投資を推奨するため個人投資家向けに2014年1月から始まったNISAですが、NISAについて知らない方も多いでしょう。本記事ではNISAについて解説したあと、NISAでの投資信託を購入するうえでのメリット、デメリットについてもご紹介します。

  •  NISAとは

    NISAのメリット・デメリットをご紹介します

NISAとは

NISAは個人投資家のための税制優遇制度です。投資信託をご紹介する前に、まずはNISAそのものについて解説します。

NISAについて

NISAとは、カタカナでニーサと記載されることも多いのですが、正式には「Nippon Individual Savings Account」の略で、日本語では個人貯蓄口座といいます。イギリスの個人貯蓄口座(ISA)をモデルにしたことから、日本版ISAということでNISAと呼ばれています。

通常は投資によって得られる利益や配当金には20%ほどの税金がかかりますが、NISA口座内で購入した金融商品から得られる利益や配当金には税金がかかりません。

NISAの種類について

NISAの種類は大きく分けて3種類あります。具体的には、「一般NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」です。

「ジュニアNISA」は0歳から19歳までの未成年者を対象にしたもので、親権者等が代理で資産運用を行います。子供や孫のための資産運用を考えているときに使うのがこの「ジュニアNISA」です。

「一般NISA」は、20歳以上の人が対象です。税金がかからないのは年間投資額120万円までで期間は最長5年です。

「つみたてNISA」は年間投資枠が40万円で期間は最長20年になります。注意点として、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つを同時に行うことはできず、どちらかを選ばなければいけません。そのため、ある程度の資金で資産運用をする場合は一般NISA、長期的に資産運用を考えている場合はつみたてNISAというように目的にあわせて検討するのがいいでしょう。

NISAの始め方

NISAを開設する口座は1人に対して1つの口座しか開設できません。開設するには証券会社か、ゆうちょ銀行をはじめとするさまざまな銀行などの金融機関で口座を開設します。開設前にNISAを取り扱っているのか、どのような金融商品を扱っているのかを事前にチェックしましょう。金融機関によってNISAで取引できる金融商品などに違いがあります。

取引開始できるまでに1カ月程度かかる場合もあるため、NISAでの取引を始めることを決めた場合は、逆算して早めに申し込みをしておくのがおすすめです。

NISAのメリット・デメリット

NISAの最大の魅力は購入した金融商品から得られる配当金と売却益が非課税になることです。NISAの種類によって条件は異なりますが、条件の範囲内で購入した金融商品の配当金と売却益が非課税になるのは嬉しいですよね。

一方、1つの口座しか開設できないことは先にお伝えした通りですが、すでに保有している株式をNISA口座に移したい場合は一旦売却が必要になり、課税対象になるなど、いくつかの制約もあります。さらに、他の課税対象口座との損益通算や損失の繰越ができないという点で、通常の口座と異なるということはおさえておきましょう。

  •  NISAとは

    NISAには3種類あります

NISAで取り扱い可能な主な金融商品

NISAで取り扱っている金融商品は、国内外の上場株式、国内外のETF、ETN(上場投資証券)、国内外のREIT、新株予約権付社債、株式投資信託があります。ここではそれぞれについて簡単に解説します。

国内・海外上場株式

上場株式とは、証券取引所に上場している株式のことをいいます。つまり、株式市場で売買可能な株式のことです。国内外問わず、上場株式に関してはNISAでの取り扱いが可能となっています。

国内・海外ETF・ETN

ETFとはExchange Traded Fundsの略となり、日本語で上場投資信託といいます。また、ETNはExchange Traded Noteの略であり、日本語で上場投資証券または指標連動証券といいます。

ETFは株価指数や商品価格、商品指数などと連動している投資信託のことで、裏付け資産を保有しています。ETNは金融機関が指標に連動するように発行した債券なので裏付け資産は保有してないという特徴があります。

国内・海外REIT

REITとはリートと呼ばれ、不動産投資信託のことをいいます。投資家から集めた資金によってオフィスビルや商業施設、マンションなどの物件に不動産投資を行うのですが、REITはそこから得られる賃料収入や不動産売買益などを原資として投資家に分配する金融商品のことです。つまり、これまでの株式や債券を対象にしていた商品とは異なり不動産を対象とした商品で、こちらも国内外問わずNISAで取り扱い可能です。

新株予約権付社債(ワラント債)

新株予約権付社債とは、新株予約の権利が付いている社債のことです。投資家から資金を集める際に発行され、株式を一定の条件で取得できる権利が付いています。例えば、定められている条件に新株を取得できる値段(行使価格)がありますが、株価が行使価格を上回ったときに権利を行使することで、株式市場から買うよりも有利に株式を得られる可能性があります。

株式投資信託

株式投資信託とは、投資対象として株式の組み入れが可能な投資信託のことです。投資家から集めたお金を1つの資金として、運用のプロが株式に投資します。株式の組入比率を一定に抑えたものや限度を設けないもの、地域や産業に特定したものなど、さまざまな商品があります。

