ときどき、うどんが恋しくなる。出汁の香り、麺の歯ごたえを想像したら最後、もう空腹が耐えられない。特に秋風が吹き始めたこの時期、食欲は右肩上がりである。
そして、うどん好きには朗報だ。丸亀製麺に続き、なか卯でも9月16日から『うどん弁当』を始めたらしい。ということで早速、丸亀製麺となか卯のうどん弁当を食べ比べてみることにした。
なか卯のうどん弁当
なか卯では、お持ち帰り限定の「なか卯のうどん弁当」全3種の販売を今秋からスタートしている。いずれも京風うどんが特徴だ。
「特製かき揚げうどん弁当」(490円)には、店内で丁寧に調理された特製のかき揚げ、鶏天、おかずの定番である玉子焼き、きんぴらが入っている。また「鶏三昧うどん弁当」(590円)では、からあげ、鶏天、竜田あげの3種類が楽しめる。このほか、ファミリー層に向けた「お子様うどん弁当」(390円)には、からあげ、玉子焼き、ゼリー、アップルジュースが付いてくる。
今回は「特製かき揚げうどん弁当」をテイクアウトすることにした。店内の券売機で購入して待つこと3分、すぐに持ち帰れる手軽さが嬉しい。帰宅して中身を確認すると、容器に所狭しと詰め込まれたうどん弁当が顔を出した。
なかでも、かき揚げの大きさに驚いた。箸でつまむと重量感がある。まずはかき揚げ、鶏天を皿に移し、うどんにはつゆをかけよう。出汁がきいた、関西風の特製かけつゆだそうだ。
いざ、実食。特製かけつゆの香りが食欲を誘う。うどんをつまんでひと口。麺はツルツルで、固さも程よい。つゆは関西風ということで、あっさり味かと思いきや、それなりにしっかりした味付け。麺をすすると、鼻のあたりに出汁の香りが漂った。旨い。これは旨い。
ここで、メインのかき揚げにも取り掛かる。パリパリとした食感、これを待っていた。非常に食べ応えがある。麺との相性も良い。半分ほど食べたかき揚げを、今度は特製つゆに浸して食べてみる。しんなりするかと思いきや、歯ごたえの良さは変わらず。食べやすい。
これに対して鶏天は、やや鶏特有のパサつきがあった。しかし特製つゆに浸して食べればちょうど良い。忘れた頃に、きんぴらが口に入る。ごぼうと人参のシャキシャキとした食感。使っているごま油が良いのだろうか、きんぴらのアクセントがうどんにもマッチしている。玉子焼きでひと呼吸して、一気に食べ切った。全体を通して満足度が高い。
丸亀製麺のうどん弁当
さて翌日。仕事で外出した先には丸亀製麺があった。うどん弁当をいち早く販売してブームをつくった同店だ。この機会に、同じ価格帯の「3種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」(490円)を食べてみることにした。
「3種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当」は、えび天、野菜バラ天、ちくわ磯辺天がメインで、きんぴらごぼう、玉子焼きも入っている。蓋をあけて「おや」と思った。彩りが良い。
なるほど、揚げ物ばかりでは茶色一辺倒になってしまうところ、丸亀製麺では意識して青のりをまぶしたちくわ磯辺天、それに多めのネギを入れていることに気が付く。うどんの量は、なか卯と変わらないだろうか。しかし、つゆは多め。たっぷり、容器の半分が浸るくらい入っている。
ひと口、麺をすすると驚いた。丸亀製麺のうどんは、弾力が段違いだ。ここまでモチモチしていたかと感心する。これ、老人には噛み切れるだろうか、と要らぬ心配をしてしまう。だがこのコシの強さが癖になる。つゆは、ベースの醤油味が前面に出ている印象。
主役のえび天は、カラっと揚がっている。海老の身もしっかりと詰まっている様子。また、ちくわ磯辺天は餅のような歯ごたえ。青のりの香ばしさも相まって、こちらも食べでがある。
野菜バラ天は、かき揚げと思って良いだろう。なか卯のかき揚げほどは大きくなく、ふた口ほどで食べられた。温かいうどんならハフハフ言いながら食べるところ、冷製うどんなので、一気呵成に流し込むといった風情になる。ネギ、きんぴらごぼうをつゆに絡めて飲み込んだ。完食。旨かった、と余韻に浸るひととき。すべて食べ終えた名残り惜しさから、残ったつゆを少しだけすすってみた。胃も心も「満足」と言っている。
今回は、なか卯と丸亀製麺の『うどん弁当』を食べ比べてみた。どちらも家庭で、あるいは職場で、はたまた行楽のお供として、どこでもうどんを楽しめるのが素晴らしい。麺のコシ、つゆの味付けは両店舗で異なっており、食べ比べてみて初めて気付くことも多かった。
ランチでうどん弁当を食べた日は、夕方、シャワーしながら、そして夜、寝る前にも、ふとした瞬間に「あれ旨かったなぁ」なんて思い出してニヤけてしまう。つるっとした喉越し、つゆの香ばしさが、もう頭から離れなくなる。あぁ、また食べたい――。うどんって、中毒性があるのかもしれない。