神木は、『千と千尋の神隠し』の坊役で声優デビューを果たすと、『ドラえもん のび太の恐竜2006』『サマーウォーズ』『借りぐらしのアリエッティ』など数々の作品で声優を務め、『君の名は。』では立花瀧を演じ、声優アワード「主演男優賞」を受賞した。

俳優がゲストとして声優参加するレベルではなく、声優も一つの職業となっている活躍ぶりだが、神木はプロの声優たちとは技術が違うと断言。「役を演じるということに関しては同じだと思っていますが、手法がまったく違う。声優さんは、学校もありますし、声の出し方や声の変え方に関して職人、プロ。キャラクターに対して自分でその声までテンションを到達させることができる」とプロの声優のすごさを述べ、「僕もそうですが、俳優など技術を習ったことがない人間が声優業に挑戦するのは超絶リスキー。声優さんと比べたら技術がないと思われてしまうので」と俳優が声優に挑戦する難しさに言及した。

リスキーさを感じつつも、アニメ好きということも生かして挑戦を続けている神木。声優の仕事においてこだわっているのは、「気持ち」と「音」だという。「技術はないですが、全力で声に気持ちが込められたら。また、アニメが大好きなので、より伝わりやすいのはどの音なんだろう、どの語尾の上げ方がいいんだろうとか、聞こえ方はすごく意識しています。そこに気持ちを乗っけることが、僕が今できる精一杯です」。

また、プロの声優はキャラクターにあわせて声を変えているが、神木が声優を務める場合ほぼ地声で演じており、自身のそのままの声が求められているから演じられるのだという。本作で木村と共演したことで改めてプロの声優のすごさを感じたようで、「声優さんたちは声を変え、声の中の質・密度を弱くしたり強くしたりできる方。その技術は僕にはないので、隣で聞いていてすごいなあと。そこにはたどり着けないですから」と尊敬する。

そして、「僕自身、アニメ好きだから、俳優さんが声優をやるとき『えっ!声優さんがやった方がよかったじゃん』という意見を耳にしたことも何度かありますが、僕はアニメが好きで、ファンの方の気持ちもわかるからこそ、絶対に、徹底的に悔いがないようにやるようにしています」と、本音を交えつつ声優に挑戦する際の覚悟を明かした。

声優の経験が俳優の仕事にもプラスになっているか尋ねると、「音はすごく大事だなと思うようになりました」と答え、「『ありがとう』の一言でも言い方はいっぱいある。語尾が下がるのか、上がるのかで全然聞こえ方が違うんだなと。『サマーウォーズ』や『とある飛空士への追憶』、『君の名は。』など、いろいろやらせていただく中で、音の大事さを感じるようになりました」と説明。

「実写でも、モノローグなど声の演技もありますし、普通の演技においても、語尾が上がるか下がるか、少しかすれた声にするとか、それだけで全然違って聞こえるので、音ってすごいなと。本当に大事なんだなと思いました。映画も、密室状態で良いスピーカーで聞くわけですから、その聞こえ方はすごく大事だなと思います」と音の重要性を強調し、俳優の仕事においても「どういう風に言ったらより伝わるか、音をより意識するようになりました」と意識の変化を明かした。