10月、都市型の小さな美術館「ヨックモックミュージアム」(東京都港区)をオープンした。このほど初開催されたメディア向けの内覧会に参加してきた。
ヨックモックミュージアムがあるのは東京・青山の住宅地。家に友人を招くように来館者を迎えたいという思いからこの敷地が選ばれたそう。地下1階・2階建ての家型で、ハナミズキが植えられた中庭を囲む温かな雰囲気の空間だ。
世界有数のピカソによるセラミック作品を公開
ミュージアムは、同社創業者である藤縄則一氏の「菓子は創造するもの」という想いを受け継いで設立された。現ヨックモックホールディングス取締役会長で同館の館長でもある藤縄利康氏が精選し、同社グループが30年以上かけて収集した「ヨックモック・コレクション」500点をさまざまな企画展を通して公開する。コレクションは、世界有数のピカソのセラミック(陶器)作品が中心となっている。
ピカソは、第二次世界大戦後の1947年から1973年に死去するまで、ピカソはフランス南部のヴァローリスにあるマドゥラ工房でラミエ夫妻と緊密に協力しながら、数千点にものぼるセラミック作品を制作。ヨックモック ・コレクションには、お椀、水差し、食器、大皿といった「エディション」として生産された多岐にわたる容器や優れた大型の作品の全てが含まれている。エディションにおいて最も特筆すべき点は、職人が型やろくろによって形態を忠実に複製し、ピカソがときに型破りな方法で生み出した形態や効果をも再現したことなのだそう。
モチーフをもとに「地中海人ピカソ」を読みとく展覧会
開館記念第一弾「ピカソ: コート・ダジュールの生活」展に続いて、現在は第二弾「地中海人ピカソー神話的世界に遊ぶ」展を開催中。会期は10月26日~2022年9月25日。第二次大戦後に地中海沿岸に戻ってきたピカソが作陶のモチーフとしたのは、地中海世界に古代から伝わる神話世界の住人たちや身近な自然界の動物たち、愛する闘牛など。この展覧会では「地中海人」であり続けたピカソの在りようを、彼が取り上げたモチーフをもとに読みとく。
照明を落とした地下1階と自然光が差し込む2階を舞台に、「1章 神話世界と動物たち」「2章 プロヴァンスの幸と鳥たち」「3章 闘牛: 古代地中海世界からの儀式」「4章 人間愛とヌード賛美」の4章で構成される。
カフェ&ミュージアムショップも
館内には、中庭を臨む「カフェ ヴァローリス」もある。ここでは「オリジナルブレンドコーヒー」(HOT・ICE/800円)や「カフェ ヴァローリス」(900円)をはじめ、ヨックモックグループ内ハイエンドパティスリーブランド「アン グラン」のミニャルディーズ(ひとつまみサイズのお菓子)も提供している。ミュージアム限定ミニャルディーズは、天面をパレットに見立てて果汁で鮮やかに色付けした「ヴァローリス」(550円)。
「ミニャルディーズセット」(1,100円)、クラフトキットにドリンクと焼菓子がついたアートキットメニュー「art for café 」(1,650円)なども用意されている。
ミュージアムショップも。「ポストカード」(150円)や「マスキングテープ」(350円)、「トートバッグ」(2,200円)などの限定グッズのほか、オリジナルデザインのプティ シガール「ヴァローリス」缶(1,280円)も販売されている。
開館時間は10時〜17時(入館は閉館の30分前まで)。休館日は月曜(月曜が祝日の際は開館)、年末年始、展示替期間。チケットは、一般1,200円、大学生・高校生・中学生800円、小学生以下 無料。当日券もあるが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため予約サイトでの来館日時指定予約への協力を呼びかけている。