酔っている状態を「泥酔」といいますが、なんとなくでしか意味を理解していない人も多いはず。本記事では、「泥酔」の正しい意味や由来・語源をご紹介します。

また、「泥酔」と同じように酔っている状態を表す類語や英語表現、泥酔者が警察に保護されたときの流れについても解説します。

  • 泥酔の意味とは? 由来や語源も解説

    「泥酔」の意味や由来、英語表現について解説する記事です

泥酔の意味とは?

「泥酔」の読み方は「でいすい」です。

■泥酔の意味

「泥酔」は「正体をなくすほどひどく酔うこと」を意味する言葉です。

具体的には、その場で歩けなくなったり倒れこんだりする、所かまわず寝る、呂律がまわっていない、しっかりとした意識がないといった状態をさします。

「泥酔している」や「泥酔状態」という使い方をします。

■泥酔の由来・語源

「泥酔」の由来は中国の書物「異物志」に出てくる「泥(でい)」という虫からきています。「異物志」には、「南海には骨がない泥(でい)という虫がいる。泥(でい)は水の中でしか活動ができず水がないと酔い、ただの泥(どろ)のようになってしまう」という意味の漢文が記載されています。

泥(でい)が陸に上がりぐにゃりとしている様子が、ひどく酔っている様子と似ていたため、「泥酔」と表すようになりました。

中国・唐代の詩人である元シンや李山甫も、詩の中で「泥酔」という表現を使っています。そのことから、「泥酔」は、唐代(618年~907年)には既に広く使われていたことがわかります。

  • 泥酔の意味とは? 由来や語源も解説

    正体をなくすくらいひどく酔っている状態が「泥酔」です

酒酔い状態のほかの表現

泥酔の類語は「酔っ払う」や「酩酊(めいてい)」が該当します。また、酔いの段階に応じて、酔っているときに使われる表現は数多くあります。

ここでは、「泥酔」以外の酔っている状態を表す言葉を解説していきます。この機会に覚えておきましょう。

酔い状態の段階としては、「ほろ酔い」→「酩酊」→「泥酔」→「昏睡」の順番で酔いの度合いがひどくなります。

■ほろ酔い(ほろよい)

「ほろ酔い」は酒を飲んで楽しくなっている状態です。体温が上がり脈拍が速くなります。アルコールの作用によって脳が麻痺し始め、判断力が低下してきます。理性が失われ始めるのもこの段階です。

「ほろ酔い」になる酒量※はビール中瓶1~2本、日本酒1~2合、ウイスキー・シングル(約30ml)3杯といわれています。アルコールの血中濃度は0.05%~0.10%です。

※個人差があります。

■酩酊(めいてい)

「酩酊(めいてい)」は「泥酔」の類語としても使われる言葉です。「泥酔」よりも軽い酔い状態を表します。「酩酊」はふたつの段階に分かれます。

酩酊の初期段階

「酩酊」の初期段階では気が大きくなったり声が大きくなったりします。また、怒りっぽくなる人も出てきます。さらに、立つとふらつくのも特徴です。

「酩酊」の初期段階になる酒量※は、ビール中瓶3本、日本酒3合、ウイスキー・ダブル(約60ml)3杯とされています。アルコールの血中濃度は0.10%~0.15%です。

※個人差があります。

酩酊

完全な酩酊状態になると、人に絡んだり同じ話を繰り返したりします。ふらつくだけではなく千鳥足になるのも特徴です。また、呼吸が速くなり吐き気や嘔吐も起こります。

「酩酊」の酒量※はビール中瓶4~6本、日本酒4~6合、ウイスキー・ダブル(約60ml)5杯といわれています。アルコールの血中濃度は0.15%~0.30%です。

※個人差があります。

■泥酔(でいすい)

「泥酔」はかなり酔っている状態です。アルコールによる麻痺が脳だけではなく、脳幹や脊髄にまで及びます。意識がはっきりとせず、まともに立つことができません。話す言葉は支離滅裂になり、周囲の人は聞き取れなくなります。

泥酔の状態で吐くと気管に入る恐れがあります。そのため、泥酔状態の人をひとりにするのは危険です。

「泥酔」の酒量※はビール中瓶7~10本、日本酒7合~1升、ウイスキー・ボトル1本とされています。アルコールの血中濃度は0.30%~0.40%です。

※個人差があります。

■昏睡(こんすい)

