Slackは10月5日、オンラインで「リモートでの従業員体験レポート」に関する記者説明会を開催した。同社ではグローバルにおいて1万人以上のナレッジワーカーを対象に四半期ごとにFuture Forum Pulse調査を実施しており、最新の結果としてオフィス勤務を望む経営層の意向が従業員の満足度や定着度に影響を及ぼすことが判明したという。

従業員は場所と時間の柔軟性を求めている

Future Forum Pulseは四半期ごとに調査を実施しており、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、イギリスのナレッジワーカー1万人以上を対象としたアンケートをベースとしている。今回の調査期間は2021年7月28日~8月10日、回答者数は1万569人、対象者の条件はフルタイム雇用(週30時間以上勤務)のナレッジワーカーとした。

  • Future Forum Pulseの調査概要

    Future Forum Pulseの調査概要

Slack アライアンス本部 シニアディレクターの水嶋ディノ氏は「今回の調査ではオフィス勤務に戻ることに対する経営層と一般従業員の意向に大きなズレがあることが浮き彫りになり、今後1年のうちに57%の従業員が新たな仕事を探す可能性があり、働く時間と場所の柔軟性が重要な要件になっている。また、リモート勤務のナレッジワーカーのうち、フルタイムのオフィス勤務を望む経営者は従業員の3倍近くに達し、人材競争に勝つためには柔軟性、インクルージョン(包摂性)、透明性のある職場が求められている」と指摘。

  • Slack アライアンス本部 シニアディレクターの水嶋ディノ氏

    Slack アライアンス本部 シニアディレクターの水嶋ディノ氏

仕事に対する満足度の要素は報酬に次いで柔軟性が2位となり、76%の回答者が働く“場所”の、93%が働く“時間”の柔軟性をそれぞれ求めている。国別の勤務場所に対する意向は他国と比較して毎日オフィスでの勤務を望む人が多いが、7割の回答者が毎日オフィスで仕事はしたくないと回答している。

  • 従業員は働く場所と時間の柔軟性を求めている

    従業員は働く場所と時間の柔軟性を求めている

  • 国別の勤務場所に対する意向

    国別の勤務場所に対する意向

経営層はフルタイムオフィス勤務に戻したい

日本における勤務場所別の仕事に対する満足度を8つの指標(ワークライフバランス、帰属意識、生産性、ストレス&心配事、人・ファイル・リソースへのアクセス、働き方の柔軟性、仕事への集中、職場環境全体の満足度)で見た結果、いずれの指標においてもリモート、ハイブリッドの方が満足度が高くなっている。

  • 日本における勤務場所別の仕事に対する満足度

    日本における勤務場所別の仕事に対する満足度

また、柔軟な働き方はインクルージョンを促進するということも判明しており、現在リモートワークを実施している回答者のうち、女性従業員の85%(男性は79%)が柔軟かつハイブリッドな働き方を希望し、特に子供のいる女性で重視する傾向が高く、仕事に対する満足度も高い結果となっている。

  • 柔軟な働き方はインクルージョンを促進するという

    柔軟な働き方はインクルージョンを促進するという

そして、従業員の意識はリモート、ハイブリッドを望んでいるが、経営層はフルタイムオフィス勤務に戻したいと考えており、リモートワーク中の経営層の44%が完全オフィス勤務を望み、従業員は17%しか希望していないという実態が明らかになっている。

  • オフィス勤務に関して経営層と従業員の間には認識の大きなズレがある

    オフィス勤務に関して経営層と従業員の間には認識の大きなズレがある

このような大きなズレが生まれている要因として水嶋氏は「仕事に対する満足度の相違、偏った意思決定プロセス、透明性の欠如がある」との認識を示す。

経営層の仕事の満足度に対しては、それ以外の従業員よりも62%高く、ポストパンデミックの働き方については66%の経営層が従業員の意見をほとんど取り入れていないと回答していることに加え、リモートワークの方針に関して「透明性が非常に高い」と回答した経営層の割合は66%、これに同意する従業員は42%と半数にも満たない状況となっている。

  • 大きなズレが生じる要因

    大きなズレが生じる要因

同氏は「このギャップを埋めることが人材競争に勝つための鍵となり、柔軟性を備え、インクルージョンを育み奨励し、透明性を高めてつながりを築くことが重要だ」と力を込める。

  • ギャップを埋めるための鍵

    ギャップを埋めるための鍵

理想的な職場環境にするために

柔軟性に関しては、自社の方針が「非常に透明性が高い」と思えない従業員は仕事への満足度が低く、職場を公平だと感じらないと同時に、自分が尊重されていると思えない傾向が高いため、働く“場所”と“時間”の両方で担保するとともに、子供のいる人が働きやすい環境を整備し、透明性を高めていくべきだという。

水嶋氏は「職場における柔軟性、インクルージョン、党声明を実現していく手段として適切なテクノロジーとツールの活用が重要であり、日本企業におけるテクノロジー/ITツール採用意欲別の仕事に対する満足度は、新しい技術を取り入れて積極的に活用する企業は高くなっている。調査を進めた結果、柔軟性は非常に大きなポイントだ」という。

  • 日本におけるテクノロジー/ITツール採用意欲別の仕事に対する満足度

    日本におけるテクノロジー/ITツール採用意欲別の仕事に対する満足度

そのため、非同期・同期コミュニケーションを組み合わせるSlackの新機能として、先日発表したSlackコネクトの強化、クリップ、Slackハドルミーティングを発表しており、水島氏は「Slackはデジタルな職場を実現するための製品であり、さまざまな機能を提供し、今後も強化していく。柔軟かつ包括的でつながりのある働き方を実現できる」と述べていた。