1999年の放送開始から根強い人気を誇り、現行のテレビドラマでは最も長く続いている長寿シリーズ『科捜研の女』。沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の法医研究員・榊マリコが、専門技術を武器に科学的な見地から事件の真相解明に挑む姿を描く至高の“科学ミステリー”だ。この秋公開された初の劇場版の勢いもそのままに、14日からドラマの新シリーズ『season21』(テレビ朝日系毎週木曜20:00~ 2クールでの放送)がスタートする。
沢口が見どころだと太鼓判を押すのは、劇場版から続くマリコ・土門薫刑事(内藤剛志)・倉橋拓也(渡辺いっけい)の3ショット。2人の前で見せるマリコの演じ分けや、最新の科学捜査、励みになっているという視聴者からの声について話を聞いた。
■土門刑事は絆の深いパートナー、倉橋は幼馴染みのような感覚
昨年放送された『season20』が全9話・1クールだったことから、クランクアップ時には「あっという間に最終回を迎えた気もいたしました。少し寂しいような……」と話していた沢口。今回は劇場版からの『season21』2クールと続けてマリコを演じられることに「意気揚々としております」と声を弾ませる。「スクリーンを意識したサイズ感、スケール感があった」という劇場版に対し、ドラマ版は「お茶の間で楽しんで頂ける内容になっている」と慣れ親しんだ魅力を届けていくという。
劇場版では、約20年ぶりにマリコの別れた夫・倉橋拓也が登場。事件を解決するたびにマリコと絆を深めてきた土門薫刑事との人気コンビ・“どもマリ”の行方とあわせ注目を集めた。沢口自身も「劇場版に続いて、土門刑事と倉橋さんとマリコの3ショットが見られますので、ぜひテレビでも楽しみにしていてください」と呼びかける。
土門刑事の前でのマリコ、倉橋の前で見せるマリコに変化はつけているのだろうか。倉橋のことを「拓也」と呼ぶキュートな声は「倉橋さんといるときのマリコがかわいい」と評判だ。「マリコにとっての土門さんは、仕事の上での絆の深いパートナー。かたや倉橋さんは元夫ですが、嫌いになって別れたわけじゃない人。今でも人間的側面に好意を持っている相手ですので、幼馴染みのような感覚で演じました」と沢口。
「ただ、ファンの方は色んな思いを抱いてご覧になっていると思いますので……」と含みを持たせる沢口に「“どもマリ”を応援しているファンの方も多いですよね」と伝えると、「ねぇ~うふふ(笑)」ニッコリ。「事件が起きるたびに絆はどんどん深まっていますが、おそらくこのままの関係が続いていくのではないかと思っております」と自身の“どもマリ”論を語る。
■『科捜研』を参考に京都府警がハンディ3Dスキャナーを実用化
そして『科捜研の女』の見どころといえば、誰もがワクワクする最新鋭の鑑定アイテムや分析手法。続々と登場する最新の科学捜査に、台本を読むたび驚いているという。「顔認証システムやドローンの操作、ハンディ3Dスキャナー……今では一般的になりましたが、実はドラマが先行していたんです。ハンディ3Dスキャナーは、京都府警の方がドラマをご覧になったことで実用化が決まったんですよ。改めて、『科捜研の女』は時代を半歩リードしているんだなと驚いた出来事でした」。そんな沢口には、2015年に「京都府警のイメージアップに大きく貢献」したとして、感謝状が贈呈されたこともある。
初めて見聞きするような専門機器の取り扱いには、芝居とは別の苦労もありそうだが「シリーズを通して、きっちり下調べをしたうえで指導してくれる専門の助監督さんがいて、ときには専属の方を現場に呼ぶこともあります」とサポート体制の充実を挙げ、「本物の機器をお借りしている分、演じる側もリアルを追求したい」と、スタッフ・キャスト一同が大事にする“リアリティ”への意気込みを感じさせた。
■実際の科捜研はドラマのように1時間で解決しない
そんな『科捜研の女』は、見た者の人生を変える作品にもなっている。「『理系の道へ進むことに興味を持ちました』『科捜研を目指しています』というお手紙を頂く機会が増えました。真実に向かってまっすぐ突き進むマリコの姿に、憧れを抱いていただけるのは本当にうれしいです」と、視聴者からの声は励みになっているよう。夢を追いかけている人々へ「実際の科捜研は、ドラマのように1時間で解決しないでしょうし、膨大な資料を前に緻密で骨の折れる作業にも取り組まないといけないと思うんです」と寄り添い、「でも科学で事件を解決し、人を救いたいというマリコのような強い思いを持って、ぜひ、夢に向かって頑張ってほしいです」とメッセージを送った。自身も「自分の仕事に信念を持ち、決して諦めないマリコは、同じ科学者のエジソンが何回失敗してもチャレンジを続けたような精神を持っている」というマリコに、パワーをもらっているようだ。
最後に『season21』第1話の見どころを聞くと、やはり「マリコ、土門刑事、倉橋さんの3ショット」とのこと。「詳しい内容はここではまだお話できませんが、マリコが最終的にはどちらを選択するのでしょうか楽しみにしていてください。マリコの人間らしさを見ていただける回になっていると思います」とアピールした。
1965年6月11日生まれ。大阪府出身。1984年『刑事物語 潮騒の詩』でデビュー。1985年NHK連続テレビ小説『澪つくし』で全国的に人気を博し、以降、ドラマ・映画・舞台に多数活躍。近年の出演作は、『科捜研の女』『鉄道捜査官』(テレビ朝日系)、『警視庁機動捜査隊216』(TBS系)、『検事・霞夕子』(フジテレビ系)がある。