仮面ライダー誕生50周年、スーパー戦隊45作を記念した“ダブルアニバーサリー”映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の完成報告イベントが12日、『仮面ライダー』(1971年)と『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)の原作者・石ノ森章太郎氏に縁の深い「少年漫画家たちの梁山泊・トキワ荘」を再現した「トキワ荘マンガミュージアム」にて行われた。

最強の敵アスモデウスによって、S級の「禁書」が封印から解放された。あらゆる世界が混乱に巻き込まれ、仮面ライダーセイバー/神山飛羽真は『機界戦隊ゼンカイジャー』の世界へ、そしてゼンカイザー/五色田介人は『仮面ライダーセイバー』の世界へと飛ばされてしまった。飛羽真と介人はさまざまな世界からやってきた歴代ヒーローたちと力を合わせながら、アスモデウスの巨大な陰謀に立ち向かっていく……。

イベント会場となった「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」とは、漫画の神様・手塚治虫氏をはじめ、寺田ヒロオ氏、藤子・F・不二雄氏、藤子不二雄(A)氏、赤塚不二夫氏といった少年漫画界のレジェンドたちが住んでいた、ファンにとって「聖地」というべき豊島区南長崎のアパート「トキワ荘」(1982年に解体)を、南長崎花咲公園内に“忠実再現”した施設である。『仮面ライダー』『秘密戦隊ゴレンジャー』の原作者・石ノ森章太郎氏は故郷・宮城から上京した際このトキワ荘に居をかまえ、作家生活を本格的にスタートさせた。

再現されたトキワ荘を背景に、本作『スーパーヒーロー戦記』の主要キャストが現れ、挨拶を行った。

仮面ライダーセイバー/神山飛羽真を演じる内藤秀一郎は、ダブルアニバーサリー作品の主演を務めることに対して「正直、最初は不安しかなかった。でも自分も仮面ライダーセイバーを1年間演じてきたので、自分がこの記念すべき作品の“顔”になるんだ、と気持ちを切り替えて臨みました」と、記念作品の重みをしっかり受け止めた上で自分自身を最大限に見せていこうという心構えを語った。

ゼンカイザー/五色田介人を演じる駒木根葵汰は「素直な気持ちは、ラッキー!でした。たまたまオーディションに受かった作品が第45作という節目でなかったら、こんなにすごい映画に出演できませんでしたからね。恵まれてるなあと思いましたし、まさに嬉しさ全開でした!」と、記念作品の看板を背負うことになった幸運に、心から嬉しい思いを表していた。

本作のスペシャルゲスト・物語の鍵を握る“謎の少年”を演じる鈴木福は「僕は3~4歳のころから仮面ライダーやスーパー戦隊が大好きで、ずっと観てきました。5年前、仮面ライダー45周年のとき、雑誌のインタビューで『50周年のときには17歳になりますので、どんな役でもいいから仮面ライダー作品に出たいです。通行人でも!』と話していたんですが、まさかこんな大きな役をやらせていただけるなんて、すごく嬉しいです」と、幼いころから大好きだった仮面ライダー、スーパー戦隊に俳優として参加できたことの嬉しさを、しみじみとかみしめるように語った。

映画では、歴代仮面ライダーと歴代スーパー戦隊レッドが大結集し、悪の軍団と総力戦を行うシーンがクライマックスを飾っている。これについて内藤は「仮面ライダーとスーパー戦隊レッドがバシッと揃ったときは、あまりのカッコよさに鳥肌が立ちました」と興奮気味に語ると、駒木根もこれを受けて「映画を見ている最初から最後まで、ずっと鳥肌が立っていました。もう、鳥でしたね!(笑)」と過剰な表現をして笑いを取ったあと「台本を読み、撮影の段階でもワクワクしていましたが、完成した映画を見ると心にグッとくるものがある。スーパーヒーローの長い歴史が詰まっている、とてもとても大きな作品だと感じます」と、本作の濃密な内容について熱っぽく説明を行った。

鈴木は「仮面ライダー、スーパー戦隊レッド、ひとりひとりへの思いが強いので、もしかしたら期待を裏切られるんじゃないかという不安がありました。でも、まったくそんなことなくて、各ヒーローの個性がそれぞれ際立っている。今、見に行くか行かないか迷ってる人に申し上げます。ぜったい見に行かないと損ですよ! ファンとして、確実にこれは言えます!」と、出演者としてだけでなく、冷徹なるファンの鋭い目線でも本作のヒーロー共演は見ごたえがあると断言してくれた。

