ロックバンド・Dragon Ashのフロントマンとして圧倒的なカリスマ性を誇る降谷建志(42)。2013年にNHK大河ドラマ『八重の桜』に出演、2017年に『アリーキャット』で映画初主演を果たすなど、俳優としての顔も持つ。「LINE NEWS」の縦型動画プロジェクト「VISION」で配信中の縦型ドラマ『上下関係』(毎週金曜18:00更新。全10話)では、売れないバンドマン・豊田響を演じている降谷にインタビューし、本作における役作りや、バンドマンとして届けたい世界観、俳優業に対する敬意、そして今後について話を聞いた。

  • 降谷建志 撮影:加藤千雅

本作は、上下関係に厳しい田舎から上京した本田小夏(河合優実)が、一人暮らしに選んだアパート「メゾンピルグリム」に住む、クセのある“下層”の人間たちとの間で起こる不可解な事件を通し、アパートに隠された謎や驚愕の真実を突き付けられるミステリードラマ。主演の窪塚洋介が、アパートの屋上でソファーを置いて優雅に過ごす謎の男・カワサキを演じ、大島優子、田中麗奈、でんでん、板尾創路らも出演する。

映画『アリーキャット』(2017)で共演して以来、プライベートでも親交のある窪塚が主演ということも「大きな後押しになりました」と本作出演を決めた降谷。先日行われた完成披露発表会で、窪塚は「建志くんのかっこよさがめちゃめちゃ際立っている作品になっている」と絶賛していたが、降谷は「ストーリーの中でみんなが思うバンドマンと実際のバンドマンはイコールではないと思うので、豊田のジャンルのバンドマンにいかに寄れるか意識しました」と役作りについて語った。

そして、豊田のことを「劣等感が強く、それでも一丁前に承認欲求があって、自分が正しいと思っているものを提示している不器用なバンドマン。第三者が『いい』と言ってくれて、その人の心が動いて初めて自分は価値があると思い出す手前」と分析。第1話で豊田は、訪ねてきた小夏に不機嫌そうな対応を見せたが、「年下の子がりんごを持ってきてくれたときにあんな塩対応するとか精神年齢が低いと思うし、まだ他者に対して猜疑心が先に来てしまうんだろうなと思いました」と振り返った。

そんな豊田は、自身とは「だいぶ乖離している」という。「自分はシャイではありますが人見知りはしないので、タイプが違いますし、あんな横柄ではないです。女の子がりんごを持って挨拶してきたら、バタンとドア閉めないで、なんなら『入る?』って言います(笑)」と優しい笑顔を見せた。

13日配信の第3話では、豊田が「かっこいいか、かっこ悪いかは自分次第。自分を信じ切れるかどうか」とカメラ目線で語る場面がある。豊田としてではなく降谷自身が語りかけてくるような印象を受けるが、実際、降谷もこのコメントには共感したという。「何者でもない状態から大きな権力がついて勝ち戦になるレールを敷かれている人は別として、多くのバンドマンは最初は誰も味方がいない状態。自分を信じて、自分になけなしのお金をベットできるかどうかだと思うので、そういうところは共感できるなと思います」。