数々のアニメ作品のOP・EDを音楽で彩ってきたバンド・fhánaが、ニューシングル「愛のシュプリーム!」をリリース。TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』のOPテーマでもある本曲は、towanaとkevinによるラップを大々的にフィーチャーしたチャレンジングな一曲だ。今回は本シングルについて、メンバー全員のインタビューが到着した。
●10年の感慨は……ない?
──fhána は、2021年で結成10年を迎えました。今の率直な気持ちや感慨を教えてください。
佐藤 率直な気持ちとしては感慨がないと言いますか。いつも通りだったんですよね。カレンダーに5月5日は結成日と入っているので、その付近になると毎年「そろそろ感謝の気持ちを伝えるツイートをしないと」と思うんです。で、昨年のツイートを見返してみると、9周年と言っていて。じゃあ今年は10周年か、10周年みたいだね、と気づいた感じでした。
yuxuki 思い返してみると10年続けられたのはすごいなと。ただ、迎えた瞬間は僕も「あぁ、10年経ったんだ」くらいの感覚でした。こうやって改めて「10周年ですが、今のお気持ちは?」と聞かれることで、色々あったなと振り返っています。
kevin 目の前のことを一生懸命にやっていたら、10年経っていた、という感じですね。
towana ……と、3人は言っていますが、10年続けるって、なかなかできることじゃないと思うんです。やろうとしなきゃできないですよ。今この時点から振り返るとあっという間に感じるかもしれませんが、みんなそれぞれで苦労したり大変なことがあったりするなかで10年続けているのは、すごいことだと思います。
──10年続けていることって、あまりたくさんはないかもしれません。
towana バンドって続けることがいちばんベーシックだけども、難しいことでもあると思うんです。バンドを続けていくうえで大切なのって、結局は人間関係ですから。
kevin それは本当に。
towana だから、3人とも「別に感慨はないです」みたいな感じだけども、それぞれで何となく活動しているだけじゃ続かなかったと思います。
●fhánaが続いていく理由
──実際のところ、ちょっと方向性を見失ったなという時期はありましたか?
佐藤 ないですね。なぜfhánaが続いているかと言えば、「まだ、やれることがある」という感覚がずっとあるからなんですよね。fhánaの前にやっていたバンドは、活動後半になるともう飽きがきていて、新しいことを探している状態だった気がします。
──そう思わせてくれるのは、やっぱりこのメンバーだから。
佐藤 それは確実にそうですね。バンドってよく「生き物」に例えられますが、実際その通りなんです。fhánaはまず男子3人が集まり「何か面白いものができるかも」ということから、バンドというよりかは、プロデュースチームみたいな感じでスタートしました。最初はゲストボーカルを招いてやっていくスタイルで考えていたのですが、2012年に正式メンバーとしてtowanaが加入したんです。その時に撮ったアーティスト写真を見たとき「これはいけるな」って勝手に思ったんですよね。なんか佇まいがよかった。
towana あの白いやつでしょ?
佐藤 そうそう。
yuxuki 僕たちはその時、佐藤さんみたいにアーティスト写真を撮った経験がなかったので、「いける」という感覚にはならなかったですが(笑)。
kevin そうね。写真を撮っただけでは思わなかった。
──ただ、実際に活動していくなかで「このメンバーならやっていけそう」という感覚になった。
kevin 音楽的にどうこうではなく、単純に居心地がいいんですよね。みんな似通ったところがあるからなのか、フィーリングが合うんです。
──towanaさんは3人の輪に入るとなったとき、どうでしたか?
towana 最初は借りてきた猫状態と言いますか。今でこそ意見を言ったり提案したりできますが、最初は言われた通りにするしかできなかったんです。ただ、kevinさんが言っていたように、元々性格が近いところがあったので、居心地が悪いという感じではありませんでした。
佐藤 僕が最初にtowanaと会ったときはミステリアスでした。ほとんど喋らなかったし、何を考えているんだろうと。ただ、バンド活動をやっていくなかで、楽しい人という印象に変わりましたね。
yuxuki 僕は元々towanaと知り合いだったので、最初からこれまで印象が大きく変わったということはないかなぁ。
──towanaさんは活動していくなかで、みなさんへの印象は変わりましたか?
towana うーん。みんないい子ですよ。
3人 (笑)。
towana 基本的にはいい人たちだなって思います。優しいし。
kevin 優しくていい人たちですよね(笑)。10年経ってメンバーを褒め合うこの時間がなんだか恥ずかしい(笑)。でも、いい意味でみんな丸くなった気がします。100時間煮込んだカレーみたいな。コクが増してカドが取れたといいますか、まろやかになった気がします。
towana 10年経ったら、人は変わりますよ。大人になったんだよ。
kevin 確かに。そりゃそうだ(笑)。音楽は全然落ち着いてないですが、人間関係的には、 少しまろやかになった気がします。