「昏睡(こんすい)」は体を揺すっても起きない状態です。ゆっくりと深い呼吸を繰り返すことが特徴。小便や大便を垂れ流してしまうケースもあります。アルコール作用による麻痺が延髄にまで達しているためかなり危険な段階です。

つねったり叩いたりしても反応がない場合は、救急車を呼んで専門家に処置してもらうのがいいでしょう。

「昏睡」の酒量※ビール中瓶10本以上、日本酒1升以上、ウイスキー・ボトル1本以上とされています。アルコールの血中濃度は0.40%以上です。

※個人差があります。

  • 泥酔の類語やほかの酔っている表現

    「泥酔」は「酩酊」よりも酔っている状態です。まともに立つことはできません

泥酔すると警察に保護される可能性がある

酔いの状態が「泥酔」までいくと、警察に保護されるケースがあります。ここでは、泥酔者が警察に保護される流れを解説します。

■警察は泥酔者を発見したら保護しなければならない

警察官職務執行法の第三条には、「次に該当することが明らかで、応急の救護を要する場合に警察署・病院・救護施設等など適当な場所で保護しなければならない」といった内容が書かれています。

>精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者
引用: e-Gov法令検索「警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)

上記のように泥酔者は保護の対象であると明記されています。警察官職務執行法で「保護しなければならない」と記載があるので、強制力は強くなります。仮に泥酔者が拒否しても任意は通用せず、保護されてしまいます。

■保護されたら警察署の保護室に入れられる

保護された泥酔者はパトカーに乗せられ管轄の警察署まで移動します。その後、泥酔者が入れられるのは警察署内にある保護室(保護房)です。

保護室(保護房)は暴れる人を収容する舎房で、保護された人が自分や他者に危害を加えないように作られた鉄枠で囲われている部屋です。

このとき、泥酔者の持ち物はすべて没収されます。危険物の所持の確認や貴重品の紛失損壊を防ぐために警察官が一時的に預かります。

■身元引受人を呼んで保護解除

泥酔者の酔いが覚めて正常な状態になったら、家族や知人などを身元引受人として警察署に呼びます。警察官職務執行法の第三条にも「できるだけすみやかに家族・知人などに通知して引き取り方について手配しなければならない」という内容の記載があり、泥酔者が正常になっても自分ひとりだけで警察署を出ていくことはできません。

警察から連絡を受けた身元引受人が所定の手続きを済ませたら、泥酔者は保護解除となります。警察の保護は簡易裁判所の許可状がない限り24時間を超えてはならないため、基本的に24時間以内には保護解除される仕組みです。

  • 泥酔すると警察に保護される可能性がある

    泥酔者は警察官に保護されて保護室(保護房)に入ることになります

泥酔の英語表現と例文

「泥酔」は「drunk」という名詞・形容詞で表現できます。動詞「drink」の過去分詞でもあります。動詞の「drink」で「(酒を)飲む」という意味になります。使い方を見てみましょう。

英語:He drank too much beer and got drunk
意味:彼はビールを飲みすぎて泥酔してしまった
英語:He was drunk and was taken into police custody
意味:彼は泥酔して警察に保護された
英語:Drunkenness is annoying to those around you, so drink the right amount of alcohol for you
意味:泥酔状態は周りの人に迷惑になるので、自分に適した酒の量を飲みましょう
  • 泥酔の英語表現と例文

    「泥酔」の英語表現は「drunk」です。この機会に覚えておきましょう

泥酔は意識がはっきりしないほど酔っている状態を表す言葉

「泥酔」は「正体をなくすほど酔っている様子」を表した言葉です。泥酔すると、意識がもうろうとなりまともに立つことができません。呂律がまわらず話す言葉も周囲には伝わりにくいです。

「泥酔」のほかにも酔いを表す言葉があり、軽い方から「ほろ酔い」→「酩酊」→「泥酔」→「昏睡」の順番で酔いの状態を表現できます。「泥酔」の英語表現もあわせて覚えておくといいでしょう。

また、実際に泥酔してしまうと警察に保護されてしまうケースもあるため、お酒を飲む場でのふるまいには十分気を付けましょう。

e-Gov法令検索「警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)