歴史ある寺社仏閣や観光スポット、最新のレストランやカフェなど、常に訪れる場所が尽きない街、京都。定番の見どころから隠れた名所まで、人の数だけそれぞれの楽しみ方があるだろう。
2021年の夏、「新しい京都の旅」と出会えるホテル「HIYORIチャプター京都 トリビュートポートフォリオホテル」(以下、HIYORIチャプター京都)が開業した。一体、どんな京都に出会うことができるのか、宿泊レポートをお届けする。
新しい京都を教えてくれる、旅の記録を綴った「一筆箋」
「HIYORIチャプター京都 トリビュートポートフォリオホテル」は、市営地下鉄東西線の京都市役所駅から徒歩で約4分。京都のメインストリートのひとつ、河原町通に面しており、三条や寺町通り、錦市場といった繁華街にも徒歩で行ける、観光にもビジネスにも便利な立地にある。
世界中で6500軒以上のホテルを展開するマリオット・インターナショナルのブランド「トリビュートポートフォリオ」としては、北海道・キロロに次ぐ2軒目となる「HIYORIチャプター京都」。「ようこそ、京都という物語へ。」というコンセプトを掲げる同ホテルの魅力は、宿泊するだけにとどまらない。
「このホテルを訪れたお客様一人ひとりが旅をデザインして、まだ『知らない京都』に出会う『新しい旅の形』をお手伝いしたい」という想いはホテル名にも込められている。ホテル名に冠した「チャプター」は本の"第○章"の意味で、「ゲストが京都滞在中に人生の新たな章をしたためてほしい」という意図があるという。
「HIYORIチャプター京都」のエントランスに入ると、大きな机と工房が見える。ここが”「新しい京都の旅」と出会える”同ホテルを象徴する場所、「CHAPTER FACTORY(チャプターファクトリー)」だ。
「CHAPTER FACTORY」の壁にはずらりと一筆箋が並んでいる。この一枚一枚に、地元・京都を知り尽くしたコンシェルジュや、京都が好きな人々が体験した「旅の記録」が綴られている。
この「旅の記録」、いずれもガイドブックには載っていない隠れた名店や、有名な場所での独自の楽しみ方など、京都を知る人目線の情報ばかり。50枚以上ある一筆箋は自由に読むことができ、気になったものは持ち帰ることも可能だ。
また、あれこれ行きたい場所ややりたいことはあるけれど、どう回るのがよいだろう……そんな悩みがあるならば、京都をよく知るコンシェルジュ「CHAPTER GUIDE(チャプターガイド)」に相談してみよう。広い京都市内をスムーズに移動するための回り方や、おすすめの過ごし方を提案してくれる。
今回、この一筆箋のなかでも「HIYORIチャプター京都」から徒歩で行ける「京都御所」、そして寺町通り商店街にある老舗の喫茶店「スマート珈琲」が気になったので相談してみると……。
ホテルを起点に「京都御所」と「スマート珈琲」をぐるりと巡るルート、そして「途中で本能寺にも立ち寄れますし、夏らしいお菓子を作る和菓子屋さんもありますよ」といった情報も教えてもらった。スマホで調べるのも便利だけれど、その土地をよく知る方に相談できるのは心強いもの。また、一筆箋を書いた人が、同じ場所でどう感じて何を思ったのか、追体験をするような楽しさもある。
さまざまな京都の楽しみ方が集まる「CHAPTER FACTORY」だが、自分が体験した「旅の記録」をオリジナルの一筆箋として書き、残していくこともできる。自分が書いた「旅の記録」から、誰かが新しい京都を知るきっかけになるかもしれないと思うとちょっとワクワクする。
なお同ホテルの公式サイトにあるコンテンツ「旅診断」では、自分の好みに合った「CHAPTER FACTORY」の一筆箋が自宅に届く宿泊プランの予約も受け付けている。なお、このプランは公式サイトからの予約限定とのこと。旅の計画をする楽しみが増えそうだ。
世界で展開するホテル「トリビュートポートフォリオ」は、各地域ごとにユニークな特色を持つ。「HIYORIチャプター京都」におけるユニークさは何なのか、同ホテル総支配人の古矢諭氏に伺うと、迷わず「CHAPTER FACTORY」を挙げられた。
「CHAPTER FACTORYの一筆箋は、ある京都が好きな人たちの経験を書いてもらったものです。『ここに行ってください』ではなく、お客様が選んだものに対して『こんな場所もありますよ』とお手伝いするスタンスです。経験を共有して、お客様のチョイスの一つに生かしてもらえれば」と語る。
また、コロナ禍の影響を受け観光客の客足が遠のく状況だが、地域を盛り上げたいという想いも強いという。「地域の方々があってこそ、この場所でホテルを運営させていただけるという考えが根底にあります。一筆箋を作ったり、地域の方々とどのようなことができるのか、盛り上げることも大事だと考えています」と古矢氏。
