秋田県の新ブランド米「サキホコレ」のパッケージデザイン発表イベントがこのほど、秋田県出身のタレント壇蜜さんらをゲストに招いて都内で開催された。パッケージデザインは、日本を代表するデザイナー原研哉さんが手掛け、「日本のお米のシンボルに」とシンプルで堂々としたデザインがお披露目された。

  • 秋田県の新ブランド米「サキホコレ」パッケージデザイン発表イベント

"コシヒカリ超え"の新品種「サキホコレ」とは?

「サキホコレ」は、秋田米の新品種。「あきたこまち」発表から37年となり、"コシヒカリを超える極良食味米"をコンセプトに約12万株の中から選ばれた秋田米のフラッグシップ米となる。白くつややか、ふっくらとした粒立ちで、噛むほどに甘い風味が広がる王道のうまさだという。

  • 秋田県庁からリモートで参加した佐竹敬久県知事

秋田県庁からリモートで参加した佐竹敬久県知事は「サキホコレは、農業技術の粋を集め、9年の年月をかけ開発した極上米。米好きの日本人のDNAに直接響く、たいへんおいしいお米。全国のみなさん、そして世界のみなさんにご満足いただけるのではないか」と大きな期待を寄せた。

名称公募には、日本国内のみならず海外からも約25万件もの応募が集まった。そこから選考委員らによるさまざまな審議を経て、6件にまで絞られ、最終的に佐竹知事が悩みに悩んで「サキホコレ」に決めたという。佐竹知事は「(サキホコレという名称は)シンプルで響きがいい。多くのみなさんから、良いと言っていただけてホッとしている」と話した。

「サキホコレ」パッケージをお披露目

パッケージデザインのアンベールには、秋田県出身の壇蜜さんと、デザインを手がけた日本デザインセンターの代表取締役社長・原研哉さんが登壇した。

  • 「サキホコレ」の書が大きくしたためられたシンプルなデザイン

壇蜜さんは「秋田で生まれただけなんですが、縁のある者としてこの場に呼んでいただけたことをうれしく思います。秋田のことも知っているつもりですので、しっかりと務めたいと思います」と、あいさつ。原社長も「日本に生まれたデザイナーであれば、米袋くらいはちゃんとデザインをしないと。心意気を伝えるパッケージができたと思う」と自信を見せた。

司会に促され2人がベールを引くと、「サキホコレ」の書が大きくしたためられたシンプルなデザインが登場。このデザインに佐竹知事は、「サキホコレの名称にぴったりで、清楚なもの。色とりどりのパッケージがありますが、その中でもひときわ目立つのではないか。多くのみなさんに認知していただき、その名の通り、日本全国に咲き誇るようなトップブランドに育てていきたい」と意気込んだ。

  • 原研哉さん「会心の出来」

原さんは「秋田の最上級米ですから、日本の米のシンボルにならなければならない。白地にサキホコレと非常に読みやすい文字で堂々と配置するという、シンプルな中にも思いを込めさせていただきました。サキホコ"ル"ではなく、サキホコ"レ"と、日本国中にエールを贈るような言葉。それをよく通る声で朗々と語るようなデザインにした形です。日本人は米の中に文化を紡いできた民族ですから、堂々とした揺るぎない、これしかないというものにした。デザインにできることは大したことではないですが、僕としては会心の出来だと思っています」とデザインの意図を解説。

壇蜜さんは「安心感や重厚感があって、頼もしさをこの字に感じました。誰でも読めるという安心感から、どんな人にも優しいお米なのかなと想像しました。サキホコレに飛び込んでいきたいような気持ちです」と、受けた印象をコメントした。

  • 壇蜜さん「パッケージに安心感や重厚感、頼もしさがある」

ゲストとして登壇した神明取締役専務執行役員で米穀事業本部の藤尾益造事業本部長は「米のパッケージではあるが、芸術作品のよう。お米は海外の方がお土産で買っていかれることも多い。これだけ和のイメージがしっかり出ていると、海外の方にはお土産として買いやすいのではないか」と、海外戦略にも強いデザインを評価していた。

イベントには関係団体の代表らもリモートで参加。発表されたパッケージデザインを受け、「素朴で力強くて、ほっこりするような字体で感激しています(秋田県農業協同組合中央会 斉藤一志代表理事会長)」、「知事のおっしゃった通り、清楚で、どこか雅なところも感じています。店頭に並んだ時に、語りかけてくるような印象もある(全国農業協同組合連合会秋田本部 小林和久県本部長)」、「シンプルすぎてびっくりしました。今までにないデザインで、一度目につくと目が離せなくなるのでは(秋田県主食集荷商業協同組合 杉本良成理事長)」と、印象を語っていた。

佐竹知事は「ほかのパッケージと比べても、シンプルで品格がある。お米の白さと書とともに、研究開発を進めてきたということも入っている」とデザインの品格についても触れた。

原社長は「品格と言っていただけたことが嬉しい。デザイナーの側から言うのはおこがましいですが、秋田県から発するお米の希望、誇りのようなものをどうやって醸し出すかが重要なところだった。削ぎ落していくことで、その品格が表現できたらと思いましたので、知事にそれを受け止めてもらえてうれしく思いました」と笑顔を見せた。

実食の壇蜜「奥歯がうれしくなってくる」

イベント後半では、新宿割烹中嶋のオーナーシェフ・中嶋貞治氏による調理で、サキホコレの試食も行われた。中島シェフは、サキホコレについて「うまいとか、おいしいとかは個人の趣向によるもの。それを差し引いても、適度なもちもち感、でも歯切れがいい。あきたこまちのさらに上を行くようなおいしさだったので、僕も期待が高まっています」とコメント。

  • 壇蜜さん「昔話くらいに盛らないと」

この日は、炊き立てのサキホコレを楽しむために、キュウリやじゅんさい、2種類の味噌を合わせ味噌などの食材を、秋田から取り寄せて用意。サキホコレと漬物、味噌汁の和食の王道で調理したという。

試食した壇蜜は、「(サキホコレが)思った以上にもちもちしています! 噛んでいると、奥歯がうれしくなってくる。噛むほど広がる深い甘みは、サキホコレだけでも感じるんですけど、お味噌汁やお漬物があると相乗効果で甘さが引き立つ感じがします。これは、サキホコレを昔話くらいに盛らないと満足できないですね。あと、炊き立てのフワッとした控えめな香りも、私は評価したいです」と、そのおいしさを表現。中嶋シェフも「後味がいいよね。あとからじゅわっとくる」応えていた。

サキホコレは、この秋に先行販売。2022年から本格デビューを予定している。

  • 秋田県の新ブランド米「サキホコレ」