パイナップルはトロピカルフルーツのなかでも親しみのある果物のひとつでしょう。パイナップルにはさまざまな栄養成分が含まれていて、健康や美容を意識する人をサポートしてくれる期待が持てる果物です。
本記事ではパイナップルの基本的な知識や含まれる栄養成分、期待できる効能など徹底紹介します。
パイナップルとは
パイナップルはパイナップル科アナナス属の果物です。まずはパイナップルについて基本的な知識を紹介します。
パイナップルは江戸末期に日本に伝来した
パイナップルの原産は熱帯アメリカです。大航海時代にコロンブスが発見してヨーロッパに持ち帰られました。その後アフリカ、アジアの熱帯地方などに伝わり、日本には江戸時代の弘化2年(1845年)に伝来。日本では主に沖縄で栽培されています。
松かさ(パイン)のような形状に、りんご(アップル)のような味わいがあることから、パインとアップルを組み合わせてパイナップルの名前の由来になったといわれています。
パイナップルのカロリー
パイナップルのカロリーは日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると可食部100gあたり54kcalです。同量のご飯が157kcalであると考えると、カロリーが高い食品ではないといえるでしょう。
パイナップルの栄養成分
パイナップルには豊富な栄養が含まれている果物です。ここでは代表的な栄養成分を紹介します。
ビタミンB1
ビタミンB1はチアミンともよばれます。糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンです。ビタミンB1が不足すると糖質が疲労物質として体内に蓄積してしまい、疲労回復の妨げになることもあります。
ビタミンC
ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンを生成するのに欠かせないビタミンです。皮膚や血管、筋肉、骨などの健康維持をサポートしてくれて、免疫力のアップなどに期待が持てます。
鉄の吸収を促進するので、貧血気味の方にもおすすめのようです。体内で合成できないので、食べ物やサプリなどから摂取する必要があります。
食物繊維
パイナップルには善玉菌の増殖をサポートして腸内環境を整えて便を柔らかくする水溶性食物繊維と、腸の働きを活発にして便通に効果がある不溶性食物繊維の両方が含まれています。
食物繊維には血糖値の上昇を抑えたり、血液中のコレステロールの濃度を下げたりする働きもあるようです。
ブロメライン
ブロメラインはたんぱく質分解酵素でパイナップルには多く含まれています。胃液の分泌や消化などに働きかけて、胃腸の炎症や腸内の有害物質の分解などに有効だといわれている成分です。
カリウム
体内のナトリウムの排出を促進して、細胞内液の浸透圧を調整するのがカリウムです。体内の余分な塩分を排出する働きがあり、正常な血圧を保つ、むくみ改善、筋肉の機能を調整などが期待できます。
パイナップルで期待できる効果・効能
パイナップルに含まれる栄養素は健康や美容に期待できる効果・効能があるもの。ここでは主なものを紹介します。
疲労回復
パイナップルに豊富に含まれるビタミンCや、クエン酸は疲労回復や老化抑止などに効果があるといわれている栄養素。ビタミンB1 も糖質をエネルギーに変え、代謝を高める働きがあり、疲労回復のビタミンとよばれています。
美肌効果
ビタミンCは皮膚の健康維持には欠かせない栄養素のひとつ。またパイナップルには肌の保湿効果や、紫外線やアレルゲンから肌を守るバリア機能があるといわれるセラミドも含まれています。美肌効果を期待する人におすすめの果物といえるでしょう。
腸の環境を整える
パイナップルに含まれる水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は腸内環境を整えて便通などに効果が期待できます。またたんぱく質分解酵素のブロメラインも腸内の有害物質を分解する効果があり、腸内の健康維持をサポートしてくれる期待が持てるでしょう。
むくみ防止
