アイウェアブランド「JINS」が2015 年に発売したメガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」を⼀新。「JINS MEME 次世代機発表会」を10⽉6⽇に開催した。

  • 「JINS MEME 次世代機発表会」に登壇した(左から)JINS代表取締役CEOの⽥中仁氏、ミュージシャンの⼭⼝⼀郎さん、JINS MEME クリエイティブディレクターの岩原⼀平氏

発表会では次世代機に⾄るまでの開発背景や、世相を踏まえた新商品の特徴・機能などを発表。同商品のテレビCMなどに出演したミュージシャンの⼭⼝⼀郎さんをゲストに、創作活動にまつわるセルフマネジメントなどに関するトークセッションが実施された。

オンとオフの境界線が曖昧な時代のセルフケアメガネ

アイウェイブランドとしては世界で初めて、研究開発部門のR&D室を設けるなど、10年以上前からテクノロジーの可能性に着目し、投資を続けている「JINS」。

今年で設立から20周年を迎える同社のJINS MEMEは、独自のセンサー搭載するメガネ型ウエアブルデバイスで、独⾃アルゴリズムでBody(カラダ)、Mind(ココロ)、Brain(集中)の状態を計測・判定、ヘルスケアをサポートする。

代表取締役CEOの⽥中仁氏は冒頭、2015年に発売された「JINS MEME」初号機で残されていた課題について語った。

「当時のハードウェアの制約から、重くて掛け心地が悪く、デザインも限られていました。また、取得データを体系的に日常的なソリューションへと繋げることも十分にできていませんでした」

  • 新型「JINS MEME」と専用アプリを紹介する⽥中氏

続いて、⽥中氏はネット環境の発達などによりいつでも誰とでもつながり、どこでも働くことが可能になり、現代人のオンとオフの境界線が非常に曖昧になっていると指摘。今回の次世代機の開発背景になっていると紹介した。

「コロナ禍によって生活様式の変化や社会のデジタルシフトが進み、健康への意識も高まりました。リモートワークによって働き方も多様化しています。まさに自分で⾃分をマネジメントする⾃⼰規律が大切な時代です。終身雇用の崩壊やフリーランス・副業の推奨などを踏まえ、我々は5年以上前から新たなJINS MEMEの開発に着手してきましたが、奇しくもコロナ禍で時代に必要とされる製品となったと思っています」

次世代機では独⾃センサーの⼩型化により、普通のメガネと変わらない⾒た⽬や着⽤感を実現。専⽤アプリではココロとカラダの状態を計測・可視化するだけでなく、より良い状態に整えるためのオリジナルコンテンツも多数用意する。

また、同アプリはJINS にとって初となるサブスクリプションサービスとして提供され、メガネ購入時の初期価格は1万9,800円に設定。初年度のアプリ利用料を無料とし、2年目以降から月額500円、年間5,000円と発表した。

「Mind(ココロ)」「Body(カラダ)」「Brain(集中)」を可視化

JINS MEME クリエイティブディレクターの岩原⼀平氏は、新たなJINS MEMEの3つの進化、ハードウェア、ソフトウェア、ビジネスモデルについて解説した。

「新型のJINS MEMEは、メカパーツの小型化ができたことで、鼻あて部分にセンサーや電池、基盤などを全て集約しています。我々はこの鼻あて部分を『Core』と呼んでおり、これがBluetoothでアプリと連携して動く仕組みです。従来のJINS MEMEのデザインは2種類のみでしたが、今回は通常の眼鏡タイプが8種類、サングラス4種類の合計12種類のデザインで展開します」

Coreには3点式眼電位センサーと6軸モーションセンサー(3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー)が搭載されている。

  • 新型の「JINS MEME」

まばたきの強さと速度、間隔、視線移動の速さなどから脳の変化を測定する3点式眼電位センサーで「Mind(ココロ)」を、体のあらゆる動きや姿勢などを測定する6軸モーションセンサーで「Body(カラダ)」を可視化。両⽅のセンサーを⽤いて「Brain(集中)」も可視化する。

「専用アプリのソフトウェアも進化させ、リアルタイムで歩行時・着席時の姿勢の傾向や時間などを記録。さまざまなシーンで実践できるプロのヨガインストラクター監修のヨガやストレッチのコンテンツを30種類以上、マインドフルネスの専門家による18種類のコンテンツを用意し、ユーザーに最適なメンテナンスを提案します」

ヒストリー機能で記録を遡ることもできるほか、ウィークリーレポートの生成やルーティンをスケジューリングし、通知する機能も追加した。

旧型JINS MEMEの走り方のフォームをチェックする「JINS MEME RUN」、運転中の眠気測定ができる「JINS MEMEDRIVE」などの機能は引き続き搭載する。

「集中力の可視化という、旧型JINS MEMEの主な機能はそのまま引き継ぐ形となります。今回新しく追加された機能としてタスク名や時間・場所を入力すると、最適なBGMなどで理想的な集中状態を作り出すことを支援する『フォーカス』があります。タスク中の集中度の上下、スコアの振り返りも可能です」

「JINS MEMEはお母さんみたい」

発表会には同商品のテレビCMやメインビジュアルに起用されたサカナクションのボーカル、山口一郎さんが登場した。

今回のCMは実際に山口さんの自宅で撮影されたそうだが、ミュージシャンという仕事柄、普段から自宅での作業も多く、"オンとオフが曖昧な時代"というキーワードに強く共感したとのこと。JINS MEMEを実際に使用した感想を述べた。

「僕は歌詞を書くのにPCを使うんですが、こんなに自分の姿勢が悪いんだと知り、自分の無意識の部分ってこんなに大きいんだなと改めて思いました。自分がふと弱気になったときも敏感にJINS MEMEは反応してくれて。自分の心身を意識して直すようになると、本当に少し体調が良くなったりして、こんな変わるんだなと実感しましたね」

  • "オンとオフが曖昧な時代"というキーワードに強く共感したという山口さん

JINS MEMEには通知機能があることもポイントで、負担の大きい姿勢などが続くとアプリがプッシュ通知を出し、最適なストレッチやヨガ、瞑想などを提案。

自分の現在の状態を客観視し、より良いコンディションに戻るといったサイクルを実現するという。岩原氏はこうした機能について次のようにこだわりを語った。

「実際にストレッチやヨガの動画ってYouTubeなどにもたくさんあるんですが、場所と時間に制約が持たせない点は今回すごく大切にしてコンテンツを作っています。なんだったらトイレみたいな狭いスペースで1分、2分でもできる。通知頻度の設定は自由に変えられ、気軽に心と身体のケアができると思います」

山口さんは「JINS MEMEはお母さんみたいですよね。『姿勢悪いわよ』『ちゃんと集中しなさい』と教えてくれる母親みたい」とコメント。「制作してるときって孤独なんですけど、そこに寄り添ってくれる仲間みたいな感覚がして、すごく新鮮でした。今までもメガネに対してそんなこと思ったことがなかったので」とも語った。

新たなJINS MEMEは10月6日よりJINS MEME Webサイトにて予約を開始。10⽉14⽇よりJINSの⼀部店舗(100店舗)、およびJINS MEME オンラインショップで発売される。