アメリカの有名オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に念願の初出演を果たした、お笑い芸人のチェリー吉武。数々のギネス世界記録を持つことで知られる彼だが、同番組では「お尻でくるみ割り」の世界記録にチャレンジ。大舞台で堂々とパフォーマンスを披露し、拍手を浴びた。「お尻でくるみを割るたびに転機が訪れた」という彼が明かす、ギネス世界記録への思い。妻でお笑いコンビ・たんぽぽの白鳥久美子が今夏に出産し、父となったことによる心境の変化とは――。

  • チェリー吉武

「5年ほど前から書類や動画を番組に送り続けていましたが、ことごとくダメで」と、『アメリカズ・ゴット・タレント』への出場は念願だったというチェリー。「コロナ禍でなかなかアメリカまで行けない出場者の方もいたようで、僕にお声がけいただいて。僕もコロナ禍でスケジュールが真っ白でしたから! ピンチだったものが逆に、チャンスになったという感じです」と喜び勇んでアメリカへと旅立ったそう。

番組の収録が行われたのは、今年の4月。妻の白鳥久美子が妊娠中で、「奥さんのお腹も大きくなってきていましたので、アメリカに行くことについて悩む気持ちもあった」と打ち明ける。「そんなとき、奥さんは『(賞金の)ドルを稼いで来い!』と言ってくれました」と妻の後押しにも感謝。

ステージでは次々とお尻でくるみを割り、これまでは30秒で71個という記録だったが、それを大幅に更新する79個を割り喝采を浴びた(ギネス世界記録認定員がいないため、非公式チャレンジとなる)。チェリーは「日本では萎縮してしまうような場面でも、海外だと言葉の壁がある分『とりあえずやり切ろう!』と吹っ切ることができます。今回もテンションを保ったまま、思い切り発散することができた」と充実感をにじませ、「これからも『アメリカズ・ゴット・タレント』に挑戦し続けて、審査員の方々から『お前、また来たのかよ』と言われるぐらいの存在になりたいです」と意欲を語る。

■「お尻でくるみ割り」誕生秘話とギネス世界記録への思い

チェリーは2005年より芸人としての活動を始め、お尻を使った芸を得意としてきた。「お尻でくるみ割り」の誕生秘話を聞いてみると、「イギリスのBBCが手がける番組(『Officialy Amazing』)が、お尻でくるみを割ることのできる人を探していたようで。僕はワインのコルクをお尻で開けたり、お尻でダーツの矢を受けたりとお尻を使ったネタをたくさんやっていたので、『チェリー、どうなんだ。お前のケツは準備万端か?』と僕のお尻に白羽の矢が立って、『お尻でくるみ割り』をやってみることになりました。やったことがないからできるかわからないけれど、チャレンジしてみようというところからのスタートです」と述懐。

さらにそこから、「そのイギリスの番組は『次はこれをやってみては?』とどんどん提案をしてくれたので、次々と新しいことに挑戦するようになって」と複数のギネス世界記録へのチャレンジがスタート。「ギネス世界記録を9個くらいとった時点で、イチローさんのギネス世界記録保持数を超えているんじゃないかという話になってきて。それまでは日本人でギネス世界記録を保持している人って、イチローさんが一番多かったんです。日本人で一番多く記録を持っているのは僕なのか? と思うと、それがまた着火剤になってケツに火がつきました」と振り返る。

ギネス世界記録にチャレンジし続ける原動力となっているのは、どのようなものだろうか? チェリーは「もちろん世界記録を狙っていくという目的はあるんですが、それプラス、お客さんに『アイツ、バカだな』『何をやっているんだ』『ケツでくるみを割るだけなのに、なんでこんなに一生懸命になっているんだ』と思われながらも、そういうことで盛り上がってくれるような芸が好きなんですよね。誰もやらないような芸だけれど、滑稽な部分を見てもらうことで盛り上がってくれると、こちらもテンションが上がります」と自身の好きな笑いがそこにあるからだという。