特に印象に残ったというのは、母・京子さんの運転で家族全員が乗った車の中で、佳秀さんの大好きな吉田拓郎の名曲がカーステレオから流れるシーン。大介さんが口ずさみながら、佳秀さんに「歌ってよ、父ちゃん」と話しかける姿が切ない場面で、富田はナレーション収録の1テイク目で、読みながら思わず涙があふれ出てきた。

「車を運転しながら、お母さんが涙を流していたんです。これまで頑張ってこられたんだろうし、いろんな感情がにじみ出た涙なんだろうなと思って、強いお母さんだなと思いました…。あのシーンは2回読ませていただいたんですけど、もう(映像を)直視すると(涙が)こみ上げてきてしまう。グッときましたね」

ちなみに、富田家において家族が一緒に聴く曲を聴くと、「うちは結構ファンキーで、ジャニス・ジョプリンとかが夜に流れ出したりします(笑)」とのこと。「母が昔のロックバンドとかマイナーな曲がすごく好きなんです。父もサーファーだったので、音楽の趣味もきっと合ってたんだろうなと思って。初めて聴く曲も、いつも懐かしい感じがするんです」と、DNAに刻まれているようだ。

●富田望生
2000年生まれ、福島県出身。15年、映画『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』のメインキャストをオーディションで射止めて女優デビュー。その後、『モヒカン故郷に帰る』『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの映画、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『なつぞら』『教場』『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』『ネメシス』などのドラマに出演。12月3日公開のアニメ映画『フラ・フラダンス』に声優として出演する。