「注意を払う(ちゅういをはらう)」はビジネスシーンでもよく使われる言葉です。しかし、実は意味や適切な使い方をわからないまま、何となく使ってはいる人も多いでしょう。
この記事では、「注意を払う」の意味や使い方を解説。また、熟語の使い方や類語・英語表現なども紹介します。
注意を払う(ちゅういをはらう)の意味とは
「注意を払う」という言葉には、「人や物ごとなどについて、動向や詳細を強く念頭に置いて意識すること」「念入りに調べること」などの意味があります。「興味を持つ」という意味で使われることもあれば、「警戒して気を張る」という意味で使われることもあるなど、幅広く使われる表現です。
「払う」はたくさんの意味を持つ言葉
「注意を払う」といういい回しで使われている「払う」には、下記のような意味があります。
・不要なものを取り除く
・脇へ追いやる
・勢いよく横に動かす
・人を立ち去らせる
・相手を恐れさせて威圧する
・金銭を支払う
・不要品を売る
・自分のものを取り去って引き払う
・目的のために大切なものを費やす
・心を傾ける
・何もない状態になってしまう
・討伐する(主に古文での使用)
「注意を払う」での用途以外にもたくさんの意味がある言葉である点を押さえておきましょう。
敬語表現
「注意を払う」は敬語表現ではありません。ビジネスなどで使用する場合、敬語表現に言い換えましょう。謙譲語として使う場合、下記のいい回しがよく使われます。
・注意を払ってまいります
・注意を払う所存でございます
とくに目上の人に謝罪する場合には、敬語表現として適切なのかに気を付けましょう。
「注意を払う」の熟語と例文
「注意を払う」は他の言葉と組み合わせてよく使われる表現です。そこで、「注意を払う」の具体的な使用例をみていきましょう。
「注意を払う」の例文
「注意を払う」は今後の自分の行動を決意表明する場合によく使われる表現です。下記の例文のように謝罪の言葉とともに用いられることも多いことを覚えておきましょう。
・精密な工程ですので、注意を払って作業開始いたします
・今後はこのような誤りがないよう、なおのこと注意を払います
・このたびは私のミスでご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今後は一層注意を払います
「万全の注意を払う」の例文
「万全」は「手落ちがなく完全であることやその様子」という意味です。「万全の注意を払う」という表現には「できる限り注意もれがないように気を配る」という意味があります。とくに注意したい時に使われる表現なので覚えておきましょう。
・万全の注意を払うことで、事故のリスクは最小限にまで抑えられる
・ここから先はミスが起こりやすいので万全の注意を払っていきましょう
・たくさんの人に影響を及ぼす点なので、万全の注意を払うことが求められる
「細心の注意を払う」の例文
「細心」は、「細かい点まで心を配ることやその様子」という意味がある言葉です。気持ちを傾けるとともに、細やかな気配りや注意なども求められる場合に、「細心の注意を払う」という表現が使われます。
・発掘作業では、発掘物を破損しないよう細心の注意を払いながら行わなければならない
・火気厳禁のエリアで作業する場合、細心の注意を払う必要がある
・サプライズがばれないように、細心の注意を払いながら進めていこう
「注意を払う」の類語表現
「注意を払う」には同じような意味を持つ類語表現がいくつかありますが、意味によって類語表現が異なります。ここでは、「注意を払う」の意味ごとの類語表現をみていきましょう。
注意をする・気を緩めないようにする意味としての類語表現
「注意を払う」には「気を緩めないように注意をする」という意味があり、類語は下記のような言葉です。
・慎重になる(注意深くて軽々しく行動しない)
・警戒する(危険に備えてあらかじめ用心する)
・注意する(気を配る)
・気を配る(多方面に注意する)
など
意識を向けて警戒する様子を表す場合には、上記のような表現で言い換えられます。
関心を持つ意味としての類語表現
「注意を払う」が「関心を持つ」「興味を持つ」などの意味で使われる場合、下記のような表現に言い換えられます。
・着目する(とくに注意してみる)
・関心を寄せる(物事に興味を覚えて知識を増やそうとする)
・視線を注ぐ(関心を持ってみる)
・食指を動かす(興味や関心を持って働きかける)
・興味がわく(物事に興味を持つ)
など
似たような意味を持つ言葉が多く、さまざまな表現に言い換え可能です。
動向に気を配り続ける意味としての類語表現
「注意を払う」が相手や物ごとに注目し続ける意味で使われる場合、下記のような類語があります。
・用心する(心を配る、警戒を怠らない)
・留意する(気を付ける、心にとどめる)
・警戒する(危険や災害に備えて用心する)
・心掛ける(気にとどめて忘れないようにする)
など
将来の危険や災害に備えて気を配り続ける意味として「注意を払う」を使う場合に、上記のような言葉で言い換えられます。
「注意を払う」の英語表現
仕事や日常会話で英語を使う機会があるなら、「注意を払う」の英語表現も覚えておくと便利です。ここでは、「注意を払う」の英語表現としてよく使ういい回しを紹介します。
pay attention
「attention」には「注意」「注目」などの意味があります。「pay attention」で、「注意を払う」の英語表現としてよく使われる表現です。
・You must pay more attention to what she says.(君は彼女のいうことにもっと注意を払わなければならない)
・He should pay more attention to his health.(彼はもっと健康に注意を払うべきだ)
use care
「care」には「心配」や「気がかり」などの意味があります。下記の例文のように「use care」で「注意を払う」の英語表現として使われることがあるので、覚えておきましょう。
・She uses extreme care when she drives.(彼女は運転する時には大変な注意を払う)
regard
「regard」は「注視する」「注意する」などの意味がある動詞です。「注意を払う」の英語表現として使われることがありますので、活用してください。
・They didn't regard our advice.(彼らは我々の助言に注意を払わなかった)
「注意を払う」は気持ちや注意をむけ続ける時に使う表現
「注意を払う」は人や物ごとの動向や細かい点などを強く意識することや、念入りに調べることを意味する言葉です。「万全の注意を払う」「細心の注意を払う」など決まったいい回しをすることも多いので、基本的な表現を覚えておきましょう。
また「注意を払ってまいります」など、敬語と組み合わせて使うことも多くあります。この記事の内容を参考に、正しい意味や使い方を理解しビジネスシーンで活用してみましょう。