『仮面ライダー』生誕50周年を記念し、仮面ライダー劇場版8作品を史上最高画質に“変身”させた『仮面ライダー THE MOVIE 1972-1988 4KリマスターBOX(4K ULTRA HD Blu-ray&Blu-ray Disc 4枚組)』が、2021年11月10日に東映ビデオから発売される。これを記念して東京・丸の内TOEIで7月19日、「KAMEN RIDER FILM ARCHIVE SPECIAL NIGHIT レジェンドライダー スペシャルトーク舞台挨拶&上映会」が開催され、多くの仮面ライダーファンが駆け付けた。

本イベントでの上映作品は、『仮面ライダー』が日本全国の子どもたちの間で大人気となり、「変身ブーム」と呼ばれる社会現象を巻き起こした時期に「東映まんがまつり」で公開された『仮面ライダー対ショッカー』(1972年)、『仮面ライダー対じごく大使』(1972年)、『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(1973年)の3作。トークゲストはこれらの上映作品にちなみ、仮面ライダー1号/本郷猛役の藤岡弘、と仮面ライダー2号/一文字隼人役の佐々木剛、そして仮面ライダーV3/風見志郎役の宮内洋の「3人ライダー」が結集した。

変身ブームの大いなる立役者であり、仮面ライダーシリーズの基礎を確立した“レジェンド”3人がそろったのは久々のこと。今回の企画の実現には、長年にわたって特撮ヒーロー作品のイベントプロデュース&MCとして活躍し、藤岡、佐々木、宮内からの信頼も厚い鈴木美潮氏(読売新聞専門委員)の尽力があった。自身も「仮面ライダーの背中を見ながら、ここまで歩んでこられた」と語る熱烈な仮面ライダーファンの鈴木氏がMCを務め、藤岡、佐々木、宮内がステージへと登場した。

藤岡は、久々にそろった“3人ライダー”について「1号、2号、V3の3人がいまここにこうやって健在を示している。これこそが奇跡です!」と、約半世紀を経てなお、仮面ライダーを演じた俳優が元気な姿でそろうことができたのを“奇跡”と表現した。この言葉の直後、客席からは割れんばかりの拍手が鳴り響き、つめかけたファンたちの熱い思いがほとばしった。

佐々木は「藤岡くんが大怪我をして、その穴を埋めるため急きょ主役をやってくれと言われて(一文字隼人役を)引き受けた。でもそのとき、2本のドラマがレギュラーで入っていたから、スケジュールもきついし、お断りしようと思ったんだけど、断らなくてよかったです!」と話し、またもやファンからの拍手を浴びた。続けて佐々木は「今は都内で居酒屋(バッタもん)をやっていますけれど、店を支えてくれるのは仮面ライダーファンのみんなです。今もなお、仮面ライダーが好きと言ってくれて、僕に会って涙まで流してくれるファンがいてくれるのは本当にありがたいこと」と語って、『仮面ライダー』とそのファンたちへの感謝の気持ちをあらわにした。

藤岡は、劇団の同期である佐々木が自分に代わって『仮面ライダー』を引き受けてくれたことについて「藤岡のためにやってやろうと言ってくれて……ありがたかったですね」と改めて佐々木に感謝の言葉を述べた。佐々木は「藤岡くんが主役に戻ってくるまでと約束してもらい、引き受けたんです。僕としては、彼が戻ってくる場所をつぶすことなく、責任を果たせてよかった!」と、場所をつぶすどころか番組人気をグングン引き上げ、社会現象にまでブームを盛り上げた状態で藤岡に主役のバトンを託したことを、満足そうに語った。

そして、1号の技、2号の力を受け継いで生まれた『仮面ライダーV3』が仮面ライダー人気をさらに盛り上げ、変身ブームはピークに達する。

藤岡は「仮面ライダーの撮影現場には、ドラマチックな出来事がたくさんあった。1号2号に続いて、V3宮内くんが命がけのアクションをしてくれた。あれだけのすごい爆発を受け続けてね、よくぞ今ここに存在しているなって驚くんですよ」と、『仮面ライダー』を上回る迫力を!という意気込みで爆発のスケールをどんどん大きくしていった『V3』の名物となる「大爆発」と、その中に突っ込んでいく宮内の体当たりアクションを称えた。

宮内は藤岡の言葉を受け「火薬が好きなんです!」と返答し、客席からはどよめきと拍手が巻き起こった。宮内のすぐそばで大爆発が起き、そのあおりで吹き飛ばされるバトルシーンは、映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』劇中でもひんぱんに見られる凄絶なるビジュアルだ。宮内は「ロケ現場に行くと、真っ先に危険と思われる場所を探すんです。こんどはあっちから落ちようかなとか、あっちの水の中に入ろうかなとか」と、風見志郎が絶体絶命のピンチを迎え、子どもたちが早く仮面ライダーV3に変身してほしいとハラハラするシチュエーションを生み出すため、あえて自身を危険な状況に置きたいとする宮内のプロ根性、役者魂に鈴木が感心する場面も見られた。

また、『仮面ライダー』人気を陰から支えた存在として、藤岡はアクション全般を手がけた「大野剣友会」の名前を挙げ、「仮面ライダーやショッカー怪人、戦闘員に扮して、命をかけたアクションを披露した。彼らの存在なくして『仮面ライダー』はありえない。本当の影の功労者です。感謝しております」と絶賛した。佐々木もまた「剣友会メンバーに殺陣師が声をかけるんです。“右に落ちるんじゃねえぞ、落ちたら死ぬからな。落ちるならこっち側に落ちろ”って、そんな危険なところでアクションさせるなよって。でもみんな平気でやっていてね。よい作品を作ろうと一生懸命だった」と、仮面ライダーと怪人の戦いに迫力と臨場感とスリルを盛り込んだ立役者・大野剣友会に惜しみない賛辞を送った。

ここで、鈴木氏からの熱烈なリクエストを受ける形で、藤岡、佐々木、宮内が「変身ポーズ」を披露してくれることになった。

藤岡は「ハーッ!!」と気合いを入れた後「変身!」と叫び、仮面ライダー1号への変身ポーズを重厚に決めてみせた。

佐々木は、第14話での名セリフをベースにした「ショッカーの敵、そして人類の味方。お見せしよう! 変身!」という口上を交えつつ、『仮面ライダー』の歴史上初めての変身ポーズを、流麗かつ力強い動きで見せた。

宮内は「おのれデストロン! ゆくぞ!」と、秘密組織デストロンの怪人を射抜くかのような鋭い目と共に、1号2号の動きをミックスさせたV3の変身ポーズを披露。宮内の独特な言い回しによる「変身、ブイッスリャーッ!!」のかけ声も健在だった。

最後にマイクを手にした藤岡は「仮面ライダー50年、みなさんそれぞれの中にいろいろな思い出があると思います。50年間、愛と正義を伝えてきた仮面ライダー。これからもみなさんの大きな活力としてもらいたい。4Kリマスターで高画質となった映画をまたご覧になっていただいてね、いろんなことを感じ、勇気をふるって、さまざまな困難を乗り越えていただきたいと思っております。仮面ライダーは日本が誇るヒーローとして、世界にまで根ざしました。仮面ライダーの50年は、ヒーローを作ってきたすべての人たちによって築いてきた50年です。これからも世界の子どもたちに影響を与え続けるヒーローが、永遠に続いていくことを願っています!」と熱く語り、『仮面ライダー』の不滅の生命力と、シリーズを担ってきたすべての作り手たちの功績を、改めて称えた。

(C)石森プロ・東映