早いもので、気付けば今年も残すところあと3ヶ月強。東京オリンピック・パラリンピックをはじめ、実にいろいろなことがあったが、2021年は「微アルコール元年」としても歴史的な年となりそうだ。
6月末、アサヒビールがアルコール度数0.5%の微アルコール飲料「ビアリー」を全国発売。一時は入手困難になったほどの人気ぶりで、早くも「微アル」というジャンルを確立しようとしている。
各社もこれを追う形で微アル商品の開発を進めているが、今月ついにアサヒ以外からも微アルコール飲料が届いた。サッポロビールの「サッポロ ザ・ドラフティ」である。今回は、ザ・ドラフティとビアリーを飲み比べ、味やその成分を比較。合わせて、今後の情報についても整理してみた。
サッポロビール「ザ・ドラフティ」と「ビアリー」を飲み比べ!
新発売の「ザ・ドラフティ」も、パッケージに「微アルコール」と堂々表記している。
アルコール度数は0.7%とやや高めに設定し、差別化を計っている。気になる味はというと……
これが実にスッキリとしていて飲みやすく、癖のようなものもない。喉越しがよく、夏にグビグビと飲みたくなるような味わいである。ビールと比べれば当然、物足りなさも感じるが、ノンアルコールビールと比較すれば、断然こちらのほうがビールっぽさを備えている。
では、ビアリーのほうも改めて飲んでみよう。
スッキリめのザ・ドラフティに対し、ビアリーは麦の味わいを濃厚に感じる。舌には苦味が残り、その余韻がビールっぽさを演出しているようだ。ザ・ドラフティがゴクゴク飲みたくなる味わいなら、こちらはもう少しゆっくりと味を楽しみたいタイプだ。
ただし、舌に残る甘みについては好みが分かれそうである。キレのあるザ・ドラフティのほうが好きだ、という人もきっと多いはずだ。ちなみに、0.2%のアルコール量の差については、正直あまり味として実感できなかった。
ザ・ドラフティとビアリー、どちらがビールっぽいかといえば後者だろう。ただし、それには理由もあるのかもしれない。
というのも、カロリーや糖質を比較してみると、ザ・ドラフティは100mlあたりのエネルギーが12キロカロリー、糖質が1.2〜2.2グラムなのに対し、ビアリーは33キロカロリーで、糖質は7.4グラムと、どちらもかなり高め。カロリーは2倍以上、糖質は少なくみても3倍以上もビアリーのほうが高い。
やはり、このあたりが味の濃さを左右していると考えられそうである。ダイエット中の人や、そこそこの量を常飲したいと考えている人にとっては、ザ・ドラフティのほうが向いているかもしれない。
ちなみに、通称“白ビアリー”と呼ばれる「ビアリー 香るクラフト」のほうも、“黒ビアリー”と同量のカロリーや糖質が含まれている。味についてもおさらいしておくと、黒ビアリーに比べてフルーティで、とても華やかな香りが特徴的。ヴァイツェンタイプのビールが好きな人なら、きっと美味しく飲めるだろう。
微アルコールのハイボール飲料「ハイボリー」も登場!
サントリーの参戦で活気づき始めた「微アル」市場だが、その開拓者であるアサヒが早くも次なる矢を放つ。それが9月28日に全国発売される予定の「ハイボリー」だ。
「ハイボリー」はアルコール度数0.5%と3%の2種類がラインナップ。いずれも少ないアルコール度数でありながら、本格的なウイスキーの香りや味わいが楽しめるという。ベースとなるウイスキーは、ニッカウヰスキー社のブレンダーが厳選したモルト原酒とグレーン原酒を使用。さらに、スコットランド産のヘビーピート原酒を使用したことで、フレーバーにさらなる深みや重厚さを加えたと説明している。
すでに前評判も高く、ハイボリーもビアリー同様、それなりの人気を獲得することは間違いない。むしろ、「ビールよりハイボール派です」といった層を取り込むことで、さらに微アルコール市場が賑わうことは確実である。
日本だけでなく、世界的にも若年層のアルコール離れは進んでいる。アルコールが苦手という人も多いが、中には、味は好きだが健康や仕事のパフォーマンスを考えてアルコールの接種を控えるという人も随分増えているという。微アルコール飲料は、そういった人々の受け皿にもなりうるに違いない。
ちなみに、月末には黒ビアリーの500ミリリットル缶の発売も控えており、来年には各メーカーが続々とこの流れに続くと思われる。ますます盛り上がる微アルコール飲料、未体験の人はぜひザ・ドラフティかビアリーを試してみてはいかが?