本作もSNSから生まれた物語だが、最近はSNSでいろいろな作品が誕生している。中村もコロナ禍に所属事務所の木村佳乃、佐々木希、杏、尾上菊之助と協力して絵本動画『つきのくらしは』を制作。事務所の公式YouTubeで公開された。

中村がストーリーを手がけた『つきのくらしは』は、月に住むウサギ、カニ、女の子が桜の苗を植えるが月では育たず、ピンクの毛糸などを使って桜の花を咲かせる物語。3人のようにちょっとした工夫で日々の生活を楽しくすることができるのだと、そう感じられる心温まるストーリーを届けた。

中村は「あの絵本は、新型コロナウイルスによる自粛期間で、親御さんたち大変だろうなと思い、『ちょっとこれ見てなさい』と言って子供がおとなしくなったり、寝かしつけの道具になったらいいなと思って作りました」ときっかけを説明し、「月にいるキャラクターで何かをしようとしているという設定と登場人物だけ決めて携帯で書いたのですが、15分くらいでできました」と明かした。

そして、ストーリーについて、「自分が脚本を書いたので、自分のイズムでしかないんですけど、生きるって工夫次第なところがいっぱいあるなと。“工夫”というのが結果的にこの絵本の1つのキーワードになりました」と述べ、「書き始めて最後にたどり着いた行動が“工夫”だった。自然とそこに収まっていたので、自分の性格や考え方の中で大きな割合を占めているのだと思いました」と、“工夫”が自身にとっていかに大事なものなのか再確認できたと語る。

そう自己分析する中村だが、演じたネズミとも似ているという。ネズミの性格を「クールな感じもあるけれど、このメンツでいるとお調子者になる」と捉え、「ネズミと僕の性格、仲間内のポジションなどが重なり、すんなりと入ることができました」と共通点を説明。「台本を1、2回読んで現場に行っただけでした。素の感じを求められる作品だったからというのもありますが、驚くほど今回、芝居をしていない。声も変えていません」と話した。

ワニ役の神木とは、『3月のライオン』『屍人荘の殺人』に続き3度目の共演。普段の2人の関係性が、ワニとネズミの親友同士の掛け合いににじみ出ているが、中村自身も演じやすかったという。「信頼関係がありますし、呼吸のタイミングもお互いわかっている感じがあるので、初めましてで芝居するより、知っている町にもう1回来たなという感覚でした」。中村が素のまんまで演じたネズミ、そしてワニらとの掛け合いを楽しみつつ、中村が本作で感じた“光”を受け取ってほしい。

■中村倫也
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2005年、俳優デビュー。2014年、初主演舞台『ヒストリーボーイズ』で第22回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。2019年にはエランドール賞新人賞を受賞。近年の出演作は、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』、『凪のお暇』(19)、『美食探偵 明智五郎』、『この恋あたためますか』(20)、『珈琲いかがでしょう』(21)、映画『台風家族』、『屍人荘の殺人』(19)、『水曜日が消えた』、『人数の町』、『サイレント・トーキョー』(20)、『ファーストラヴ』『騙し絵の牙』(21)など。また、3月18日に初のエッセイ集『THE やんごとなき雑談』を発売した。

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