なお、古矢氏にも夏の京都のお気に入りの場所を聞いてみたところ、京都の奥座敷とも言われる貴船だそう。川床や流しそうめんなど、夏の暑さを忘れる涼しい体験もできそうだ。
「茶室」がテーマの機能美を備える客室
「HIYORIチャプター京都」の客室は、2室のスイートを含む全203室。伝統的な日本の茶室の要素を取り入れた、和を感じる心地よいデザインだ。
白とブラウンでまとめられた室内は、広いソファと琉球畳でゆったりと過ごせる。ベッドはシモンズ製で、旅や仕事で疲れた体を癒やしてくれるだろう。
また、ソファ横にある机はほど良い高さで、ちょっとしたパソコン作業や仕事もしやすい環境だ。
また京都といえば有名なお茶どころでもある。部屋では日本茶の老舗「一保堂茶舗」の緑茶とほうじ茶のティーバッグ、そしてデカフェのコーヒーを楽しむこともできる。
落ち着いた居心地だが、機能面も充実している。テレビは55インチの大画面で、HDMIケーブルの差込口も付いているため、好きな映像や旅先で撮った動画を見ることもできる。またベッドサイドにはコンセントだけでなくUSB-Aの差込口もあり、スマホの充電がしやすのもうれしいポイントだ。
風呂は1階に大浴場「HIYORI NO YU」も設けられているが、部屋のタイプによって、シャワーとユニットバスが用意されている。アメニティも必要なものが一通りそろっており、どれもシンプルで使いやすいものばかり。
サラッとした手触りが気持ちよいルームウェアは、上下に分かれたタイプ。大浴場やフィットネスに行く際に、必要なものを持ち運べるメッシュバックも用意されている。いずれもグレージュ系で統一された、落ち着いた色とデザインだ。
過ごし方はそれぞれ、大浴場やフィットネスも
「HIYORIチャプター京都」には大浴場「HIYORI NO YU」や24時間利用可能なフィットネスも揃う。
「HIYORI NO YU」は、御影石風呂と石庭に囲まれた半露天風呂を備える大浴場。広々とした浴場は、外の喧騒と隔絶されたような落ち着いた雰囲気だ。夜は17時から24時まで、朝は6時から9時まで開いているので、夜は旅の疲れを癒やし、翌朝は清々しい気分で朝風呂も楽しめそうだ。
また、タオル類のアメニティがすべて浴場に備えられており、部屋から気軽に行けることもうれしい。女性用浴室と脱衣所、パウダールームには日本生まれのナチュラルスキンケアブランド「OSAJI(オサジ)」のシャンプー、コンディショナー、フェイスジェルなどが備え付けられている。
1階にはフィットネスルームも完備されており、宿泊者は24時間無料で利用できる。最新のトレーニングマシンが揃っており、トレーニングをルーティンワークにしている方や、リフレッシュをしたい時にも丁度良さそうだ。なお、現在は新型コロナウイルス感染対策のため、事前にフロントで予約する必要があるとのこと。
朝食は京都らしいおばんざいを
朝食は、1階に併設されるダイニング「松也 -MATSUNARI-」で宿泊者限定のモーニングプレート(2,200円)を楽しむこともできる。
京都の産地にこだわった食材も使われており、この日は三度豆(いんげん豆)を使った「アスパラと三度豆 イカスミ黒胡麻和え」や、「グリルドズッキーニ 九条葱を添えて」「松也オリジナルピクルス 水なすとトマト」といった京野菜を使ったおばんざいも。
京都に来たからには、京都らしい食事をしたい、という思いもあるだろう。朝から様々なおばんざいが少しずつ楽しめる朝食は嬉しい。
なお「松也 -MATSUNARI-」はダイニングとしてだけでなく、昼はパティスリー&カフェとして、夜はバーとしても営業している。夜寝る前に、落ち着いた雰囲気のバーで明日の予定を考えるのも楽しそうだ。
ホテルは宿泊するところ、そんな考え方ではもったいない「HIYORIチャプター京都 トリビュートポートフォリオホテル」。ホテルに来てから「CHAPTER FACTORY」で考えるもよし、事前に一筆箋を自宅に送ってもらうプランでしっかり予定を立てるもよし、どこに行こうか「大人の修学旅行」のような気分になれる楽しみ方もできそうだ。
次に京都へ訪れる際は、「新しい京都」を探してみてはいかがだろうか。
■HIYORIチャプター京都 トリビュートポートフォリオホテル
住所:京都市中京区河原町通二条上る清水町341番地
電話:075-221-3220(代表)
チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00