福岡市交通局は1日、安全対策に万全を期しながら2022年度開業をめざしている七隈線延伸事業に関して、七隈線延伸にともない増備する新車両と、七隈線延伸区間に建設中の新駅の名称が決定したと発表した。
増備される新車両の名称は3000A系。「A」は「Advance」の頭文字を示す。今年の9月下旬から10月上旬にかけて先行2編成(4両編成)を車両基地に搬入し、2021年度の冬頃に運用開始を予定している。2022年度にも2編成を搬入・導入し、計4編成となる。
エクステリアは、七隈線延伸により「空の玄関口」福岡空港へとつながるイメージや、福岡市地下鉄3路線のネットワーク化の象徴、アフターコロナのまちの発展を支える地下鉄の象徴として、車両側面に希望の未来を示す広く澄んだ青空をイメージしたスカイブルーのラインが施されている。七隈線のラインカラーでもある、西南部地域の山々の稜線をイメージしたグリーンも配色された。
インテリアにおいては、博多駅への延伸をイメージできる博多織の五色献上色の「紫」「青」「赤」「黄」「紺」がシートに使用され、車両端の壁面に「櫛田の銀杏」で有名ないちょうの木をイメージした明るい木目柄を配した。
車内の特徴としては、感染症対策として従来の吊り手に加え、新たに手すりや座席に抗菌・抗ウイルス素材を使用。乗客が触れる可能性がある箇所も抗菌・抗ウイルス剤のコーティングを施している。
両先頭車の座席は7人掛けから5人掛けに短縮し、出入口付近のスペースを拡大することで、スムーズな乗降と車両内での流動性向上を図り、車両内での分散乗車や密の緩和を促進する。両先頭車以外では、座面を通常座席より60mm高くし、座面間に仕切りとなる肘掛けを設け、立ち座り動作の負担を軽減する座席を優先席の一部に導入している。
優先スペースを増設して全号車に設置し、車いす・ベビーカー利用者が使いやすいように2段手すりを新設。出入口部の乗客が利用できる吊り手を増設し、吊り手の形状・方向を三角・横向きに変更した。聴覚障がい者等がドア開閉のタイミングを確認できるランプも新設され、車内案内表示器をLEDから液晶にすることで視認性を向上させている。
七隈線延伸区間に建設中の新駅の名称は、中間駅(仮称)が「櫛田神社前(くしだじんじゃまえ)駅」に決定。「お櫛田さん」の愛称で市民に広く親しまれているほか、櫛田神社に毎年奉納されている「博多祇園山笠」がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、観光客をはじめ多くの来街者が訪れる場所であることから、駅の名称とすることで利用者の利便性向上、ひいては地下鉄の利用促進につながることが期待されている。博多駅(仮称)については、そのまま「博多駅」が正式な名称として採用された。