――本作に登場するバルカンの新形態「ローンウルフ」の姿をご覧になったときのご感想はどうでしょう。

とてもカッコいいと思いました。ちょっとワルっぽいイメージを感じさせて、明かな正義ではない外見がすごくよかったですね。もともとの仮面ライダーのイメージが、悪として生まれながら正義のために戦うヒーローでしたので、ローンウルフに変身できたことはたまらなく嬉しいです。

――ローンウルフの変身ポーズはどのようにして決まったのでしょう。

変身ポーズには、僕のこだわりをかなり入れ込んでもらえました。これまではショットライザーを使って変身していたので、右手が使えなかったのが、今回はゼロワンドライバーを使っているため、両手を使った動きが表現できたんです。もともとバルカンの変身は、ショットライザーで撃った弾丸がこっちに返ってきて、それを左手でパンチするのが基本だったでしょう。パンチングコングでは裏拳、ラインペイジバルカンでは後ろ回し蹴り、オルトロスバルカンはアッパーだったりして、これまでにもいろいろ変えてきて、正直、ネタを出し尽くしたかなと(笑)。

今回、どうしようかと考えて、仮面ライダー1号/本郷猛が「ライダー変身、とうっ!」とポーズ&ジャンプしていたのを思い出しました。CGエフェクトで周辺に巨大なオオカミが飛んでくるとは聞いていたので、これは立っているだけじゃパンチできないので、最後はジャンプするしかないなと思ったんです。仮面ライダー1号の変身を取り込んで、バルカンの基本形に回帰しながらも、まったく印象の異なる変身を見せよう、というのが狙いです。

――今回、テレビの渡辺淳さんから宮崎剛さんにアクション監督が交代したことで、何か不破の動きに変化が出たりしましたか。

やはりアクション監督によって、演出の方法は違ってくると思いますが、ゼロワン世界におけるバルカンの動きに、何か変化があったわけではないです。宮崎さんとはテレビシリーズをやっている間、一度ご一緒したことがあり、そのときバルカンのことをすごく気に入っていただいたんです。ローンウルフへの変身について「ジャンプしたいのでトランポリンを踏ませてほしい」とお願いしたら、最初は「何言ってんだお前」と驚かれました(笑)。今から急にやってできるかどうか、難しいんじゃないかと周りで相談していたんですが、とりあえず練習してみようということになり、アクション部のみなさんからジャンプの仕方とか、どうやれば高さが出るとか、カメラで撮ってもらったりして練習を重ねていきました。なにしろ、トランポリンを本格的にやったことが今までなかったですから、すごく不安がられたと思います。それでもやってみようと判断してくださった宮崎さんにはすごく感謝しています。

――『仮面ライダーゼロワン』が2019年に始まってからそろそろ2年が経とうとしています。これまでで、特に忘れられない出来事を挙げるとすれば、どんなことでしょうか。

たくさんありますよ。『ゼロワン』で体験してきたことは、ほぼ忘れられない出来事です。そんな中で、あえてひとつ挙げると「ショットライザーを橋の上から落としてしまったこと」ですね(笑)。大事な変身アイテムであるショットライザーに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいです!