栄養素が豊富に含まれている果物のひとつに、いちじくがあります。女性にとって嬉しい成分が含まれていることで有名ですが、男女問わず体に嬉しい効果を期待できる成分が含まれている果物です。
生のままに食べるのとともに、ドライいちじくとして食べることも多いですが、栄養成分はどう違うのかも知っておきたいですよね。
この記事では、いちじくの栄養素や期待できる効果効能、調理する際のポイントなどを紹介します。
食生活を気にしている人にとって役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。
いちじくとはどんな果物?
いちじくは、クワ科イチジク属の植物になる果物です。6000年以上前に生まれて長い歴史があり、原産地はアラビア南部の肥沃地帯で、日本に伝来してきました。
いちじくは花を咲かせない?
いちじくは一見花がないように見えることから「無花果」という漢字が当てられていますが、実際には花はあります。
いつも食べている粒状の部分がいちじくの花です。初夏頃に、葉の付け根にビワの実に似た形状の花托(かたく)が付いて、徐々に膨らんでいきます。その中に無数の花を付け、柔らかくなり熟したら食べ頃なので収穫です。
いちじくの品種は大きく分けて3種類
いちじくには100種類以上の品種がありますが、大きく分けると3種類に分類できます。
桝井ドーフィン | 国内で流通しているいちじくの8割がこの品種です。果皮が茶色く固いことから、輸送に適しており流通しています。広島県の種苗業者、桝井光次郎氏が輸入したことが名称の由来です |
白いちじく | 果皮が黄緑色になります。酸味がほとんどなく、濃厚な甘味が特徴です |
黒いちじく | 果皮が濃紫色で甘味が強く、小さめないちじくです |
茶色・黄緑・黒とさまざまな色がありますが、品種が違うだけでどれもいちじくです。
おいしいいちじくの選び方
果肉が柔らかいことから、いちじくは傷みやすく鮮度が落ちやすい特徴があります。新鮮でおいしいいちじくを選ぶ際のポイントは下記の通りです。
下ぶくれで丸みがある | 下の方が丸く熟した形のいちじくは、おいしい可能性が高いです |
均一に色づいている | 実がまんべんなく熟している可能性が高いです |
底にわずかな裂け目がある | 完熟すると底に裂け目ができますので、中にある花が少し見え始めると食べ頃です |
皮に張りがある | 皮にしわがなく張りがあるいちじくは鮮度が高いです |
このような点に注意して、おいしいいちじくを選びましょう。
いちじくの成分と栄養素
いちじくにはビタミン類などの栄養が豊富に含まれていることで知られています。どのような成分や栄養素が含まれているのか、見ていきましょう。
いちじくとドライいちじくの成分
いちじくの成分は、生のいちじくとドライいちじくとで異なります。100g当たりの成分は下記の通りです。
エネルギー (kcal) |
水分 (g) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
灰分 (g) |
|
いちじく(生) | 57 | 84.6 | 0.6 | 0.1 | 14.3 | 0.4 |
ドライいちじく | 272 | 18.0 | 3.0 | 1.1 | 75.3 | 2.5 |
ドライいちじくは水分が少ない分、他の成分が凝縮されています。
いちじくの主な栄養素
いちじくは、「不老長寿の果物」と言われることがあるほど、豊富な栄養素が含まれています。
とくに豊富なのが食物繊維のペクチンやカリウム、鉄分。カルシウム・ポリフェノール・カロテン・ビタミン群なども含まれています。
同じ分量で比べるなら、ドライいちじくの方が栄養素は豊富です。ただしビタミンCは生のいちじくには含まれていますが、ドライいちじくには含まれていません。
いちじくに期待できる効果効能
いちじくにはたくさんの栄養素が含まれていますので、さまざまな効果を期待できます。どのような効果を期待できるのか、具体的に見ていきましょう。
生活習慣病の予防
生活習慣病は、食習慣との関連が明らかになっていて、食生活の見直しで、生活習慣病の予防につながります。
