俳優の岡田准一が主演を務める映画『燃えよ剣』(10月15日公開)。同作の監督・脚本を務めた原田眞人氏が、「原田映画史上最高のバラエティに富んでいる」と語るキャスティングについての背景を明かした。

  • 『燃えよ剣』

同作では、要となる「新選組」の隊士に、豪華キャスト陣が集結。土方歳三役の岡田をはじめ、鈴木亮平(近藤勇)、山田涼介(沖田総司)、伊藤英明(芹沢鴨)ら錚々たる顔ぶれがそろい、さらに、NHK連続テレビ小説『スカーレット』出演で一躍ブレイクを果たした松下洸平(斎藤一)、お笑いコンビ・はんにゃの金田哲(藤堂平助)、ウーマンラッシュアワーの村本大輔(山崎烝)らも出演する。

「『燃えよ剣』を通して幕末を描くことが長年の望みだった」と原田監督。同作のきっかけは、岡田と初タッグを組んだ『関ヶ原』の撮影中からすでに生まれていたそうで、「次何やろう、土方だよね、という話になっていた」と、当時の岡田との思い出を振り返る。「岡田さんにとって土方歳三を演じることはライフワークでもあって、何年もかけて土方を演じるための準備をしてきました。岡田さんが土方を演じるいい年齢だったこと、僕のキャリア的にもいい時であったこと、タイミングが良かったというのはあります」と明かす。

  • 近藤勇役・鈴木亮平

続く近藤勇役について原田監督は、「見た目が似ている人という点で最初にイメージしたのが鈴木亮平でした」「近藤の顔、雰囲気、体型……と重なった。『西郷どん』は関係ないです(笑)」と説明。撮影が始まってからも、鈴木とは演出に関して解釈の相違は一つもなかったと言い、「亮平の演じる近藤は、そこに居るだけで存在感があって本人も大らかに君臨している。細かい指導をする必要はまったくなかった」と、確かな手ごたえを感じたようだ。

  • 左から沖田総司役・山田涼介、土方歳三役・岡田准一

また、「新選組」の隊士の中でも一際人気の高い沖田総司役に山田を起用した経緯について、原田監督は「『グラス・ホッパー』を観たときに、いい役者だなぁと思っていて。ほかにも何作か観ましたが、どんな作品でもどんな役でも一生懸命にやる、それが素晴らしい。当時、僕のなかで沖田総司として一番観てみたいと思えたのが山田涼介でした」と回顧。山田演じる沖田が魅せる、キレのある殺陣にも感動したようで、「涼介の沖田総司を主役にしたスピンオフ作品を2度3度でも作りたいと思うほど、彼の沖田はそれほど魅力的。吐く息も沖田総司でしたから」と称賛を惜しまない。

  • 芹沢鴨役・伊藤英明

一方、そんな沖田を弟のようにかわいがるも、土方や近藤らとは敵対することになる初代筆頭局長・芹沢鴨を演じた伊藤英明については、「意外性のある大物俳優を使いたいという理由からのキャスティングでした」と原田監督。同作では、“酒を飲んだら手がつけられない”という粗暴な一面だけでなく、剣の達人であり学もあった芹沢の魅力がしっかりと描かれており、「この映画での芹沢鴨は、剣豪としての部分、知的な部分、その両方を表現したかった。伊藤さんは、自分でいろんなことを調べて準備して、これまでずっと無視されてきた芹沢鴨の知性の部分をうまく足してくれました」と話した。

  • 斎藤一役・松下洸平

続く、新選組の副長助勤・斎藤一役には、『スカーレット』への出演で大きな注目を浴びた松下。「斎藤一のキャスティングで重要だったのは、左利きの俳優であること。左利きを強調したかったので、左利きの役者をリストアップして、さらに新鮮な役者という視点で松下洸平に託しました。端正な顔立ちであることも決め手のひとつです」と明かす。

  • 藤堂平助役・金田哲

さらに、実力派俳優ぞろいの同作で、異彩を放つのがお笑いコンビ・はんにゃの金田、ウーマンラッシュアワーの村本の二人だ。「バラエティーショーか何かで金田哲が剣道の有段者(三段)であることは知っていました。殺陣もできていい顔もしている」という原田監督の言葉通り、新選組八番隊組長・藤堂平助役を演じた金田は、剣道の経験を活かし激しい殺陣アクションにも挑戦している。

  • 山崎烝役・村本大輔

一方、“観察役”として情報収集に暗躍した新選組藩士・山崎烝役を演じた村本については、「この作品におけるワイルドカード」であると明かし、「あのマシンガントークと目が据わっている感じは、ほかの芸人とは違うものがあります。今回の『燃えよ剣』は時代劇ではあるけれど、喋り倒す役をやったらいいじゃないかと、山崎烝をオファーしました」と、村本の芸風を活かしたキャスティングの背景を語った。

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