「芳しくない(かんばしくない)」という言葉は、日常生活はもちろんビジネスシーンでもよく使われる表現の一つです。
この記事では、「芳しくない」の意味や使い方・例文、類語・言い換え表現について解説します。また、ビジネスシーンで役立つ英語表現についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「芳しくない」の意味とは?
芳しくないという言葉は、「調子が良くない」「進捗が遅い」といった意味があります。「立派なものと認められるさま」という意味を持つ「芳しい」に打ち消しの「ない」をつけた表現です。
悪い状況を直接表現しているのではなく、物事や状況が期待していたよりもうまくいっていないことを表しています。思ったとおりにならないというニュアンスを表現したいときに使います。
読み方は「かんばしくない」
「芳しくない」を「よろしくない」と読んでしまう人も少なくありませんが、これは間違いです。正しくは「かんばしくない」と読むので、誤用に注意しましょう。
「芳しくない」の使い方
芳しくないは物事だけではなく、体調や天気などを説明するときにも使えます。
体調を表すとき
芳しくないは体調や病状などを説明するときにも使われます。「体調が思わしくない」「病状が思わしくない」とも表現できます。
遠まわしな表現になりますが、上司など目上の人にも使える言葉です。体調などを伝える際に、ストレートに「良くないです」と表現するよりも芳しくないというと大きな心配もかけずに状態を伝えられます。
天気や人間関係を表すとき
ほかにも、天気や人間関係にも使えます。完全に悪化している状況ではなく、「雲行きが怪しい」といった良い悪いどちらでもない状況を表すことができます。
「芳しくない」の例文
あまり良い状態ではないことを表す芳しくないの使い方と例文をご紹介します。
ここで言う天気が雨なのか晴れなのか、どちらかははっきりとわかりません。ただ、「傘を持っていこう」とあることから、暗い曇り空で今にも雨が降り出しそうな状況をイメージできるでしょう。
体調に対して芳しくないを使うときは、「体調が良くない」状態であることを表しています。「体調が良くない」とも言えますが、芳しくないのほうがやわらい雰囲気で伝わります。敬語とは異なりますが、目上の人にも伝えやすい表現なので覚えておくとよいでしょう。
「芳しくない」のビジネスシーンでの使い方・例文
ビジネスシーンにおける芳しくないの使い方と例文をご紹介します。
ビジネスシーンにおいて、仕事の進捗状況や業績について説明する場合に使用可能です。上記の例文なら、「プロジェクトの進行がうまくいっていない」ということを意味しています。
社内の会議、社外での商談など、打ち合わせの機会は多いものですが、体調不良による日程変更依頼において、自身の体調を伝える場合に使用できます。
「芳しくない」の類語・言い換え表現
芳しくないという表現は似たようなニュアンスを持つ言葉があります。いくつかご紹介しましょう。
好ましくない
「好ましくない(このましくない)」は「好ましい」を否定する言葉です。「好もしくない(このもしくない)」とも書きます。「好ましい」の意味に「そうあってほしい」「そうあるべきである」といった期待のニュアンスが含まれます。「好ましくない」はこの期待を打ち消しています。
「彼」のイメージとは異なる態度をとられたことから、期待を裏切られたような気持ちを「好ましくない」と表現しています。どちらかといえばあまり良い状態ではなかったというときに使うことが可能です。
思わしくない
「思わしくない」は「好ましく思われる」という意味を持つ「思わしい」に打ち消しの「ない」をつけた言葉です。好ましくない状況を指すときに使えます。
上記のように体調がよくないことを表す際にもよく使われます。
望ましくない
「望ましくない」は「そうあってほしい」「願わしい」という意味を持つ「望ましい」に打ち消す形の「ない」をつけた言葉です。
話し手の主観が入っており、芳しくないと同様の使い方が可能です。「良い結果ではなく、そうなってほしくない悪い結果になってしまったとき」や「喜ぶような様子ではない」ときを表しています。
予後が良くない
「予後が良くない」は「手術や治療後の病状についての医学的な見通し」をさす「予後」があまり良くないことを表現する言葉です。「病気が治る見込みが薄いさま」を表しています。
祖父の予後が良くないので覚悟をしておいたほうがよい
「予後」を医療関係者が使用するときは、余命の意味に限定して使用することもありますが、医者や疾患によっても異なります。芳しくないと似た言葉ではありますが、「予後」という言葉は医学用語にあたるため、ビジネスシーンで使用することは少ないでしょう。
はかばかしくない
「はかばかしくない」という言葉は、漢字で「捗々しくない」と書きます。「物事が望ましい方向へ進むさま」を表す「はかばかしい」を打ち消した言葉で、「良い方向に向かっていない」「期待どおりではない」という意味で使われています。ビジネスシーンでは「進行状況が思わしくない」という意味で使われることが多いでしょう。
今回のアップデートの効果は、はかばかしくない
アップデートしたことで期待していた効果が得られなかったことを表しています。
「芳しくない」の対義語
「芳しくない」は「上手くいっていない」「調子が良くない」「進捗が悪い」という意味なので、「上手くいっている」「好調だ」「芳しい」などが「芳しくない」の対義語として考えられるでしょう。
「芳しくない」の英語表現
芳しくないと似たニュアンスを持つ英単語は「poor」です。ほかにも同じようなニュアンスを持つ英語表現があるのでご紹介しましょう。
poor
芳しくないと同じ意味を持つ「poor」は「貧しい」「不十分な」「悪くした」という意味もあります。芳しくないとして使用するときは以下のように使います。
・My daughter's grades at school are poor
娘の学校の成績は芳しくない
・Your company has a poor track record
あなたの会社は業績が芳しくない
not good
「not good」は「良くない」という意味があり、病後の回復見込みを表す「予後が良くない」として使用することが可能です。
祖父の予後が良くない
ビジネスシーンで役立つ例文は以下になります。
プロジェクトの進捗状況は芳しくありません
「芳しくない」を正しく使おう
芳しくないという言葉は「立派なものと認められるさま」を表す「芳しい」を打ち消した言葉です。「調子が良くない」「進捗が遅い」など、あまり良くない状態を表しています。この記事では芳しくないの意味や例文をご紹介しました。類語のニュアンスも理解したうえで、シーンに合わせて使いわけてみましょう。