食物繊維・ペクチンは、コレステロールや中性脂肪の増加を防ぐ効果や、血糖値の上昇を抑える効果が期待できる成分です。またカリウムは、塩分の摂り過ぎを調節してくれます。
ペクチンもカリウムもいちじくに豊富に含まれている栄養素です。そのためいちじくは、生活習慣病の予防効果が期待できます。
女性特有の症状を緩和
いちじくにはエストロゲンが豊富に含まれています。
エストロゲンは女性ホルモンと似た働きをする成分です。エストロゲンは女性ホルモンが減少することによる症状を和らげられますので、PMSや更年期障害、乳ガンの予防などさまざまな効果が期待できます。
そのため女性特有の悩みが増えている人に、いちじくはおすすめの果物です。
消化吸収を助ける
いちじくには食物繊維が多く含まれていますので、便通改善効果が期待できます。さらに、いちじくはたんぱく質分解酵素「フィシン」も含まれていることから、消化・吸収の促進効果も期待できる果物です。
食べたものの消化・吸収促進が期待できますので、いちじくを食後のデザートとして取り入れてみてください。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症とは、骨の代謝バランスが崩れてしまい、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続いて骨がもろくなった状態のことです。骨粗鬆症を予防するには、骨を形成するカルシウムやマグネシウムの摂取は欠かせません。
いちじくにはカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれています。少しでも骨の形成を助けて骨粗鬆症を防ぐためにも、日々の食事にいちじくを取り入れましょう。
栄養たっぷりないちじくを食べてみよう
いちじくには栄養素が豊富に含まれていますので、積極的に取り入れましょう。いちじくを食べる際のポイントや、おすすめの食べ方を紹介します。
いちじくを調理する際のポイント
いちじくは傷みやすいので、つぶさないよう注意しながら扱いましょう。調理は皮をむいてから行いますので、皮のむき方を簡単に紹介します。
- ヘタを折る
- ヘタをゆっくりと引っ張りながら皮を引っ張ってむく
- 残った皮は包丁で取り除く
- カットする場合はくし切りにする
皮がまだ青く固さが残るいちじくは手ではむけませんので、ヘタから下に向かって皮をむいていきましょう。
栄養をしっかり摂るための食べ方
いちじくに含まれる栄養をしっかり体に取り入れるには、食べ合わせも大切です。ヨーグルトと組み合わせると、いちじくに期待できる消化・吸収効果をより促進してくれます。
また、ビタミンCを豊富に含む、みかんやマンゴーのドライフルーツなどと組み合わせるのもおすすめです。いちじくに含まれるポリフェノールと、みかんやマンゴーに含まれていて抗酸化作用があるビタミンCとの相乗効果で、女性に嬉しい効果を期待できます。
いちじくの食べ合わせを工夫しながら、日々の食事に取り入れていきましょう。
いちじくには健康に嬉しい効能がたくさん! おいしさを存分に楽しもう
いちじくは漢字で書くと「無花果」。花を咲かせずに実を付ける果物と思われているかもしれませんが、実際には花の部分を食べています。
いちじくは100種類の品種がありますが、日本国内で栽培されているのは主に3種類ですが、ほとんどが「桝井ドーフィン」です。
いちじくには植物性エストロゲンやビタミン群など豊富な栄養素が含まれています。ホルモンバランスを調整するのに役立つ成分が含まれていることでも知られている果物です。
いちじくはおいしくて栄養豊富ですので、デザートやサラダなどに取り入れて、適量を摂取していきましょう。
【参考】
北陸農政局「今月の園芸特産作物:9月 いちじく」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/いちじく/生」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/いちじく/乾」
厚生労働省「e-ヘルスネット 食物繊維」
厚生労働省「e-ヘルスネット カリウム」
厚生労働省「e-ヘルスネット 生活習慣病とは? 」
厚生労働省「e-ヘルスネット 骨粗鬆症」