顔のむくみの原因のひとつが塩分の摂りすぎです。パイナップルに含まれるカリウムは体内の細胞内液を調整するために余分な塩分を体外へ排出する働きがあり、むくみの改善や予防などの期待が持てます。
骨や関節の健康サポート
パイナップルに含まれる鉄、マグネシウム、マンガンなどのミネラルは体の組織を構成したり、酵素を生み出す成分になったりするなど重要な役割を担っている栄養素です。これらのミネラルは体を維持するのに欠かせない成分で骨や関節の健康サポート効果が期待できます。
パイナップルの食べ方
ここではパイナップルの食べごろ、切り方、保存方法など解説します。
パイナップルの食べごろは
収穫してからも甘みが増すことを追熟といいますが、パイナップルは追熟しない果物です。放置しておくと色の変化が見られるかもしれませんが、酸味が和らぐことはあっても、糖度に変化はありません。そのため、購入時にしっかり熟したパイナップルを選ぶ必要があるでしょう。
・色・香り・形を確認する
葉は枯れずにピンとしていて、濃い緑色になっている。胴部分は青々しているものよりも黄色味があるものを選びましょう。さらに匂いをかいでみて、甘い香りがするものが食べ頃の可能性が高いです。
・持ってみる
手でもって重みがありずっしりした感触があり、お尻部分が緑色のものを選びましょう。古くなっているものはお尻部分にカビが生えているケースがあるので、注意してください。
パイナップルのおすすめの切り方
- パイナップルの上部と下部を皮がついたまま切る
- 縦向きに半分に切る
- 大きさによってさらに縦に4分の1、8分の1などに切る
- 切ったパイナップルの実の中心にある芯を切り落とす
- 実と皮の間に包丁を入れて皮を取り除く
- 食べやすいサイズに切る
パイナップルの保存方法は
パイナップルを保存するときは高温や直射日光があたる場所は避けて、冷蔵庫の野菜室や冷暗所で保存しましょう。基本的には購入後は早めに食べるのがおすすめです。 カットした場合は冷蔵保存しながら2、3日で食べきってしまいましょう。「長期間保存したい」という場合は冷凍保存も可能です。手頃な大きさにカットして冷凍保存が可能は袋など使用して冷凍保存しましょう。凍ったものをシャーベットのように食べたり、スムージーなどの材料にしたりもできますよ。
パイナップルの缶詰はカロリーや糖質が高め
パイナップルが好きな方は缶詰で購入するケースも少なくないと思います。日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に可食部100gあたりのカロリーと糖質を比較してみました。
生のパイナップル | 缶詰のパイナップル | |
カロリー | 54kcal | 76kcal |
糖質 | 12.5g | 19.7g |
缶詰のパイナップルはシロップに浸かっているので、その分、カロリーも糖質も高くなります。カロリーや糖質を控えたい方は生のパイナップルを食べたほうがいいでしょう。
パイナップルは冷凍保存しても栄養は損なわれない
パイナップルを冷凍保存すると「もともとの栄養が損なわれるのでは」と考える方もいるでしょう。しかし英国のチェスター大学の研究によると、生の果物と冷凍した果物の栄養価を比較すると、冷凍した果物のほうがビタミンCや抗酸化物質の量が多いという結果がでたそうです。
米国の食品医薬局でも「冷凍品のほうが長期間栄養価を保つ」と発表していて、冷凍しても果物の栄養は損なわれないといえるでしょう。
パイナップルの栄養は妊婦にもおすすめ
パイナップルには妊婦におすすめの栄養が多くあります。
- ビタミンB6・・・つわり軽減
- 食物繊維・・・妊娠中の便秘対策
- クエン酸・・妊娠中の貧血予防
などの効果が期待できますよ。 とはいえ食べすぎは控えて、適量にしましょう。
パイナップルの栄養は健康や美容サポート効果が期待できる
いままでパイナップルの栄養面を気にして食べていなかった方もいるのではないかと思います。パイナップルにはビタミンB1やビタミンCなど疲労回復や美容をサポートしてくれる期待がある栄養成分が含まれている果物です。
「最近疲れがたまっている」「肌の調子がイマイチ」そんな方はパイナップルを食べる習慣を作るといいかもしれません。
文部科学省「食品成分データベース」