厚生労働省は10月26日、「2020年度 家庭用品に係る健康被害の年次とりまとめ報告」を発表した。皮膚安全性症例情報ネット(SSCI-Net)および日本中毒情報センター(JPIC)の協力を得て家庭用品による健康被害の情報を収集し、とりまとめたもの。集計期間は2020年4月1日~2021年3月31日。

マスクによる皮膚障害、前年度の2倍に

  • 2020年度・家庭用品による皮膚障害の報告全数(出典:厚生労働省Webサイト)

家庭用品による皮膚障害の報告全数は81件。最も多かったのは「マスク」の34件で、コロナ禍に伴い前年度の約2倍に増加した。以下、「ネックレス」が5件、「ピアス」・「家庭用手袋(天然ゴム)」が各4件、「家庭用手袋(その他)」・「食器用洗剤」・「指輪」・「ビューラー」が各3件と続いた。

患者の属性をみると、性別では、女性が84.0%(68例)と大半を占めた。皮膚障害の種類別では、「アレルギー性接触皮膚炎」(45.7%)が最多で、ピアスやネックレスなどの装飾品が多かった。次は「刺激性接触皮膚炎」(25.9%)で、マスクによるものが多かったという。

家庭用品による吸入事故等の報告全数は125件。最も多かったのは「除菌剤」の42件で、コロナ禍の影響を受け、除菌剤だけで全体の3分の1以上を占めた。次いで「洗浄剤(住宅用・家具用)」が19件、「殺虫剤」が14件、「漂白剤」が10件、「防カビ剤」が8件と続いた。

「除菌剤」について成分別にみると、二酸化塩素含有製品が23件と最も多く、次いで次亜塩素酸含有製品が12件と続いた。同省では、「消毒剤や、その他ウイルスの量を減少させる物質について、人の目や皮膚に付着したり、吸い込む恐れのある場所での空間噴霧をおすすめしていない」としている。