『仮面ライダー』および『秘密戦隊ゴレンジャー』の原作者であり、『サイボーグ009』『がんばれ!!ロボコン』『人造人間キカイダー』など数々の大ヒット作品をも手がけた石ノ森章太郎氏が、他の漫画家仲間と一緒に青春時代を過ごした「トキワ荘」について、内藤は「この場所で石ノ森先生がマンガ家として活躍されたからこそ、のちに『仮面ライダー』が生まれ、そして50年後に『仮面ライダーセイバー』が生まれました。そう考えると感動しますし、石ノ森先生とトキワ荘には感謝しかありません」と、最新作『セイバー』の源流をふりかえって、仮面ライダーの創造主である石ノ森先生への感謝の意を伝えた。

駒木根は「トキワ荘マンガミュージアムには初めて来たんですけど、なんか初めてという感じがしないほど居心地のいい場所だなと思いました」と、古き良き昭和のムードをたたえるトキワ荘のよさをアピールした。鈴木は「石ノ森先生が仮面ライダーとゴレンジャーを生み出してくれたからこそ、僕が一生好きでいられるもの=スーパーヒーローが作り続けられている。本当に感謝しかありません。先生がトキワ荘に住まれていたのは、高校を卒業してすぐということで、今の僕と年齢が近いんだなあと思うと、何か感じるものがあります」と、石ノ森氏の青春時代を自分自身と重ね、しみじみとコメントを残した。

3人のトークが進む中、MC(寺迫麿)から「超重大発表」が行われた。『スーパーヒーロー戦記』に、第1作『仮面ライダー』(1971年)仮面ライダー1号/本郷猛役・藤岡弘、が出演するという情報が解禁されたのである。これに続いて、トキワ荘の正面入り口から、2人のショッカー戦闘員に導かれ、堂々と藤岡弘、が姿を見せた。

藤岡は深々と一礼したのち、石ノ森氏にまつわるエピソードを披露した。「一度、石ノ森先生が『仮面ライダー』の監督を務められたことがありました。イソギンジャガーという怪人が出てきた回(第84話)『危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠』でした。そのとき、『藤岡くん、子どもたちに焼き付いた感動や思い出は、彼らの一生を左右するから、真剣に取り組んだほうがいいよ』と話してくださいました」と、ヒーロー作品が子どもたちに与える影響力の大きさを、石ノ森先生から直に伝えられたときの思い出を語った。また「私が先生に、仮面ライダーはいつ死ぬんでしょう? と尋ねたら、仮面ライダーは永遠に死なないんだよ、とおっしゃいました。この言葉は私の心に焼き付いています」と。石ノ森先生が正義のヒーロー・仮面ライダーに込めた熱き思いを打ち明けた。

仮面ライダー1号として、若いヒーローである内藤と駒木根にアドバイスを!とうながされた藤岡は「未来を背負っていく子どもたちに与える影響力を忘れずに、愛と正義と勇気と感動と希望と夢、これらを伝えていってほしい。50年もの長きにわたって、愛されるヒーローが日本から始まって、今までずっと残っているのはすごいこと。君たち、頑張ってくれよ! 頼むぞ!」と力強いエールを贈り、内藤と駒木根は「ありがとうございます!」と礼を言い、目をキラキラと輝かせた。

内藤は藤岡との共演について「藤岡さんの言葉の重みと、すごいオーラを感じていました。さきほどアドバイスいただいたことを胸に刻み、これからの役者人生に活かしたい」と、改めてレジェンド・藤岡弘、の言葉をかみしめた。駒木根も「藤岡さんの言葉を脇で聞いているだけで、電気が走るような衝撃がありました。ゼンカイジャーの撮影はこれからも続いていきますので、これからもヒーローとして頑張っていきます」と、藤岡に笑顔を向けながらコメントした。鈴木は「初めて藤岡さんとお会いしたのは小学1年生のときでした。それから10年後、仮面ライダーの映画で藤岡さんと共演できるなんて……!」と感激をあらわにしつつ語った。さらに鈴木は藤岡に「どうやったら僕も仮面ライダーになれますか?」と質問。藤岡はニッコリ笑って「ハッハッハ、仮面ライダーになるには、人間として成長しなければならない。そのためには、体や精神を強くしていかなくては。自分が多くの子どもたちに影響を与えるんだ、という気持ちを忘れないように!」と、仮面ライダー1号/本郷猛の精神を伝授するかのような、ヒーローとしての心構えを鈴木に説いた。

最後にマイクを握った藤岡は「仮面ライダーを作り続けてきた人たち、作品に携わった多くの方々の強い“思い”によって、50年もの間、生命を保ち続けてきました。『仮面ライダー』は石ノ森先生が言うように、これからも永遠に生き続けていくと、私は信じています!」と話し、永遠のヒーローを創造した石ノ森氏に思いを馳せた。

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