  • NISAで取り扱い可能な主な金融商品

    NISAで取り扱うことができる金融商品は複数あります

投資信託をNISAで購入するメリット

投資信託をNISAで購入するメリットはどのようなものがあるでしょうか。代表的なメリットを3つご紹介します。

利益が非課税になる

投資信託で投資家が受け取る利益には、分配金や売却益があります。NISAで投資信託を購入すると、非課税で分配金や売却益などの利益を受け取ることができます。

ただし、NISAの口座から通常の口座に移したり、一定の期間を過ぎたりすると、課税対象になるので注意しましょう。期間は、NISAで保有している投資信託の非課税期間を延長することができるロールオーバーという制度もあるのでチェックしておいてください。

投資枠が最大限に使用できる

NISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円まで投資が可能です。株式で購入する場合、1口数万円以上の費用が必要なことも多く、NISAの投資枠では購入できない場合も出てきます。

しかし、投資信託では1万円程度から購入することが可能です。つまり、投資信託はNISAで購入可能な金額を最大限に活用できるといえます。

つみたてNISAでは長期投資が可能

NISAの中でも、つみたてNISAは特に少額で長期、積立、分散投資を支援する制度で、非課税期間は最長で20年間になります。例えば、つみたてNISAでの年間投資可能な金額は40万円ですが、最長20年間積立を行った場合の投資額は800万円にもなります。

一般NISAは年間120万円で、最長5年間の投資をした場合は最大600万円になるため、今後の投資額も含めて、どちらのNISAにした方がいいか検討しておきましょう。

  • 投資信託をNISAで購入するメリット

    投資信託をNISAで購入した場合にはいくつかメリットがあります

投資信託をNISAで購入するデメリット

投資信託をNISAで購入するにはデメリットもあります。具体的にどのようなものがあるのかみていきましょう。

損失時の税金の支払い

資産運用する際に知っておいた方がいい用語の1つに「損益通算」という言葉があります。これは、株式や投資信託で発生した損失を別の投資で得た利益と相殺することで最終的な利益を小さくし、課税を減らすことができるというものです。

しかし、NISAで購入した場合は通常の株式取引等との損益通算ができません。NISA口座で損失が出たときでも通常の株式取引での利益を小さくすることができず、結果的に多くの税金を払うことになる可能性があります。

つみたてNISAの対象外の銘柄がある

つみたてNISAの対象商品は株式投資信託とETFに限定されています。その中でも対象となる商品は金融庁が定めた金融商品のみとなっているため、金融庁のホームページで取扱商品をチェックしておきましょう。購入を検討していた株式投資信託がつみたてNISAの対象外であれば、つみたてNISAでの購入はできません。

  • 投資信託をNISAで購入するデメリット

    メリットだけではなくデメリットも必ず確認しておきましょう

NISA投資のコツ

NISAの制度を賢く活用するには、いくつかコツがあります。ここでは株式取引と投資信託の2つのパターンでコツをご紹介します。

株式取引

NISAで株式投資を検討する場合は長期投資がおすすめです。NISA口座で購入した株式を売却すると、売却した分の非課税投資枠の再利用ができません。そのため、長期投資をすることで5年間の非課税投資期間を最大限活用できます。

加えて、この売却益が非課税になるいうメリットを最大限利用して、企業の成長性と将来性の高い値上がり益を重視した運用をするのも1つの戦略だといえるでしょう。

投資信託

NISAでは投資信託の分配金と売却益が非課税になります。投資信託には運用収益を分配金として還元する分配型と、得られた利益を投資に回す無分配型があります。おすすめは複利運用を行う無分配型です。

一見、分配型の方がメリットが大きいようにみえますが、分配金が資産の一部から支払われているため、基準価額が減ってしまうことがあります。それに比べて無分配型は、リスクやコストを抑えた運用ができ、また長期保有することで複利効果が期待できます。

投資信託には大きく分けてインデックス型とアクティブ型の投資信託があります。インデックス型とは株価指数などと同じような値動きをするように作られた投資信託で、アクティブ型とは株価指数などよりも大きなリターンを得られるように独自の調査や分析で選定された銘柄に投資する投資信託です。

長期保有する場合は信託報酬というコストがかかるため、コストをできるだけ抑えることを考えると、手間やコストがかかるアクティブ型ではなく、コストの安いインデックス型の投資信託がおすすめです。

  • NISA投資のコツ

    ポイントをおさえてNISAを上手に活用しましょう

NISA投資信託で賢い投資をしよう

NISAについての解説と、NISAでの投資信託をおすすめする理由についてご紹介しました。NISA投資信託のメリットデメリットを考慮したうえで、税制優遇制度を最大限活用して、資産運用を始めてみてください。